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質問:高卒でも人生で成功できますか?

年に数回は送られてくるこの趣旨の質問……

「高卒」の部分が「中卒」になったり「専門卒」になったりしますが、系統としては同じです。

そして、元々中卒である私に聞きたいという気持ちもわかります。

しかし、私に聞いても希望は見えないです。
今回も現実的なお話をしていこうと思います。


前提のお話

まず理解しておいてほしいことは、人生の成功は、人によって定義が異なるということです。

成功というのは極めて主観的なお話なので、本人が「自分は成功者だ」と思っていれば、たとえホームレスだろうが、牢屋に入っていようが、成功しているのです。

そして、成功という概念はある意味客観的でもあるので、どんなにお金持ちであっても、その他大勢の他人が「あの人は敗北者だ」「あんな人にはなりたくない」と感じれば失敗した人という認識を持たれます。

つまり、成功というものは多義的で、曖昧で、抽象的かつ相対的なのです。

だからこそ、自分の中の成功の定義をまず見つけてください。

他人から成功者だと思われることがあなたの成功なのか、それとも自分で自分を誇れる人生こそが成功なのか、またはお金という客観的な指標で判断するのか。
人それぞれ基準が異なります。
自分の価値観とよく向き合って、定義を決めてください。


本記事における判断基準

上記のとおり、成功の概念は多義的で、各人で意味が変わってくるものです。

しかし、記事として書く以上、ある程度明確な基準が必要になってきます。
そのため、本記事における成功の判断基準を定めないといけません。

そこで、本記事では、私の基準で語っていきます。
すなわち、保有資産と所得という2つの基準で成功を判断したいと思います。

保有資産が多ければ多いほど、成功者です。
所得も高ければ高いほど、成功者です。

保有資産が多く、かつ、所得も高いなら最高です。

シンプルでわかりやすい基準です。

こういう価値観の下、高卒(中卒・専門卒を含む。以下同様)でも人生で成功できるか、という論点について検討していきます。


結論:かなり難しい

私の見解としては、低学歴のままではかなり難しいと思っています。
大卒者ですら経済的な成功を得るのはごく一部なので、それを高卒以下の学歴で達成するのは至難の業と言わざるを得ませんし、私の知る限りでもほとんどいません。

理由については、以下の3つが考えられます。

  1. 低学歴のままだと所得を上げづらく、一時的に上げても長続きし辛い

  2. 運良く長期間稼いでも使ってしまう

  3. 資産管理ができない


以下、理由を詳述していきます。


理由1.低学歴のままだと所得を上げづらく、一時的に上げても長続きし辛い

まず実体験として言えることは、低学歴のままだと給与所得を上げづらいという実情があります。
その上、一時的に所得を上げても、それが長続きし辛いのです。
この点について詳述していきます。

まず、ホワイトな上場企業の総合職、各種の専門職、コンサル職などの所得が高い職種のほとんどで、学歴要件として大卒が最低条件となっています。
そのため、高卒以下だとそもそも応募の受付すらしてもらえないです。
私も何度応募自体をお断りされたことか。

そして、皆さんご存知のとおり、高卒が就ける職種はかなり限定されていて、かつ、一般的に給与が安いです。

そうすると、高卒の人たちが高い所得を稼ぐために残された道は、以下の4つ程度になってきますが、いずれも成功難易度が極めて高く、ほぼ失敗するだろうなという確率です。

(1) 起業する
(2) 個人事業主としてがんばる
(3) 営業職で実績を出し続ける
(4) 学歴が関係ないその他の職種でがんばる

せっかくなので、それぞれの難易度について軽く話します。


(1) 起業する

起業して成功する難易度が高いのは誰しもがよく理解していることだろうと思います。
東大卒でもかなり難しい行為です。

中卒・高卒社長は世間にもたくさんいますが、経済的な成功を収めている人は極めて少数派で、成功者のように振る舞ってはいますが、実態は借金だらけという人の方が多いです。

そもそも、起業して大成功できるかどうかは、給料以上の利益を会社に与えてくれるような優秀な人材を何人雇えるのかという点にかかっています。
会社経営は利益構造が極めてシンプルで、一人当たり利益 ✕ 人数で決着がつきます。

