ピコピコ中年「音楽夜話」~長谷川、バンドやめるってよ②
【前回】
☆バンド前夜~高校入学、音楽との出会いが樹状的に広がリング
リビドーにブンブンと振り回されまくりの第二次性徴期の少年が、何の因果か男子校に入学。TV番組イカ天でバンドブームの洗礼を受けるも、音楽を「聴く」「知る」ことにのみ一生懸命だったあの頃。
まだまだ「音楽」とのお付き合いは続いていく…。
音楽…それは皆のフロンティア。これは、ミュージシャンでも何でもない、東北に暮らしているただのピコピコ中年が、数々の音楽に出会い、時にココロ救われ、時に人生さえ動かされた回顧録的物語である。
(スタートレックの冒頭BGMと共に)
☆AOR~嗚呼(A)、おトレンディな(O)ロックよ(R)☆
「ボビー・コールドウェルって知ってる?」
入学してから間もなく、すでに汚らしい部活用の運動靴やスパイク、ユニフォームが散乱している、男子校特有の自由奔放な教室のベランダでT君から質問された。
高校受験浪人だったため、クラスメイトであるが1歳年上のT君。大人びて見えた彼が、休み時間中にベランダで口笛を吹いていた。どこかで聴いたことのあるような物悲しいメロディが気になり質問したところで「ボビー・コールドウェル」登場。
私が、これぞAOR!という曲に初めて出会った瞬間であった。
T君が口笛で吹いていたのは、ボビー・コールドウェルの「Heart of Mine」。当時オサレなヤンキー層に愛されていた(そういう時代だったとご容赦下さい)妙に長くフィルターに特徴のある煙草、パーラメントのCM曲である。聞き覚えはあったものの、その曲名・アーティスト名までは知らなかった。
当時はまだAORというジャンル名称も知らなかったが、煌びやかな夜景を背景に煙草を燻らせながらブランデーでも飲みそうなアダルティックな曲の雰囲気。憧れのおトレンディなTVドラマで観たような、今の自分には程遠いおトレンディな恋愛にピッタリの曲に「意中の女性とのデイト中に流したら、きっと自分もおトレンディになれるべ!」とフゴフゴ鼻息を荒くしたのを覚えている。
その後、T君からボビー・コールドウェルのCDを借り、せっせとマイベストカセットテープを更新した私だったが、一度火の付いた「おトレンディ」を求める気持ちは収まらなかった。
ボビー・コールドウェルについて調べてみたことで繋がった、ドナルド・フェイゲンおじさんの曲を聴き…
フェイゲンおじさんが昔在籍していたバンド「スティーリー・ダン」も聴いた。
ちなみに、ここでスティーリー・ダンを聴いていたことが、後ほど語ることになるであろう、小沢健二の名曲「天使たちのシーン」にココロをエグられるキッカケになるとは、当時の長谷川少年には知る由もなかったが…。
他にも、昨今のシティポップの盛り上がりで語られることも多くなった、この音楽進行コードを使うと必ず名曲になってしまうという、オサレなコード進行で有名なビル・ウィザース「Just The Two Of Us」(椎名林檎の「丸の内サディスティック」も同様のコード進行のため、「丸サ進行」とも言われていますが)や…
まぁ、youtubeばっかりペタペタ貼るのも、ちょっとどうかと思うので自粛しますが、トトやシカゴといったバンドまで。おトレンディを求めるゲスい気持ちが樹状的に聴く音楽を広げていってくれたのだった。
余談であるが、この記事を書くにあたって改めて「AOR」についてウィキペディア大先生を手繰って気がついたのだが、AORの日本の主なミュージシャンには小田和正、角松敏生、ゴダイゴ、サーカス、山下達郎御大などの名前が挙がっていた。
…ボビー・コールドウェルの前からAOR聴いてたんじゃん…と思ったが、まぁそこは洋楽AORとの初めての出会いということで、どうかひとつ…。
→③へ続く(いつになったらバンドの話ができるんだろう…)
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