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ミスチルとアメリカ、そして日本~私のミスチル30周年記念三昧セットリスト~

あなたのミスチルとの最初の出会いは何ですか?

私の場合、それは、意外にもニュース番組でした。


2022年5月10日、Mr.Children(ミスチル)が30周年を迎えた。

そして去る2022年5月5日。NHK FMで"ミスチル30周年"三昧が放送され、 出演者たちによる30曲の「妄想ライブセットリスト」が発表された。それに触発されて、私も妄想セットリストを考えることにした。テーマは「ミスチルとアメリカ、そして日本」である。

ただセットリスト紹介の前に、私のミスチル体験についてお話ししようと思う。
なぜなら、これを語ることでセットリストのイメージがより鮮明になると思われるからである。


ミスチル体験

私の初ミスチル体験。

それはテレビだった。何の番組か忘れてしまったが、曲ははっきり覚えている。『掌』だ。

そのとき、私は10代前半だった(リリース2003年なので中学生なったばかりくらいだ)。だからなのか、はじめに印象に残ったのは「キスしながら唾を吐き」「舐めるつもりが噛みつく」という歌詞の方だった。ガキだったから「エロい歌だな!」としか思わなかった。歌唱中は歌詞の内容はよく知らずぼーっと見ていた。しかし、歌詞のテーマは(あとから知ったが)「反戦」「対話」だと言えるだろう。

もう一つ、テレビでの印象的なミスチル体験があった。しかし、それは音楽番組でもテレビCMでもなく、ニュース番組だった。たしか、筑紫哲也時代のNEWS23。

そこで披露された曲は『タガタメ』だ。

当時は9.11アメリカ同時多発テロからのイラク戦争があり、21世紀は開始早々混沌の様相を呈しているように見えた。そこで番組からミスチルに白羽の矢が立ったということだったのだろう。

余談だが、『タガタメ』歌唱後のインタビューで「こんな(壮大な、メッセージ性のある)曲書いてるけど家に帰ったらうだつの上がらない夫です」みたいなお答えをしていたのを覚えている。(記憶があいまいだ。覚えている方は教えてほしい。教えてください。笑)

ここで不思議なのは、このnoteを書く以前は、『掌』『タガタメ』が前述のNEWS23内で同時に披露されていたと記憶していたことだ。しかし、実際はそうではなかった(wiki調べ)。同時に披露されていたと錯覚する程に、その2曲のインパクトが強かったのだろう。

この二つのテレビでのミスチル体験が、私のミスチル像形成の大きな一つのきっかけだった。

カップヌードルCM

私のミスチル像形成にまつわるミスチル体験にはまだ続きがある。

続いてのミスチル体験は、日清カップヌードルのCM である。

今でもYoutube に上がっているから見てみてほしい。「NO BORDER」と検索しようとすればすぐだ。予測変換ですぐ出てくる。

あの『タガタメ』をBGMに、外国とおぼしき場所で少年兵が冒険したり、仲間たちと連帯して権力者に立ち向かったりする。壊れた戦車に花が生い茂る映像が流れるバージョンもあった(記憶が曖昧!)。

そして映像の最後には「NO BORDER」というコンセプトロゴと日清のロゴが現れる。

CMのコンセプトは反戦・平和・対話(のはず)。世界のために日本は何ができるだろう?…そう思わせるような、考えさせられる内容のCMだった。

現在の、ネットミームにのっかったような寒っむいCMブランディングとは真逆の意識の高さ!もちろん、このとき(NO BORDER)の方がずっと私の好みだ。(担当者を問い詰めたい。)

その後も 『and I love you』 が同じCMの曲に使われた。このCMに起用されたのもあるのか、ライブでは戦争と平和に関わる映像をバックに披露されることもあった(2015年の未完ツアー)。

ここで感ずいた方もいるかと思うが、私のミスチル像は、意識が高いミュージシャン、というものである。「意識が高い」というと揶揄の意味で使われることが多いが、ここではポジティブな意味で使っている。

