実写版『耳をすませば』感想

なんとなく日記的に、観た映画の感想でも残しとこうかなと思ったので書いてみます。

アニメ版『耳をすませば』は1回だけ、ツタヤのレンタルで視聴したのみ。今回の実写版はお誘いがあってたまたま観に行った。
正直前半は地獄のようにつまらなく、キャラメルポップコーンのキャラメルいっぱいかかってるやつを探して食べる作業に熱中していたが、後半は良かったところも多かった。良かったというよりは、私は好き、に近いかもしれないけど…。


映画が始まってまず最初に気になったことなんだけど、大人雫役の清野菜名さん、ちょっと大人っぽ過ぎないですか?最初、「あれ?これ10年後じゃなかったっけ?いやでもどう見ても35歳くらいの顔だよな…」って思ってしまった。お顔が大人っぽい。オブラートに包まず言うと目尻のシワとほうれい線がすごい。同い年の親友役の内田理央はあんなに可愛いのに…。下手したら職場の先輩役の松本まりか(たしかアラフォー?)より年上に見えない?松本まりかが若すぎるだけか?なんにせよ、見た目年齢35歳(当社比)の雫さんが軽い振りもつけながらニコニコと歌ったり、お母さんの作ってくれたご飯を「いっただっきまーす!」とか叫んで食べたりするわけ。服装も、キービジュアルに出てくる真っ赤なダッフルコートをはじめ、普段着はTシャツとパーカーにスウェットとか、ニットにブーツカットのジーンズとか、全体的にシンプル&カジュアルな感じ。かなり若々しい、一歩間違えたら休日の中学生みたいな着こなしだけど、やっぱり見た目年齢35歳(個人の感想)だからどうしても野暮ったく見えるというか…。内田理央は華のある大人可愛い服装で出てくるから余計に…。もう内田理央が雫役で良かったじゃん!と言いたくなるくらい、ぶっちゃけダサい。魅力的な人物に見えない。清野菜名さんが悪いわけじゃなくて、どうも見た目の雰囲気と服装が合ってない。そもそも雫のイメージってこんなかんじだっけ…?

何はともあれ話は進み、あれから10年たっても雫は小説家として芽が出ず、出版社に勤めているがそちらもパッとしない。イタリアで頑張る聖司くんとの距離は遠くなるばかり…といった基本設定の説明の中、要所要所に中学時代の回想が入る。個人的にはここが最悪ポイントで、アニメ版の名シーンをそのまんまやるんだよね。これじゃどうやってもアニメ版のクオリティと比べてしまう。滑舌の微妙な子役が、いかにもセリフ読んでます!的な演技で名シーンを真似っこ…もといリメイクするのを見るのはほんとに苦痛。というかアニメにはアニメのリアリティがあって成立してるもんなのに、それをそのまんまドラマに持ってくるのはどうなの?ドアを開けたら盗み聞きしてた大勢の同級生がドーンと倒れてくるとか、アニメだから成立してるんであって、実写でやったらコントでしかない。この回想がやたら長いし、多い。前半はこんな具合の回想ばかりで、当然この間は10年後の本筋の話は動かないわけで、これが本当に苦痛の時間。ポップコーンも進む。

でも後半はそんな回想たちも鳴りを潜めて、正直良いなと思うところはいくつもあった。一つは仕事の描写。恋愛映画は仕事は添え物みたいな扱いになることもあるけど、この映画は仕事の中で失敗して葛藤して乗り越える描写がしっかりあって、そこは見応えがあった。仕事をする描写がしっかりしてると、登場人物が本当に生きてるように見える気がする。生活感というか、実在感というか。あとは大人になってからも夢を追うべきか、現実に生きるべきか、みたいなテーマは個人的に好きなので、ちょっと刺さった。多分、刺さる人多いんじゃないかな…。

この先はちょっとネタバレ



なんやかんやで雫は聖司のいるイタリアに行くんだけど、聖司には同じ楽団で仲良くしてるイタリア美女がいて、彼女は雫に「私のほうが聖司を好きだぞ!!」と宣戦布告。雫はショックのあまり部屋を飛び出して、そのまま聖司とは言葉を交わさずに日本に帰国する。親友の夕子には「別れてきた」と報告する…。こういうの私どうも苦手なんですよね。別れ話してないじゃん。それ、聖司くんはホントに別れたと思ってる?飛び出してきただけだよね?こういうところちゃんとして欲しい。いや話し合えよ!もう良い大人なのにそりゃないよ!って思ってしまう。どうしても別れたことにしたいなら、あの演奏会前のシーンで雫が一方的に別れを告げ走り去り、聖司は本当は追いかけたいけど演奏会をすっぽかせないから涙を飲んで追いかけない…みたいなシーンがあればまだ分かるんですよ。でもあれじゃ別れてきたことにはならなくない?なるんですかね?私だけか?そりゃ映画では描かれてないシーンがあるのかもしれないけど…。
こういう勘違い・すれ違いの展開、子供の頃は「おとなってこういうこともあるのかなあ…」とかアホみたいに思ってたけど、大人になればなるほど「いやないわ!!ちゃんとコミュニケーションしろよ!!!だからお前らはダメなんだろうがよ!!!!!!!」って思っちゃう…思わない?


あと雫が聖司の部屋を飛び出した後に不可解なシーンがありましたよね?あれなんですか?すごい怖いんですけど…
まず部屋を飛び出した雫を追って聖司くんが外に出てくる。外は夜で、うっすらサイレンが鳴ってる。そしてイタリアの夜景のインサートが入ったのち、雫が橋の欄干にちょこんと座ってるカットに切り替わる。(見た目年齢35歳(略)で橋の欄干に少女のように足をブラブラさせてお座りになられて…みたいなことも思ったがそれはまあ良いとして)そこにやってきた聖司くんが笑顔で「なんだ、ここにいたのか」みたいに話しかける。雫が「見つけてくれると思った」みたいに答える。このシーン、もう朝なんですよね。明るいんですよ。あ、朝まで探したんだ!朝まで探してその軽いテンションで話しかけるんだ……と思った次の瞬間、無音になって雫が消える。橋の欄干に寄りかかる聖司くんだけになる。え?幻覚?朝まで雫を探して限界を迎えた聖司くんがみた夢?直前の部屋を飛び出すシーンでサイレンが鳴ってたのもあって、もしかして雫は事故って死んじゃったの!?みたいなことまで考えたんだけど…。でもその次のシーンでは、聖司くん普通に演奏会出ようとしてる感じで、気が触れてる感じでもないし、そこに雫も普通に現れるし…。明らかにこのシーンだけ浮いてるんですよ。なんか意味があるの?このシーンがあるせいで、雫は仕事が辛い上に聖司くんに浮気され絶望してあの橋から身を投げて、この映画はそれで気が触れた聖司くんの回想あるいは妄想の物語なんじゃ…みたいなことまで考えちゃうんですけど!あのシーンなんだったかわかる人募集!!!!

色々書いたけど、トータルで見たらそんなに面白くない映画ではなかったと思う。特に後半。ただやっぱり前半は苦痛。あと終盤にようやく気付いたがよく見るとあの街は恐らく聖蹟桜ヶ丘ではない。あとカントリーロードも出てこない。そうなると当然コンクリートロードも出てこない。ジブリファン(視聴回数一回)としてはちょい残念でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?