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社長は「配慮はする」けど「遠慮はしない」

「配慮はするけど遠慮はしない」って重要ですよね。

以前、ある社長と話しをしていて、こんな言葉が出てきました。

星野監督の言葉という記事もありますが、様々な方が取り上げている言葉のため、一般的な言い回しなのでしょう。

社長が組織を作っていく上で、この言葉、「配慮はするけど遠慮はしない」とても重要な考え方です。

今回は、この言葉の意味について考えてみます。

「配慮」と「遠慮」とは

【配慮】
[名](スル)心をくばること。心づかい。「―に欠ける処置」「当事者の気持ちを―する」

【遠慮】
1 人に対して、言葉や行動を慎み控えること。「―なくいただきます」「年長者への―がある」「この部屋ではタバコは―してください」

デジタル大辞泉

相手の事を考える心遣いを「配慮」と捉えると、相手が起点となる考えが「配慮」
自分の言葉や行動を控えることを「遠慮」と捉えると、自分が起点となる考えが「遠慮」
と理解できます。

「遠慮」しすぎる社長

・社員に数値目標を設定すると、社員にストレスがかかって辞めてしまうのではないか。
・仕事が出来ない社員に対して、はっきりとそのことを伝えると自信を無くして辞めてしまうのではないか。
・この社員は、給料に比べて成果がまるで出ていないが、給料を下げたら、やる気を失ってしまい辞めるのではないか。

社員の離職を恐れるあまり、社員に遠慮して、目標を設定を曖昧にしたり、部下の仕事上の不足を指摘しない社長や上司、いませんか?

社員に対して、「遠慮」が過ぎて、社長が社員に言いたいことを言わない。

「社員に嫌われたくない」「いい社長だと思われたい」
このような社長の「遠慮」が、社員の成長を妨げていることがあります。

そして、社員が成長しなければ、当然、会社の業績も伸びません。

「配慮」がない社長

・業績が全てだ。社員は言われた通りに動けばいい。
・社員は給料を貰っているのだから、仕事があるなら、深夜や休日も自分の裁量で働くべきだ。自分の裁量で働くのだから残業代は出さないけどね。
・育児、介護、そんな家庭の事情は、働く上では関係ない。国の方針に従っていたら会社は潰れるよ。
・職場環境、福利厚生を良くして欲しいなんて、社員の甘えだ。

社員に対して業績未達成については厳しく指摘するものの、職場環境や社員を取り巻く環境には一切の「配慮」がない社長や上司、いませんか。

厳しさだけでは、社員はこの会社で働き続けようとは思えないはずです。

大切なのは「どのような人にとって働きやすい職場なのか」を社長が明確にすること

組織は個人の集合体です。そして様々な価値観を持つ個人がいます。

・とにかく仕事で成果を上げて、お金を稼ぎたい。
・仕事をする上で、どれだけお客様に喜んで貰うかが大切。給料は二の次。
・仕事を通じて、スキルアップし、理想の自分になりたい。
・仕事において、定時に帰ることができて、ノルマはない方がいい。
・この社長と一緒に働きたい。この仲間と一緒に働きたい。
・この会社の一員であることに誇りを感じている。この会社で働きたい。

価値観が大きくズレた社員に対して、「配慮はするけど遠慮はしない」という考え方は機能しずらいものです。

例えば、「定時に帰ることができて、ノルマはない方がいい」という考え方の社員に対して、遠慮なく目標達成を求めれば、会社を辞めてしまうでしょう。

一方で、「お金を稼ぎたい」「スキルアップしたい」という考えの社員に対して、簡単な仕事、成長が期待できない仕事を与えたら、会社を辞める可能性は高まります。

大切なことは、
「うちの会社は、このような人にとって働きやすい職場である。だからこのような価値観を持っている人に入社して貰いたい」
という考えを明確にし、社員や求職者に伝えていくことです。

「うちの会社で働けば、〇〇の分野で、スキルを高めることができる。会社としては社員に高いレベルのことを求めるし、ノルマもあるが、〇〇といった教育制度を整え、社員のスキル向上については全面的に支援している。」

「うちの会社の〇〇という業務は、定時に帰ることが出来て、育児・介護の制度についても充実している。給料についてはそこまで高い金額ではないが、長く働いてくれる人に対して徐々に給料が上がる仕組になっている。」

「うちの会社は今後3年で〇〇まで急成長することを想定している。急成長を見込むため、業務は繁忙で、成長過程にあるため高い給料を払うことが出来ない。但し、この環境にいることで成長できる。組織と個人の成長を重視する社員と働きたい。」

そして、この社長のメッセージを、企業理念は勿論のこと、労働条件や、評価制度・賃金制度と連動させるため、明文化していくことが大切です。

社長は「配慮はする」けど「遠慮はしない」

「うちの会社は、〇〇という理念を掲げて、社会に〇〇という価値を提供することで成長していく。そのために、社員には〇〇を求めている。

会社としても、〇〇な形で働く社員に対して、××に基づく評価制度や、××を支援する福利厚生の仕組みを整え、今後も充実させていくつもりだ。

〇〇という理念の実現に向けて、〇〇な形で働く社員については、会社として最大限の「配慮」をしていく。社員が成果を上げることに注力できるよう環境を整えていく。

一方で、会社としては、〇〇という理念実現に向けた目標達成については、「遠慮」なく、皆さんに指示を出し、指摘し、評価をしていく。

会社と社員、ともに同じ方向に向かって進んでいこう。

このようなメッセージが出すことが、社長が組織を作る上で重要となります。

全ての人にとって都合のいい会社は存在しない

世の中には様々な価値観を持つ人がいます。
全ての人にとって都合のいい会社は存在しません。

だからこそ、社長には、「うちの会社は、どのような価値観を持つ人にとって、働きやすい職場なのか」を明確にして頂きたい。

そのためには、社長の考えの、「言語化」「制度化」が不可欠です。

会社組織を作ることは、社長の思いを「言語化」「制度化」「具現化」することです。

社長にとっての「配慮する」とは「遠慮しない」とは、「何に対して」でしょうか。
この質問の答えが、そのまま、会社の文化や、会社の価値観となりますので、是非、ご検討下さい。

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