言い換えると、起業で成功できるかどうかは、よほど優れたビジネスモデルを生み出すとかでもない限りは、優秀な人材の獲得競争に勝てるかどうかにかかっているのです。

そして、そういう優秀な人材の多くは、私の知る限り名門大学卒の人たちが圧倒的に多いです。
私の実体験としても、ある程度学力がないとビジネスの世界で通用しないことが多いので、やはり学歴がある人たちの方が優秀である確率が高いです。

そうだとすると、そういう高学歴の優秀な人材が、わざわざ高卒社長の下に就きたがるかという問題が出てきます。
彼等は学生時代に相当な努力をして有名大学に進学していますから、自分より努力をしていない人間、学力が低い人間の下でわざわざ働こうなんて思わないことが多いです。

それに、わざわざそんなリスクを取らなくても、彼等は有名な大手企業に比較的簡単に勤めることができます。
その方が安定して高い報酬がもらえるので合理的です。

その結果、高卒社長が雇える人間の多くは、有名大学を出ているけどあまり使えない人か、もしくは自分と同等以下の学歴の人たちばかりになってきます。
そのような人材の中から優秀な人材を選定して、かつ、能力を100%活かして、大きな利益を獲得し続けるというのは、私からすると神業に属する行為です。

現に今まで1000人くらいの大中小様々な企業の社長に会っておりますが、その中で明らかに成功しているといえる人たちのほとんどは、有名大学卒の社長たちばかりです。
高卒以下の学歴の人はほとんどいません。
その理由は、上記のような構造によって人材獲得に苦戦しているからだろうと思っています。


(2) 個人事業主としてがんばる

起業での大きな成功を夢見なくても、個人事業主として年収800~1000万円くらい稼げれば十分だという人もいるでしょう。
その程度の年収で良ければ、高卒以下でも狙うことはできると思います。
確率としては1~5%程度だと思いますが、確かに存在はしています。

しかし、継続性という観点で極めて難易度が高いです。

例えば、私の知人のYouTuberが高卒で月に200万円くらい稼いでいますが、全盛期からすると所得は半分以下になっていますし、今も徐々に所得が減ってきています。
YouTubeの広告単価はかなり変動しますので、長く稼ぎ続けられるのは極々一部のクリエイターだけです。

他にも、電気工事士として高卒で1000万円近く稼いでいる人が知人にいますが、かなり不安定な所得で毎月大きな変動があります。
夏場の稼ぎ時に稼げないととあっという間に年収500万円くらいに落ちるそうなのでけして楽な仕事でありません。

その他にも、年商(売上)だけで見れば数千万円以上の売上を上げている高卒者はいくらでもいますが、そこから売上原価と販管費を引くとマイナスになる、または少額の利益しか残らないという人が大半です。

たしかに、車はベンツやBMWなどに乗っていて、一見すると成功者のように見えますが、財務状況を知っている私から見ると、とても成功者とは言えない状況です。
いつどうなってもおかしくないですから、絹豆腐の上でリンボーダンスを踊っているようなものです。


(3) 営業職で実績を出し続ける

所得という一点だけで見た場合、高い年収を得ている高卒以下の人が最も多いのは営業職です。

私の知り合いにもいます。
大手企業や有名企業の社員という人はほとんどいませんが、ベンチャー、生保、損保、光通信系、不動産などの営業職として1000万円以上の年収を稼ぎ続けている人は少数ですが存在しています。

そういう業界は学歴なんて関係ないので、気合いと根性があって、多少の倫理観の放棄さえできればいくらでも稼ぐことができます。
年収2000万円以上を稼いでいる人も何人かいるので、高卒でも夢を見れる世界です。

ただ、営業でずっと業績を出し続けるのはかなりしんどいです。

それに、営業職の大半はメンタルをやられて辞めていきます。
日々ノルマに追われ、来る日も来る日も誰かに何かを売りつけないといけないので、メンタルが鋼またはチタン合金製じゃないと耐えられないと思います。
私の中では、10年以上営業職で活躍し続けられる人というのは、それ自体がとても貴重な才能の一種だと思っています。


(4) 学歴が関係ないその他の職種でがんばる

その他にも、最近ではエンジニアやマーケターという職種が脚光を浴びていて、年収1000万円以上もけして珍しくありません。

そして、それらの横文字系職種の世界では学歴なんてあまり関係なくて、技術がすべてという雰囲気があります(大手企業は別)。
そのため、実力さえあれば良い職に就ける可能性があります。