Bank Band『to U』

しかしもう一つ、このnoteを書く以前は忘れていたのだが、実は私のミスチル像形成に影響を与えたものがあった。

それは、桜井さんと小林武史氏が中心となって設立した団体「ap bank」(2003)の活動の一環として結成されたバンド・Bank Band の名曲 『to U』(2006)との出会いだ。

このこともあってか、私の中ではミスチル(というか桜井さん?)は意識の高いミュージシャン、バンドだな、という印象が形成されていったのではないかと思われる。つまり、私が出会ったミスチルは、「世界について考える意識の高い空気をまとっていた」バンドだったのである。

ポリコレ三部作~ミスチルとポスト9.11世界~

ミスチルの、世界について考える意識の高い空気をまとっていた時期(2001年~2006年)のことを、私は勝手に「ミスチル・ポリコレ期」と呼んでいる(該当のアルバムは『IT'S A WONDERFUL WORLD』『シフクノオト』『I ♥ U』)。

ポリコレとは、「ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ?)」のことである。近年、とくにSNS上では嘲笑の意味で使われるようになってしまったが、悪い意図も良い意図もなく、フラットな言葉として私は使う。ただし、正しい使い方ではないと思う。あくまでもイメージとして受け取ってほしい。

ただ、ポリコレという言葉は使わないまでも、この時期について言及している放送があった。冒頭でも紹介した"ミスチル30周年"三昧である。

"ミスチル30周年"三昧の放送は二部構成となっており、冒頭で述べた「妄想ライブセットリスト」は放送の第1部である。その第2部として、ミスチルを長年取材してきた鹿野淳さんによって、「Mr.Children30年史」と題された約2時間の一人しゃべりが行われたのだ。そこでは、ミスチルの歴史をいくつかの時期に「章分け」して解説していた。私が「ミスチル・ポリコレ期」と呼ぶ時期について鹿野さんは…

桜井さんは手に入れた自分の名声やお金が、自分に相応しいものなのかと自問自答している中で、次第に「人のために、この世界のために、地球のために、自分の音楽があると受け取れるようになってきた」とのことで、その後「メッセージソング」(『HERO』『タガタメ』『掌』)等を作るようになる。…のだとか。

鹿野さんは、この時期に発表した作品群(『シフクノオト』、『 I ♥ U』、『HOME』)を「三部作」と表現していた。

一方、私は、この章の冒頭で挙げた「ミスチル・ポリコレ期」のアルバム群を「ポリコレ三部作」と名付けたい。

■『IT'S A WONDERFUL WORLD』(2002)…僕らにはまだできることがある。(『蘇生』収録)

■『シフクノオト』(2004)…(命のリレーを)繰り返していくことが愛しい(『タガタメ』『掌』『HERO』収録)

■『I ♥ U』 (2005)…傷つけあう為じゃなく、僕らは出会ったって言いきれるかな。(『and I love you』収録)

鹿野さんの言う「メッセージソング」を作っていた時期と、私が思う「ミスチル・ポリコレ期」は同じような時期を指していると言ってもよいだろう。ただし、該当するアルバムに関しては、鹿野さんとは少しズレている。

その理由には、私がミスチルと出会った時期が大いに関係してくると思う。

ミスチル体験に前後して、偶然にも兄がミスチルを聴いていた。実は兄の影響で、ミスチルを聴き始めた。そのとき聴いたのが、先程挙げた三部作及び2001年発売のベスト版2枚、そしてBank Bandの『to U』だったと思う(当時、『HOME』は未発表だった)。その時期は、私の中の「ミスチル第一次ブーム」だったと言えるかもしれない。
そしてそれは同時に、「9.11アメリカ同時多発テロ」(とそれに続くイラク戦争)の余波が日本をも覆っていた時期と重なるのである。ミスチルが「世界について考える意識の高い空気をまとっていた」のは、そういう世界情勢の影響を否が応でも受けた結果なのだと思う。

また、兄がミスチルから離れたことによって、私はミスチルから離れていた時期があった。大学入学前後、シングル『HANABI』及びアルバム『SUPERMARKET FANTASY』から本格的にミスチルに戻る。以後、全オリジナルアルバムを聴くようになり今もファンを続けている。つまり、『HOME』を聴いたのは大学生になってからである。

