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たまごごはんの無職生活 その10-就活ってどうやるんだっけ?

 なにしろ14年ぶり?の就活なわけで。履歴書とポートフォリオとポートフォリオ、それに職種が決まらないとと言い訳をしながら退職して7か月も経ってしまった。

 その7か月が過ぎ、就活を始めない理由が尽きたところでまず取り掛かったのは業界繋がりの友人に会うこと。ワークプレイスチェンジマネージメントという仕事の需要は確実にあると思うのだが、それを確かめることと、その職種を理解できる業界人から見て自分に適性があるかということを客観的に判断してもらおうと思った。

 今回カタカナ多めです。日本語にできるところはしてるつもりなんだけど年々それがうさんくさくなっていってるのは正直否めないなぁ…

カーロッタからのアドバイス、LinkedIn
 最初に会ったのはワークプレイスチェンジを専門としながらワークプレイスストラテジーの分野で働いている若いコンサルタントのカーロッタ。キャリア的には先輩で、彼女は大学では心理学を専攻していたという元同僚。時はまだまだソフトロックダウン時なので彼女のフラットの近くのコーヒーショップで待ち合わせる。一緒に楽しくプロジェクトで働いた人と会うのはいつでもワクワクする。

「ようこそコンサルタントの世界へ! 絶対いけるよー!」

 とお墨付きをいただいた。職種を変えることによるハードルが個人的には一番不安だったのでそのことも聞いてみると、ワークプレイスコンサルタント専門のリクルートエージェントだとワークプレイスチェンジも扱っており、彼らと話をすることを勧められた。そうか、そんな専門的なリクルーターがいるのかと思う。
 おそらく問題ないだろうというありがたい私見ももらう。そして彼女は言うのだ、

「LinkedInのプロファイル、丁寧に作った方がいいよ。みんなまずそこをチェックするから。そこで自分がやりたい事をはっきりさせるのはとても大事だよ」

 と。おおお、やはりそうか。個人的にSNSってどうも自己主張が強いヒトタチのものっていうイメージがあって。アカウントもあるし一通りコンテンツも入れてあったけど就活の必須アイテムとして内容を作り込むものだとまでは思っていなかった。言われてみればビジネスで初めての会う人の場合、たいていLinkedInでその人となりをチェックしてた。特にプロジェクトのクライアントプレゼンテーション前はその日のキーパーソンについてはまずチェックしたものだ。そうかそうか。若い人の意見は聞いておくに限る。
 とすると面倒な問題が一つ。

「私のタイトル、事務所名と肩書なんだけど、それがない今はデザイナーになっちゃう。それだとコンサルタントとして仕事ゲットするの難しくなるよね?」

 そこは絶対ネックになる。コンサルタントとして採用する側からしたら、「ああ、この人デザイナーなのか。コンサルタントとしての経験なしか」
 で応募がはじかれてしまう可能性はかなり高い。自分も採用する側にこの7-8年はいたのだが、経験と肩書でまずふるいにかける。そうなると難しいよねぇ、と言った私に彼女はこうのたまった。

「LinkedInの肩書は会社におけるタイトルとかじゃなくていいんだよ。自分を表現するんだよ。例えばワークプレイスイノベーターなんてどう? 嘘はついちゃだめだけど、クリエイティブである分には全然問題ないよ」

 おおお、と思った。やっぱり世代でSNSに対する考え方は全然違う。物心ついたときにはもうそこにあった世代と、ポケベルから始まっている世代ではもはや別の世界の人間なのだ。カーロッタはあなたなら絶対いけるよと太鼓判を押してくれたので、職にさえありつけばなんとかなるなという自信がついた。そして私のToDoリストに「LinkedInのプロファイルの見直し」が書き込まれた。

ギャリーからのアドバイス、資格
 次に会ったのは家具ディーラーのギャリー。かれこれ10年以上の付き合いで年上、気心も知れた相手だ。オフィスインテリア業界ではファニチャー、ようするに家具はビジネスとしてなかなか大きい。彼らはそれこそ100以上の家具メーカーと繋がりがあり、それらを卸値で仕入れてクライアントオフィスのオフィスに配達、設置する。クライアントがこれを自分でやろうとすると最低でも10社と話をつけてそれぞれの配達を調整することになる。

 例えばデスクチェアなら脚の仕上げ、キャスターはつけるか否か、背もたれの仕様、座面の生地や椅子としての機能など、決めることは驚くほど多い。保障期間も色々だ。
 そういう面倒なことを全部やってくれる上に卸値で買えるのだ。ものにもよるがデスクとかだと半額から、有名メーカーでも最低15%くらいのディスカウントは効く。そしてそれらの家具を選ぶデザイナーとファニチャーディーラーの関係は浅くはないわけで。
 ちょっと話が反れてしまった。正直どこまでが一般常識なのかわからないのとイギリスと日本ではまた事情が変わってくるので一応説明しておく。

