#97 楽観主義者の未来予測 上

今年の一冊目はテクノロジーでワクワクさせてくれる、楽観主義者の未来予測から。本書の副題がテクノロジーの爆発的進化が世界を豊かにする、というものだが、本書で紹介されているテクノロジーの数々が世界を本当に良い方向へと導いてくれるかもしれないとワクワクさせるような情景を思い浮かべることができる。フードチェーン、水問題、地球の生産可能性の問題を解決しその先へと向かうための手段をテクノロジーが授けてくれる、そんな未来を想像しながら今年も自分自身も着実に準備を重ねていきたいと思う。以下、本書から気になったテクノロジー例やデータを書き留めておく。

・ローマ教皇ティベリウスは、ヨーロッパの大部分を征服する過程で大量の金銀を集めてきたが、ある金細工士が持ってきたアルミニウム大皿をみて、斬首に処した。アルミの希少性が金銀の価値を大きく下げると知っていたためである。

・人間は希少性が問題だと認識することが多くあるが、その多くをイノベーションによって解決してきた歴史も存在している。手の届く範囲へと広げてきた。

・現状のエネルギー効率のまま、地球上のすべての人が、ヨーロッパでの平均的ライフスタイルで暮らすとしたら地球3個分の天然資源が必要になる。北アメリカでの平均的ライフスタイルの場合は地球5個分。

・降り注ぐ太陽光は174ペタワット、人類のエネルギー総使用量は16テラワット。アクセシビリティを上げることが現状の打破に大きく繋がるのである。

・潤沢な世界を実現するというのは、すべての人が可能性に満ちた暮らしを送れるようにするということだ。

・水(26億人が最低限の下水設備を利用することができずにいる)、住居の層、そしてエネルギー、教育、そして情報通信、最後に健康と自由。

・ラボ・オン・チップで医療をポータブルに、そして万人へとアクセスすることを可能にする。

・人間は大きいことに関してはネガティブバイアス(損失回避からくるものでもある)とアンカリングによって、悪い出来事が一つでもあるとそれに応じて意思決定が悪い方向へと流れることがある。一方で自分自身の事に関しては楽観的に考える癖がある。

・現在は指数関数的変化の時代に生きている。データ量で言うと、この世の始まりから2003年までで人類は5エクサバイト(50億GB)のデジタルデータを作ったが、2010年には人類はこれを2日間で生成している。

・1960年の著書でハイエクは、「一度下層階級の地位の向上が速度を増すと、富めるものへの迎合は大きな利益の源泉とならず、大衆の要求に向けられた努力に地位を譲っているように思われる。」と記した。そしてこれは実際に現在アフリカで起こっていることでもある。

・ムーアの法則のような指数関数的増加が非常に効果的なのは、こういった類の、非常に少ない数から非常に大きな数への爆発的変化が起こるから。この法則は半導体素子だけではなく、電話線の広がり、データ通信量、処理速度にも該当する。

・人間は10兆個の細胞が直立してできている。

・世界中の水の70%が農業で使われている。卵一個で450Lの水。肉1ポンドで4600L。

・スリングショットはどんなに汚染された水でも100%の純度を持つ注射も可能な製薬用純水にもなる。

・水の70%が農業で使われているが、生産された食べ物の50%は破棄され、給水管の穴から20%の水が漏れている。これを解決するのがスマートグリッド。


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