#239 The Art of Learning

神童としてアメリカチェス界を席巻し、太極拳でも優れた成果を出した筆者の意識的学習法が書かれてる本書。数々の修羅場を潜ってきた筆者だからこそかける幾多もの戦いの中での心理的要素や外的要素との向き合い方は参考になるし、ここまで詳細に言語化をすることができるだけでもプロ中のプロなのだということが身にしみてくる。学習というのは基本の型を繰り返し、その動作/所作の奥に流れるものと一体になることだというような表現があったが、自分もこの感覚をスポーツや学問から学ぶときに感じることがある。
意識的に基礎基本を行い、それらを高いレベルで抽象化し束ねて自分のものにできるか、これが平凡と非凡を分けるものなのだろう。示唆に富む本書から抜粋。

・むしろ待つこと自体が大好きにならねばならない。なぜなら、待つこととは、実は待つことではなく、人生や生活そのものだからだ。

・単純な日常の中に価値を見出すこと、平凡なものの中に深く潜っていき、そこに隠れている人生の豊さを発見することが、幸福だけでなく、成功も生み出すはずだと僕は強く信じている。

・自分の中でのトリガーになる行動ルーティーンを獲得しておくこと。一連の流れを作り上げる。

・お花畑で非暴力について語るのは簡単だが、本当のチャレンジは敵意や攻撃や痛みと向き合った時に、その根本的な視点を保ち続けられるかどうか。

・激情が沸いていることを認識し、拒んだりする代わりにこれを観察し、今という瞬間に創造力や新鮮さやネガティブさがどのような形で注がれているかを観察する。

・異常な感情のその奥にあるインスピレーションの源泉を見つけること。

・スパーリング相手が首を狙ってくることが嫌なのは、そこに自分自身が苦手としていたから。

・学習プロセスでは、論理が吸収され、根付き、忘れられるという一つのパターンが見ることができる。

・あえて局面を複雑にして、その混沌の中で自分の道を切り開いてゆくスタイルをとった

・どんな結果になろうとも、彼の僕への愛情は決して変わらないということを僕はよく理解している。

・チェスをやろうと決めた時に、楽しさや誇りだけの問題ではない。これをやり切るためには、愛も苦しみも情熱も自らを突き動かす力も全て必要なのだ。

・実体理論者は成功や失敗の理由を自分の中に深く根付いたものとしてみるが、増大理論車は、結果が出た時に頑張って取り組んだおかげだということを知っている。一歩進むことで漸次的に能力を増大させ、ついには達人になることだって可能だという感覚を持っている。

・正解を出すことと知能レベルにはなんの因果関係もない。(一度難しい問題を提示された後に簡単な問題が解ける人と解けないグループができた。)

・成長というのは往々にして快適さや安全を犠牲にすることで促されるものだ。

・成功者のほとんどは、より高いところに目を向けてあらゆる戦いで危険を犯しているし、目先のトロフィーや栄光なんかよりも頂点を目指す過程の中で学んだことの方がずっと意味があるということを知っている。

・全てをかけて戦いに臨んだ我が子には、抱擁してあげて誇りに思っていることを伝えること。卓越する過程で失望はつきものであること。そして一緒に見つめること。

・全力を尽くして、勝っても負けてもそこから何かを学び取れるようにする。困難なくして成長はない。持っている力を出し尽くして、その限界の先に何があるのかを見つけ出し、ようやく何かを学ぶことができるのだ。

・外見的には穏やかな表情でリラックスしているものの。心の中では精神的活力が渦巻いている状態がソフトゾーン。生活上のどんなざわめきもうまく利用できる。

・棘の密集した道を徒歩で横断しなければならない時、道路を舗装するか、サンダルを作るか。後者は主観的な作業で弾力性を与えてくれる

・その時の気分にピッタリと周波数を合わせることで集中力を高める

・ミスを犯した後は、快適なゾーンにあったそれまでの心理状態にしがみつきたくなるが、状況を受け入れてその時の感情を見つめることが大事である。

・身について自然に使えるようになった知識のことを数を忘れるための数という。

・また再び子供時代に帰っていく、その心の旅こそが成功の核ではないだろうか

・一つの技法についての洞察を徹底的に深めようとする道筋は、往々にして別の事物への深い考察をはらんでいる。

・チェス史上最高の攻撃テニスを学べば、必然的に防御も細部にわたって深く理解できるということになる。

・自分が何者であるのかということについての間違えた解釈を見極め、それを捨て去ること。

・難しいのは人は誰でもこちらに向かってくる敵意や攻撃を感じれば、身体を固くしてしまうが、今までと全く違う反応をするために典型的な身体反応を取り除く必要がある。

・静の重みがまし、これを動に変えることで爆発的な力を発揮できるようになる。

・どの分野でも不安定で無防備な、成長するための時間を過ごさなければならない。

・深さは広さに勝る。厳しい競争の中で生き残れるものというのは、自身の持っている技術を相手よりわずかでも深く磨いたものだ。トップになるために必要なのは、ミステリアスなテクニックなんかでなく、一連の基本的技術とされているものだけを深く熟達させることだ。

・自分の中でのギアの入れ方を研究すること

・最終的にはその出来事が起こらなくても利用できるところまで、その出来事から得られる効果だけをしっかりと自分のものとする。

・相手の微動に際しては、こちらが先に動く。

・頭を冴え渡らせ、今という瞬間に心を置き、猛攻を冷静に受け止められる能力があるかないかで、凡人と優秀な人の差が出る。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?