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若手の定着と育成

来月登壇させて頂く経営者勉強会の事前質問で「若手の定着と育成についてコメントが欲しい」とのご要望を頂きました。
今回は、この質問に対する回答をまとめてみます。

採用面談時の発言が早期離職に繋がるケース

従業員は、会社で働くことで得られるものがあるので働いています。(給料、福利厚生、やりがい、仲間、スキルアップ、etc)

会社は、従業員に働いて貰うことで得られるものがあるので、従業員を雇用し、働いて貰っています。

社員は自ら会社に貢献する(与える)ことによって、会社から得られるもの(貰う)がある。
会社は社員に与えるものがあって、従業員から貰うもの(労働力等)がある。

両者の「与える」と「貰う」がバランスすることが、会社と従業員の関係を続けていく上で重要なポイントです。

しかし、この採用難の時代、このバランスを崩して採用してしまう社長がいます。

・うちの会社では、君の好きなことが自由に出来るよ!
・うちの仕事は楽だし、残業もないよ!
・うちでは、楽しく、好きなように仕事が出来る!
・うちでは、成果を出せば、給料はどんどん上がるから!

目の前の人を採用したい、少しでも会社にいい印象を持って欲しい、このような想いから、曖昧な、耳障りの良い言葉を面談者に伝えてしまう社長、いらっしゃらないでしょうか。

社長のこのような言葉を聞いて入社した社員が、採用面接時の印象と実際の職場環境が異なる場合、そのギャップが早期離職に繋がります。
「与える」と「貰う」のバランスにおいて、当初「貰える」と思っていたものが貰えない場合、人は辞めていくのです。

採用面談時、面談者が抱く職場の印象と、実際の職場環境のズレをいかになくすかが、早期離職を防ぐためには必要です。

働く人の多様性を許容することの意味

勿論、当初はズレていなかった会社と従業員の「与える」と「貰う」のバランスについても、時間の経過とともに、従業員が「貰いたいもの」が変わる可能性があります。

「起業して社長になりたい」
「家族の介護のために自宅に近い職場がいい」
「家族の転勤についていきたい」

今の会社で、自分が「貰いたいもの」が貰えない場合、従業員が辞めていくのはやむを得ないことです。

しかし、これからの時代、多様な働き方を許容することは、会社にとって採用力強化、定着力強化に結びつきます。
会社と従業員、「与える」と「貰う」のバランスを見て、副業、リモートワーク、時短勤務等、どこまでの多様性を許容するのかは、今後の会社経営のテーマでもあるでしょう。

どんな時に人は会社を辞めるのか

会社と従業員の「与える」と「貰う」のバランスが崩れることでの離職を取り上げましたが、これ以外にもマネジメントに起因する離職の原因があります。詳細は別記事にさせて頂きますが、簡単に3つのマネジメントに起因する離職発原因を上げると・・・

① 組織としての一体感の欠如
② 何をやったら成果が出るか分からず、迷っている状態
③ この苦しい状態が未来永劫続くのではないかと思いこむこと

上記3つの状態が社長や上司のマネジメントで引き起こされる場合、部下は離職しやすくなります。
人材の定着のためには、部下を持つ方はこの3つについて注視することが重要です。

定着と育成は繋がっている

ここまで、会社と従業員の間にある「与える」と「貰う」のバランスが崩れることが離職に繋がるとお伝えしました。

このバランスしている状態を長く続けていくために重要な要素は何でしょうか。

例えば、従業員が「貰いたい」ものが給料や福利厚生”だけ”だった場合、従業員に対して、給料や福利厚生を青天井で上げていくことは、会社の赤字に繋がりますので、お互いのバランスが崩れます。

バランスを取るためには、会社が成長し、その会社の中で従業員が成長し、この成長に従業員が喜びを感じる。
その上で、会社の利益が分配でき、他のバランスが整っていく、このような環境を作っていくことが重要です。

社長は、「会社が成長し」そして「従業員個々人が成長」する環境を作ることなしには、会社と従業員、双方の「与える」と「貰う」のバランスを取り続けることは困難となります。

会社は、従業員が成長し、その先に会社が成長することで、従業員との関係を続けていきたいと考えます。

一方で従業員は、自分が成長し、自分が貢献することで会社が成長していることを喜びと感じる中で、この会社との関係性を続けていきたいと考えます。

つまり、従業員の育成、会社の成長、従業員の定着率向上は、一連の流れとして繋がっているのです。

定着と育成のためには評価制度が必要

従業員の育成、会社の成長、従業員の定着率向上が一連の流れとして繋がっているのであれば、これを繋げる制度を会社の中で構築することが必要です。
この一連の流れを構築するのが「評価制度」となります。

会社と従業員の成長のベクトルを合わせて、会社と従業員の「与える」と「貰う」をバランスし続けるための仕組み。これが評価制度構築の目的です。

そのため、評価制度は、個人の成長が、会社の成長に直結することが分かる、出来る限りシンプルで分かりやすいものが求められます。

会社と従業員の成長のベクトルを合わせる評価制度についても、また、別の機会にお伝えしていきたいと思います。

まとめ

若手の定着と育成について、以下の通りまとめます。

  • 採用面談時と就業時のギャップをなくすこと

  • 会社と従業員、「与える」と「貰う」のバランスを考えること

  • 従業員が成長し、その先に会社が成長できる仕組みを整えること

  • そのためにはシンプルで分かりやすい評価制度構築が求められること

  • マネジメントにおける離職発生要因を取り除くこと(別記事)

社長が、個人の成長と会社の成長を実現できる環境を作ること。これが定着と育成のためポイントです。

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