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100年の伝統校でも校則って変えられるの?


2022年8月20日講演レポート

TTL51「100年の伝統校でも校則って変えられるの?」
~みんなが幸せになれる校則とは?~
@安田女子中学高等学校


講演後の集合写真


0.ルールメイキング・プロジェクトとは?

「ルールメイキング」とは学校の校則・ルールの対話的な見直しを通じて、皆が主体的に関われる学校をつくっていく取り組み。校則を見直したり、変えたりすることが目的でなく、生徒や先生同士で対話を重ね、みんなの納得解をつくっていくプロセスを大切にしている。認定NPO法人カタリバが2019年から取り組みはじめ、経済産業省「未来の教室」実証事業として採択されている。

https://rulemaking.jp/about/


簡潔に言うと、学校の当たり前を変えていくこと。

生徒や教員同士で対話を重ね、みんなが納得した上での過程を重視して、学校の校則やルールを見直していくことです。

現在、ルールメイキングを実施している学校は、全国で127校。


1. なぜルールメイキングを始めたのか


Q. なぜルールメイキングを始めたのか?

A. 安田の伝統や校風、大切にしていることと生徒・保護者の校則についての評価に大きな差がああり、一部の校則は時代の変化にあわせて見直していく必要を感じていたから。

一方で、「ブラック校則」といった言葉で校則が社会問題として取り上げられるようになり、社会的圧力で変えていく流れができつつあった。

現状を変えるには2つの方法があり、

1.徹底的に闘い、扇動し、相手を追い詰め、自らの正義を貫く(ディベートスタイル)

2.相手を理解し、自らの考えを伝え、共通のゴールを見出し、共に進む(対話・協力的スタイル

しかし、後者はモデルがありませんでした。
対立的に変えるのではなく、
”対話的・協力的”に変えていくモデルが必要と考えて、ルールメイキングをスタート。

2. 安田副校長先生のこれまでの取り組み

ルールメイキングをどのように進めていくのかを、専門家と話し合いながら準備。3月からコロナのため休校があったが、オンラインミーティングを重ね、アンケート企画と新入生歓迎プロジェクトを実施。

ルールメイキングの始動する直前、全教員が集まり、校則やルールについて対話する研修会を実施。
ポイントは「生徒だけのための」校則にならないこと。「みんな(教員・生徒・保護者・地域)が幸せになるための」校則を目指した。



3. ルールメイキングによる生徒たちの変化

ポスターの言葉にも変化が表れています(左2枚)
2期生からは、カバンの金具に髪の毛が挟まる問題から、生徒がカバン業者と対話を重ね、解決策を作り上げた。


「安田を動かすのは、私たちだ。」
「自分を律し、自分を愛する。」

安田女子中高 ルールメイキングメンバー募集ポスターより


校則を見直したい

ルールメイキング(どんな学校にしたい)

『当事者意識』自分たちの学校で
『対話する力』みんなが納得するルールを
『自己肯定感』実現できたことで
『愛着』学校を好きになる

ルールメイキング後、生徒に当事者意識(自分事)が育まれ、結果、生徒自身が学校を好きになるのはとてもいい変化ですね。

4.ルールメイキング、本当の目的

10年後、どんな学校でありたいですか?


本当の目的は「どんな学校でありたいか」を問い続け、求め続ける学校であること。ルールメイキングはそのための1つの手段。



代表山崎の感想

(1)校則を変えるための教材やカタリバの協力も得ることができるから、”自校ではできない”は通用しない。どの学校でも可能性がある!

https://rulemaking.jp/

(2)課題発見・解決学習をどの学校も取り入れているけど、地域や世界の課題を発見もいいが、校内の課題・目の前の課題に目を逸らしていいのか?ルールメイキングは「PBL・主権者教育・教科横断・生徒の自己肯定感・自分ごと化」等々につながる教育のツールでもあり、周りの幸せにもできる。できることは目の前にあるぞ!

(3)副校長さんの熱意が素晴らしかった。ご自身の南アフリカの経験から、先生や生徒と共通ゴールを見つけるための会話や研修を丁寧に熱心に行った結果である。「どんな学校にしたい?」をみんなと対話する、その一つの手段がルールメイキング。学校運営の本質が見えた、勇気がもらえたお話でした。


参加者ライターの感想

私が学生の時、学校の校則やルールに縛られて窮屈でした。社会人になった今、振り返ってみると、校則や細かなルールが多かったと感じます。人は、環境次第で窮屈にも自由にもなります。先生や生徒、保護者、地域の声を傾聴し、お互いが幸せになることを目標に対話を重ねる機会を作っている安田副校長先生に感無量です。


最後まで読んでいただき、
ありがとうございます!


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