そういうこともあって、私にとっての三部作と『HOME』は別個のものだという印象がある。また、個人的に『HOME』は日本国内に閉じた印象があって(よく聴くとそうでもないのだが)、海外(世界)をも意識している(これも単なる印象であるが)『I ♥ U』 までをポリコレ期と呼びたいのである(『HOME』以降は「国内回帰期」とでも呼べるかもしれない)。

さて、ここまでつらつらと語ったため、セットリストのテーマがわかったことだろう。以下、妄想セットリストを公開する。

妄想セットリスト「ミスチルとアメリカ、そして日本」

1. overture蘇生… 「アジアの極東」とは「日本」のことだが、「アジアの極東ってどこだよ!」とはじめて聴いたときは思った(中学の時だからか?)。どこかで自分たちはアジア(あるいは東洋)とは違う、と思っていたのかもしれない。もちろん、この曲はポジティブな理由で頭に置いたのだが、ある意味ハッとさせられる曲でもあると感じたは私だけだろうか。…次の曲の歌詞に繋がるかもしれない。

2. 光の射す方へ … 東洋人の顔して西洋人のふりしてる(オーバーなリアクションといえばアメリカ人?)女性が登場し、主人公は嫌気がさす。…それでも、光の射す方へ進もう!

3 .everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-…あなたが支える明日のニッポン!つらいこと多いけど頑張ろう。

4 .アンダーシャツ…平和でいいな戦争のない国(日本)。BOLEROの流れを汲む風刺ソングだけど、汗を流せ、がんばれ!というメッセージソングでもある。

5.Asia(エイジア)…街並みは自由の国(アメリカ)に魅せられ、とあるように、この曲で描かれているのは、東洋人であるにもかかわらずアメリカに憧れている日本の姿だ。しかし、理想と現実は違う。理想の暮らしは脆く、結局のところアメリカのようにはなれない。それでも「愛という名の誇り」を守ろうと気づき始める。意外と指摘されていないけど、この曲かっこよすぎない?

<MC(ポジティブゾーンに入ります)>

6.Everything is made from a dream…「愛という名の誇り」に続いて、「夢」について歌う。この曲もポジティブな意味合いで配置した…はずなのだが、組んだ後見返してみると少しゾッとする。歌詞に出てくる「核爆弾」は、日本に対してアメリカが使ったものではないか…。

7.口がすべって…「夢」は自分たち次第。しかし、憧れの対象であるアメリカとかつて争ったように、世界では争いが絶えない…。だけど、許しあえる力を持ってる、それが「人間の良いとこ」であると信じたい(「夢」≒「願い事」!)。

8.かぞえうた…東日本大震災をきっかけに製作。日本への応援歌として採用!

9.and I love you…前述の「NO BORDER」で使われた曲。未完ツアーと被るけど、映像の演出あり。映像はCMのヤツをそのまま使っても良い。

10.Documentary Film…全世界が遭遇したコ口ナ禍において、大きな意味を持っている曲だが、個人的には「NO BORDER」のCMで使われてほしい曲でもある。ていうか、日清よ、今こそNO BORDERのシリーズを放送せよ!…次曲との繋ぎが序盤のキモである!

11.タガタメ …序盤のクライマックス。この二曲は絶対に並べて配置すると決めていた。ちなみに、ディカプリオはアメリカ人の俳優。

<MC(中央ゾーンへ。)>

12.十二月のセントラルパークブルース…ダコタハウス、セントラル・パークは、アメリカのマンハッタンにある実在の地名。桜井さんは実際に行ったこともあるらしい。

13.もっと…「悲しみの場所」とは、アメリカ同時多発テロの現場の跡地のグラウンド・ゼロのこと。

14.others…アメリカ史紐解く文庫本、ブルース(アメリカ発祥の音楽)。みんな指摘してないけど、桜井さんのアメリカ好きを感じる曲。アウトロの壮大なストリングスもアメリカの歴史を体感しているかのよう。