私が知る限りでは、技術より運で高い年収を得ている人が多い気がしますが、それでも夢がある職業であることには変わりありません。

そういえば、私の知人がとあるベンチャーのエンジニアになって、たまたま初期の頃にいたという幸運に恵まれてストックオプションで相当儲けてました。
たしか2000万円以上の臨時収入が入ったと言っていましたので、そういうビッグチャンスもある職種です。

しかし、こちらも営業職と同様で、大半の人が激務という状態になります。
けして楽しい仕事とは言えないと思うので、長く続けられるかは怪しいところです。


以上の理由により、低学歴のままだと所得を上げづらく、しかも一時的に年収を上げてもそれを継続し辛いという状況が存在します。
そのため、一部の特殊な能力を持っている人以外は、高卒のままで戦うというのは厳しいだろうなと思います。



理由2.運良く長期間稼いでも使ってしまう

極稀に、高卒以下の学歴でも長期間高所得を稼ぎ続ける猛者がいるのですが、その人達の多くが、全然資産を形成できずに晩年を迎えます。

なぜなら、全部使うからです。
笑えるくらい金遣いが荒いんです。

そもそも、高卒以下の学歴から一発逆転で大当たりかましてやろうという人たちが多いですから、元々ギャンブラーの性質を強く有している人が多いです。

そして、性質的に自信家(自信がないことの裏返し)で、見栄張りな人が多いので、後輩や同僚に奢ってあげたりするわけです。
それが日々積み重なっていくので、全然お金が貯まりません。

特に男性に多いのは、異性にお金を使いまくる人たちです。
せっかく稼いだお金をキャバクラやスナックでアホみたいに使います。

私の知人に、高卒なのに既に生涯年収で5億以上のお金を稼いでいる人がいるのですが、彼の貯金は今200万円くらいです。
それが全資産で、未だに賃貸に住んでいます。
全部飲み会と旅行で使っています。

彼の場合、根本的な価値観として「今が楽しければそれでいい。今が楽しくないなら意味がない」という信念を持っていて、名言もしているので、ある意味生き方に合っているのですが、そろそろ40代後半なので厳しくなってきています。

一方で、有名大学卒の成功者の多くは、親からのお金の教育をしっかり受けていることが多いので、無駄なことにお金を使おうとしません。
若いうちから資産形成の重要性を認識していて、所得の割にかなり質素な生活をしています。

もちろん高卒の成功者の全員が上記のような散財をするわけではないですが、実際に出会った人たちの中に散財する人がかなり多いので、高卒のままで成功するというのはなかなか難しいところがあると感じています。


理由3.資産管理ができない

最後に、高卒以下で資産を形成しても、それを維持・管理出来ない人が多いという点も理由として挙げられます。

高卒の成功者の中には堅実な人もいるので、散財をしない人も一部存在します。

しかし、残念ながら基礎学力が高くないので、難しい資産管理に関する知識が乏しいです。
そこで彼等の多くは、信頼できる資産管理会社または資産運用のプロに自分の資産の管理を任せます。

そして、騙されて資産を失います。

私が見てきた限りでも、何人もの人がそれで資産を失っています。

詐欺師や証券会社の人間からすると、高卒の成功者は良いカモです。
知識が足りないことは明白なので、簡単に騙すことができます。
それに、上述のとおり見栄張りが多いので、自尊心を上手くコントロールしてあげればすぐに信頼してくれます。

そのような事例がかなり多いので、資産を守ることができず、なかなか成功を維持できないのです。

一方で、有名大学卒の成功者たちは、自分の資産を原則として他人に預けたりしません。
自分で管理しますし、自分で運用します。

仮に誰かに運用を任せるとしても、金融機関で働く同級生や知人たちに意見を聞いて、確実に信頼できる会社に任せます。
その結果、裕福な人がより裕福になっていく構造が出来上がっています。

高卒の成功者には、そういう横のネットワークが殆ど無いことが多いので、調べようがなく、騙されやすいというのもあります。


以上のような理由から、高卒のままではかなり厳しいと言わざるを得ないです。
例外的に成功できている人はもちろんいますが、一般的な確率でいうとほぼ無理だろうと思います。

だからこそ、学歴は早い段階で手に入れておいた方が良いというのが私の見解です。
経済的成功に必須とまでは言いませんが、あって当たり前くらいのものとはいえます。

それに、有名な大学の学士または有名大学院卒になっておいて損することは無いと思うので、コストと時間をかけて取っておいた方が良いと思っています。


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