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G-Lon note#3 数学の授業をハックするvol.1

少し大きなテーマでインパクトを与えましたが,ここにある内容は,広島大学の卒業生組織している一般社団法人尚志会 会誌「尚志会」に掲載された内容
 「生徒が主体的に学ぶことができる,問いづくり,授業づくり,評価づくり」(山﨑友亮)の一部です。

もし,本冊子を読みたい方は無料でお届けしますので,こちらまでご連絡先を入力してください。1週間以内に配送いたします。↓(私よりも素晴らしい論述もたくさんあると思います。)

尚志会 オンライン交流企画 学びのフォーラム にも登壇します。(11月14日(土)14:00~16:00)ご興味あればこちらもどうぞ。

これまで10年間高校の数学教師をしていて抱く違和感

それは,定期考査が終われば学習内容を忘れ,受験科目でなければ数学を勉強しない生徒をこれまでたくさんみてきたことだ。目の前の定期テスト,受験のためでなく,子供たちが残り80年生きるであろう人生のための数学であってほしい,そう願っています。

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教員10年やっていて,初めて数学の授業中に外へでました。

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生徒へ出したお題は2つです。

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②の数学っぽさは可能な範囲でとも言いました。分からなかったら➀の問いだけもっておいで,と言いました。例えば,「空はなぜ青いの?」というのは光が関係していて,屈折する角度も数学だし,光の波も数学になる(sinθ,cosθ)。何でも数学になりうるから自由に問いを見つけておいでとなげかけました。

生徒は,授業中に外へ出れるで楽しそうに,出かけていきました。

生徒のみつけた問い(一部)

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なぜ,橋はアーチ状なのか。
②なぜコンビニのローソンのマークにはミルクがあるのか。
③昇りやすいスロープは何度か。
花弁の数には規則性があるのか。
⑤河川敷の石垣はなぜあの形なのか。

ここまで要した時間は,2hだけです。

【生徒の感想】
● 普段は数学に関する疑問を調べることがなかったので想像していなかった疑問がでてきて面白かった
● 日常的に数学的なことなんてほとんどないと思っていたけど,意識して探してみる意外とあって楽しかった
疑問だけで終わるともったいないので追求してみるのもよいと思った。
● 実際にどうなのかを検証してみたいと思った。

というわけで,生徒の要望に応えて継続して検証することとした。

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検証をしてみて面白かったのが,既習済みの学んだ知識(三角比や三平方の定理)も,現実の世界では使えないことが分かった。

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その他,橋を作って力の関係を物理学的に数学的に考察したり,黄金比白銀比を使って校章のロゴをつくってみたりと,様々な活動を行った。
詳しくは,尚志会の論文に載せています。読んでみたい方はこちらまで↓無料でお届けします)
https://forms.gle/cqojp1Rm2Gv5pxm97

この学びで大切なことは,2つ。

現実の世界で数学(教科)を使う場面に遭遇することで,数学(教科)の見方考え方を学ぶ良さを体感すること
②活動を通して身についた資質能力を評価してあげること。(評価についても本誌では述べていますし,noteでもまた別の記事にします)


平成23年(2011年)に実施された国際教育到達度評価学会(IEA)の国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の 質問紙調査結果では、国際平均に比べて 、日本の中学生は数学を学ぶ楽しさや、実社会 との関連に対して肯定的な回答をする割合が低いなど学習意欲面で課題がある。高等学校 では、「数学の学習に対する意欲が高くないこと」や「事象を式で数学的に表現したり 論理的に説明したりすること」が課題として指摘されている。
(次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ 平成28年8月26日 文部科学省)

 私の10年の教員生活の経験上だけの話だが,多くの数学教員が問題をどう解くどう教えるかに注視し,受験問題の傾向と対策でとどまっていると思う。もちろんそれはそれで素晴らしいことなのは認識しているが,それらの議論と並行して,いかに「数学の力を日常で使うか」にもう少しシフトすべきだと思う。

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高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説(数学編)には,しつこいくらい↑の図が現れる。しかし,現場の高校数学の授業は↑のようなサイクル,特に【現実の世界】のサイクルの授業デザインができていないように思う。

山﨑の授業デザイン

 

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私の授業デザインも↑このようにしている。大事なことは一斉一律の授業をやめたことである。生徒の学び方,理解するスピード,覚え方,はひとそれぞれである。それを一方的に一斉に教えようとするから時間がかかるのである。一斉一律の授業をやめたら体感的には6~7割の時間で終わると思っている。残りの3~4割の授業で,街歩き数学のような探究学習を教科でも行ったらよいと思う。

G-Lonまとめ

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苫野一徳さんのこの↑言葉がとても共感する。主体的な学びのためには,身近な生活や生徒の関心から広がる学びを展開する必要がある。そのためには生徒自身が立てた「問い」が必要不可欠だと考える。生徒が身近な生活の中から、数学にかかわる問いを立て、それを起点として探究を展開し,探究が進めば「世界が多種多様な原理や価値観で構成されている」ことに気づくようになる。したがって、数学を探究の起点としつつも、やがて大きな学びに発展すると信じている。

以上のようなことを登壇してお話させていただきます。ご興味あればこちら↓ 尚志会 オンライン交流企画 学びのフォーラム(11月14日(土)14:00~16:00)

R2.11.14 オンラインフォーラム   0921


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