15.1999年、夏、沖縄…日本の縮図であるかのようにアメリカ(軍基地)に囲まれていた沖縄に物悲しく感じる。だけど、必死で働いた後のお酒の素晴らしさに気づき、「戦後の日本を支えた物の正体」をなんとなく感じ、柄にもない大きなことを考えたりする。そういう桜井さんの姿勢が好き。

<中央ゾーン終了→不穏なBGMが流れる。ネガティブゾーン突入。>

16.さよなら2001年…アメリカ同時多発テロを意識した曲。前の曲がポジティブなのだが、ネガティブな曲にすることで雰囲気を変える。

17.臨時ニュースマシンガンをぶっ放せ …前曲の不穏な空気のまま、不意に始まる臨時ニュースからのマシンガン。セトリ15曲目~17曲目の流れ、我ながら感心!

18.タイムマシンに乗って…侵略の罪・敗戦の傷を知らず、過去の歴史を忘れて愛こ(おっと誰か来たようだ) 。アームストロングはアメリカのミュージシャン。

19.傘の下の君に告ぐ…「傘」とは、在日米軍の傘、という意味らしい。

20.#2601 …ミシェル・ファイファーはアメリカの女優。ここ、笑うとこ。

21.ゆりかごのある丘から…「争いには勝った」から少なくともWW2の日本ではない。というか、この世界とは同じ世界線ではないのかも。だけどなぜかアメリカっぽい。…なんかミスチルの曲ってどこかアメリカ感がある(『思春期の夏 ~君との恋が今も牧場に~』もそう。牧場って日本にもあるだろうけど、カントリー調の曲がそう感じさせるかも)。

22.fantasy…前曲からのつなぎ(ヘリの音~ドラムロールからのイントロ、聴いてみて!)…反戦ソングのイメージはないかもしれないが、ラスサビの”僕らは~「いびつ」で大きな隔たりを越えていける”という願い、誓い、「皮肉」。の部分にそれを感じる。ここからは私の独自の歌詞解釈。ラスサビの前に夢の話が出てくる。そこで自分は「兵士」となっているのだが、敵に囲まれてしまったので仕方なくそれらを撃ち殺すしかなった。つまり、問答無用で襲ってくる敵に対して、ラスサビで歌われていることは「幻想」(fantasy)なのかもしれない、ということである。このセトリの序盤では、「人はわかり合える、許し合える」(大きな隔たりを越えられる)と歌っているのだが…。2022年現在の世界情勢を鑑みると難しいのではないかと感じてしまう。何たる「皮肉」。それでも、その皮肉を道連れに、進んでいくしかない。。

23.…「いびつ」な曲線。人々は隔たりを埋め、認め合うことができるのか?

24.Worlds end …壮大な世界観が好きすぎる。 ポリコレ三部作のラストアルバム「I ♥ U」のスタートを飾るナンバー。実はミスチルのポリコレイメージはこの曲及びそのMVからも形成されている。朝の情報番組でMVが紹介されたときの衝撃が今も思い出される。『タガタメ』『and I love you』などはミスチルを知るきっかけではあったが、この曲は、ミスチルを好きになった曲である、と言ってもいい。このセットリストはこの曲なしでは完成しない。

25.進化論…「強く望む」ことが世代を越えていつか形になるなら…次の世代への希望。(前曲からのつなぎが「WALTZ」→「進化論」と似てる気がする)。序盤の「夢」がもう一度出てくる。しかし、今回は違う。核爆弾ではない、「誰も傷つけない」優しい夢だ。。

26.HERO…「命のリレー」を繰り返していくことが嬉しい、愛しい…次の世代へのバトン。

<アンコール>

27.one two three …『ショーシャンクの空に』はアメリカの映画。ライブで歌われたことがほぼない、らしいので「この曲をやってみたいと思います」で大盛り上がり。

