傍聴席からの援護射撃

基本的に、占いはパーソナルなものです。

ものすごいプライベートなことを聞いたり言ったりすることが少なくなく、デリケートな内容も多いので、多くの相談は一対一で、なるべく他の人に聞こえないようにお話します。とはいえ、ブースが完全個室みたいになっていると、それはそれで相談者が緊張されるので、今の、バーの片隅でこっそりやってるスタイルは、私にはとても居心地いい感じです。

余談ですが、ここのバーは占いをすることを売りにしたお店ではないはずなのですが、最近、店名を入れると、検索予測で「占い」と出るのだとか(笑)

さて

パーソナルな内容で、他人に聞かれたくないはずの占いですが、ものすごい仲良しのお友達同士でいらっしゃった場合や、古くからの親友同士といった方の場合、むしろ一緒に聞いていてほしい、と、相談者の隣にお友達が座って聞いているという形式になる場合があります。

相談者の方に「友達も聞いてもいいですか?」と尋ねられるのですが、むしろ私の方が気を使って「ほんとに大丈夫?」と確認するようにしています。

というのも、今のようにオープンではなく、まだ知り合いか、その紹介しか見ていなかったころに、友人の紹介で占いを頼まれて、相談者の隣に友人が座って聞いているというスタイルで始めたら、実は友人が知らない事実がたくさんあったことが判明し、気まずい雰囲気になってしまった、というようなことが、何度もあったから。

一例を挙げると、詳細は忘れましたが
「彼氏のために借金とかしてない?」
と私が言うと、相談者を紹介してくれた友人が
「いやいや、この子に限ってそれはないよ。ものすごいしっかりしてるもん。」
と、笑って言ったところ、隣に座っていた相談者が青ざめた表情で、ものすごくいたたまれない様子になっていて、それを見た友人がにわかに表情を変え、
「アンタ、まさか!ほんとに!?」
と驚愕するという、漫画かドラマみたいなこともありました。
友人は、相談者の表情に、どうやら聞いてはいけない内容があるようだと気づき、終わったら連絡して、とお店(その時は、どこかの喫茶店でやっていました)を出て行き、その後は相談者の方と差し向かいで、他人の前では言えない悩みと、自分の葛藤とで涙涙の相談になってしまったわけですが(その後いろいろあって、別の方と幸せになられたと聞きました)。

そんなことがあるので、傍聴席に座りたいといわれた場合は、相談者に
「聞かれて大丈夫?ほんとうに大丈夫?聞かれて困ることない?」
と、少ししつこいくらいに念押しするようにしています。
これで、ご友人が遠慮されたり、相談者が「一人にしてもらっていい?」となるケースも多いのですが、
「この人は、私のことなんでも知っているし、何なら私が忘れたことも覚えていたりするから」
と、あっけらかんと受け入れる方も結構多いので、ちょっと驚きます。

女性同士の場合に多いように思いますが、本当に自分の裏の裏までぶっちゃけあっているお友達同士という関係がまれにあって、親にも兄弟にも言ってないことでも、過去の恋愛から付き合い、悩みまで、なんでも知っている同士という関係の方がいらっしゃる場合があります。この場合、過去のことやその人の性格やクセについて、本人以上に覚えていたり、理解していたりということがあるようです。

私の占いの特徴の一つ(だと思う)に、現在の問題や過去の問題を整理することで、自分の進むべき道を確認する、クリアにする、目的を認識するなどの作業をしていただくことが多い、ということがあります。

どんなに素晴らしい未来でも、それが「自分」の望むものでなければ意味がありません。また、現在の自分の悩みがなんなのか、なぜ自分は「もやもや」しているのか、などをクリアにしないと、問題を解決させることもできません。

意外なように思いますが、悩める相談者には、何が自分の望みなのかを理解していないというケースが多くみられます。様々な原因がありますが、割と多いのは過去のトラウマで、何かをきっかけに記憶を封印してしまっているのですが、そこに自分の「望み」につながる重要な要素がある場合、トラウマを克服しなければ望みを持つことも難しい、という状況が生じます。

また、社会において、人は仮面をかぶって生活していますが(ペルソナと言いますね)、自分がかぶっているペルソナと本来の自分とのズレを見失ってしまうケースも多いものです。

こういったケースの場合
「あなたの本来の性格は、意外にせっかちですよね」
とか
「あなたの悩みは、ご両親の影響が強すぎるところから来ていませんか?」
とか
「20代半ばに、どえらい酷い恋愛を経験して、異性と深い関係を作ることを怖がってますよね」
みたいな感じのことを私が言うと、たいていのひとはびっくりして、自分の問題の根幹を考えるようになるのですが、まれに当の本人に響かず、
「え~~。そうですかあ」
と、ぼんやりした回答が来ることがあります。ところがそんな時に、隣に座っているご友人が
「当たってる!!」
と驚いてくれたりするのです。
なかには
「あれだよ、あの男。あんた、24歳だったじゃん!」
と、詳細な情報が飛んできたことも。
本人がポーカーフェイスを決め込もうとしているのに、隣のお友達の反応が良すぎて、ポーカーフェイスが台無しということもしばしばあります。

そんなわけで、私的には(相談者の方が気にされなければ)傍聴席は歓迎なのですが、先日5人でいらっしゃったグループが、全員で傍聴を希望されたのには、ちょっとびっくりしました。いいのかな~、と思いながら、いつも通りに占いを始めたのですが、私が何か言うたびに、オーディエンスからどよめきがあり、本人が返事する前に「当たってる・・・」と、ボソッとつぶやく声があり、本人を乗り越えて「それでそれで?」と質問があり。たいそう盛り上がりました。

ノリが良くて、いいお客さんだなあ、と思ましたです(笑

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