 ギャリーはもともとはジャーナリストという経歴の持ち主で、そのせいもあってか人から話を引き出すのがとてもうまい。そしてこの業界も長いので幅広く人脈がある上に仕事柄クライアント側の問題やトレンドなんかにも精通している。そんな彼と久々に会って今の考えを話してみると、

「いいんじゃない? 友人として、業界の人間として正直に言っても全然いけると思うよ。需要は確実にあるし向いてると思う」

 と好感触。そして彼はこうのたまった、

「チェンジマネージメントって資格必要なの? どんな資格があるの?  資格って絶対役に立つよ」

 おおお、確かに言われてみれば資格がないわけがない。こっぱずかしいことに調べてみることすらしていない。正直に答えると彼はスマホを取り出して調べ始めた。そうなんだよなぁ、こういうこと思いつかないのってぬるま湯につかりきってたんだなぁと思った。
 まずはネットで調べてどんな資格があるか、簡単に取れるのか、取るとすればどれがいいかをコースも調べないと。資格、というツールを手に入れねばと思った。ToDoリストに足しておく。

ノルからのアドバイス、ネットワーク
 3人目にあったのはワークプレイスストラテジーの専門家であり元同僚。いくつかのプロジェクトで一緒に働いて気心も知れているしかつとてもいいやつ。年も似たり寄ったりかな。彼は今は業者サイドに移り職場にどこにどれだけ人がいるのかをモニターしてそれをデータとしてまとめるという会社でセールスをしている。ワークプレイスストラテジーはとにかくデータがないと始まらないのでそれを支える職でもある。
 私は彼からかなりワークプレイスストラテジーとはなんぞやを教えてもらった。彼の前にも数人のコンサルタントと仕事をしているうちにこの業種にどんどん興味を持っていったのもある。悲しいかな、苦労してたどり着いたストラテジー(辞書によると戦略、方略という言葉になるのだけどどうもしっくりこない)が実際にはコミュニケーション不足だとか管理職の理解不足で機能しないとか活用されないなんてことがままある。ストラテジーは正確なデータが必須なのだけどそのデータを集めるはクライアントの理解が必須で。そして信頼できるデータに裏付けられたストラテジーはデザインする側にとっては必須なのだ。

 わかりやすく言うとデータが不確かなままロジックの通らないストラテジーをベースにオフィスデザインをすると実際に使う側の人間がオフィスにやってきたら空いているデスクが見つからないとか空いてるミーティングルームを取るのが至難の業、ということが起こる。もしくは逆にデスクや部屋が余った状態が常となり、家賃を無駄にすることにもなる。

 また横道反れてしまった。彼とはランチを誘ってタイ飯を食べながら一通り話す。ノルはのたもうた。

「全然いけるよー。専門のリクルーター紹介するよ。この分野は経歴が色々な人が多いから問題ないし向いてるよ! あと業界で人探してる人がいたらLinkedInするね!」

 おお、またしてもLinkedIn。これは緊急度がトップクラスだ。そしてやはり40代の転職はネットワークなんだなと思った。でもこの時点ではまだまだコネクション抜きでやろうと思っている。

エマからのアドバイス、信頼
 
さて、アドバイス収集1巡目で最後に会ったのはプロジェクトマネージャーのエマ。彼女との付き合いも結構長い。プロジェクトがらみで知り合ったのが最初だがそこで彼女が現旦那と知り合うところから彼らが結婚するまでずずっと見てきた。彼女が勤めているのがグローバルなエンジニアとコンサルタントの会社なのでまた別の視点が聞けるかなと思った。
 お互いビールのみなので彼女の家の近所のパブで。かなり久しぶりに会ったのと共にビール好きなせいもあってあまり深く突っ込んだ話にはならなかったけど彼女も、

「向いてると思う。うちにもそのセクションあるから話し通して欲しかったら言って?」

 とのたもうてくれた。信頼ってすごいなと思った。

  イギリスに住んで20年になるとはいえ、20代後半までは日本でしかも建設業界にいたので私は自分を売り込むというのが未だに苦手だ。自分なりのアピール方法とか売りはわかっているつもりだけど、基本は時間をかけてじっくり系。なので職種を変えてかつ就活となるとかなりハードルが高い。まずはそんな自分を知っていてかつ業界にいて、自分の意見があって、さらに正直に意見をくれる業界の友人に会おうと思った。4人に会ってそれぞれが異なった視点から意見をくれ、かつ後押ししてくれた彼らには感謝しかない。

 LinkedInと資格。就活って履歴書送るだけじゃないんだよな、ということを今更学んでToDoリストに向き合うことにした。

つづく

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