28.花の匂い…戦争の悲劇を題材にした映画『私は貝になりたい』のテーマ曲。28と29の順は迷ったけど、イッツア除くラスト曲にしては重いかなと思いここに配置。

29.ひびき …ポジティブな多幸感のある曲!このセトリの中では最も明るい曲だと思う(ていうかこのセトリ、全体的に暗い…)!誕生日で使用されるクラッカーだが、その音は銃声に似ていて、戦地では悲しく響く。こんなポップソングの中にこの歌詞を持ってくるのすごい。さらに言うと、血生臭いニュースを「ゴミ箱に捨てる」んじゃなくて「ひとまず引き出しにしまう」のがすごく良い。桜井さんは「目を反らさない」。だけどただ悲観的になるのではなく、この曲のように日常のささやかな幸せを歌い上げる。全体的に暗いセトリだが、この一曲だけで救われる気がするのだ。

30.It's a wonderful world…僕らにはまだやれることがある。この世界は美しい。

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以上30曲。

想定より重いセットリストになってしまった。

ミスチル(桜井さん)ってアメリカのこと好きだよね?アメリカぽい曲集めたらどうなるんだろう?という軽い気持ちで始めた。

しかし、桜井さんは言うほどアメリカ好きではなく、選んでみるとむしろ「反米」的な要素が目についた(彼らが影響を受けたのはアメリカではなく、The BeatlesやU2などのイギリスのバンドらしい)。例えば、『傘の下の君に告ぐ』ではアメリカの庇護の下で浮かれて消費行動に走る人々を揶揄しているし、私がアメリカ好きを感じたと言っている「others」にしてもアメリカ史文庫本やブルースは「本命彼氏」のモノであったので、好きというよりもむしろコンプレックスに近いように思う。とはいえミスチルとアメリカの関係は切っても切れない関係のように思うので、ミスチルとアメリカ、というテーマ設定は正しいだろう。なのでそうすると「9.11アメリカ同時多発テロ」は避けては通れなかったのである。そうすると「反戦」色も強くなるし、日本の立ち位置(アジアの極東)も問題となってくる。最終的にはアメリカ、日本、反戦というものがテーマとなるセットリストとなった。

ただ妄想セットリストについて、他の方がテーマを細かく設定せずライブの流れと自分が聴きたい曲のバランス、などを重視していたのに対して、私はテーマが決まっていたので、絞り込むのは比較的容易だったと思う。

おわりに

ここまで読んでくださりありがとうございます。※この章では、敬語にさせていただきます。

今回のnoteの、ミスチルとアメリカ、ミスチルとポリコレという構想は、以前からあるものでした。リスナー1人ひとりにミスチルとの物語があるように、2001年9月11日から始まった時代の空気と共に出会ったミスチルが少年・二丁拳銃(仮)にとってのミスチルでした。

桜井さんにとっても、9.11は重要な出来事だったのではないでしょうか。以下、興味深い記事があったため紹介します。

記事ではアメリカの価値観が壊れたので「アメリカとは違う価値観を探すしかなかった」という桜井さんの言葉を紹介しています。

桜井さんは反米的だと言いましたが、桜井さん自身もアメリカの価値観に憧れを抱いていたのではないでしょうか。しかし、9.11の同時多発テロからのイラク戦争という顛末は、そういったアメリカ的価値観への憧れが揺らぐ出来事だったのでしょう。ミスチルは9.11をモチーフとした作品をいくつか発表しています(『さよなら2001年』『もっと』)。

私は、9.11からの数年をミスチルの「ポリコレ期」と命名しました。

ただ『HOME』以降、国内に目を移したミスチルからはポリコレ感は薄れてきたように思います。何があったのかは(ミスチルから一時期離れたこともあってか)わかりませんが、『HOME』を作る際に「世界に目を向けることも大事だが、より身近な場所に目を向けよう」、という地点に帰着したからなのかもしれません。

とはいえ、私がミスチルに復帰した『SUPERMARKET FANTASY』でもメッセージソング的なモノは完全になくなったのではなく、レパートリーのひとつとして引き継がれているように思います(『口がすべって』)。

ミスチルは、今後も折に触れてメッセージソングを世に出していくことでしょう。


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