現実の大規模組織は、多かれ少なかれ官僚制的なピラミッド組織になっています。組織を考える上で、官僚制の組織について、書籍を参照しながら、見ていきたいと思います。
参考書籍
今回取り上げるテーマの参考書籍は、「経営管理」(野中郁次郎 著、日本経済新聞社)です。
本書は、経営管理論について俯瞰で捉えた書籍となっています。
経営管理を組織と表裏一体の関係にあると考え、状況適応の経営管理という見方を提示しています。
下記図表を念頭に、通しで読むと、組織と経営管理の在り方の全体像を頭の中で構築できる内容となっています。
今回は、本書より、組織構造における近代官僚制についてみていきます。
近代官僚制の特性
本書にも記載があるとおり、現実の大規模組織は、程度の差はあれ、このような特性を具備しており、多かれ少なかれ官僚制的なものとなっています。
また、現実の経営管理にたずさわっていた、テーラー(科学的管理法)、フェイヨル、アーウィック&ギューリック、ムーニイ&ライリイなどの人々によって唱導された組織構造の原則は、古典的管理論と呼ばれています。
古典的管理論の主要原則
官僚制は、組織活動が組織目標と機能的に結びつくように、細目が明確に規定され、職務間の摩擦、衝動的行為、個人的な関係が排除された組織活動の予測性と信頼性の高い組織となります。
しかしながら、このような合理的組織の理想型としての官僚制は、プラスの結果(順機能)とマイナスの結果(逆機能)を産み出します。
官僚制の順機能と逆機能
組織についてどう考えるべきか?
官僚制の持つメリットとデメリットについて把握し、状況に応じて両者の巧みなバランスをとりながら、組織の成果を上げることが求められます。
このバランスは技術や市場などの環境によって大きく左右されます。
上記について、「(3)分化と統合を同時に達成すること」の部分について、組織を機能で分化した際に発生する部門に関する統合の構造アプローチについても本書に記載があるので、見ていきましょう。
組織の構造的なアプローチとしては、環境に適応するため「古典的管理論の主要原則」をベースに、官僚制の順機能と逆機能を踏まえて組織を構築し、部門間統合については、統合の構造アプローチを段階的に導入していく。
本書における組織構造から見た経営管理について、上記流れで認識しています。
経営管理(マネジメント)を考える際、従業員のモチベーション、価値観、パーソナリティーといった個人属性やリーダーシップ、コンフリクトの解消といった組織過程をメインに置いてしまうことが多いのではないでしょうか。
組織構造は、個人属性、組織過程に影響を及ぼす要素となること、そして、そこには一定のロジックがあることを知ることで、環境に合わせて組織構造を調整しながら、個人属性、組織過程の相互作用の中で産出された組織有効性と、そこからの各要素へのフィードバック効果を観察し、常に変化させていくことが組織の継続において求められる、ということで今回のまとめとさせて頂きます。
本書における、組織構造、個人属性、組織過程の相互関係が理解しきれるまで本書を読み込むことが私自身出来ていないため、個人属性、組織過程の要素についても、別の機会にあらためて見直していきたいと思います。