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「スタートレック:ピカード」感想~或いは、ファン感涙の作品に対する感謝の言葉

☆はじめに~或いは、もう孤独じゃない!(by カート・ヴォネガット)


ついにドラマ「スタートレック:ピカード」を、シーズン3まで、つまり最後まで観終わった。観終わってしまった。観終えてしまった。

シーズン3は「新スタートレック(通称:TNG)」ファンに向けた、お祭り騒ぎのオールスター☆ファン大感謝祭のような、TNGファンにしてみれば「続編なんだったら、これが観たいに決まっているでしょう」のオンパレードだったため、ついつい1話観てはニヤニヤ。ちょっと見返してみたりしてニヤニヤ。

ノロノロとした歩みで細切れに鑑賞し続けていたわけですが、ついに先日鑑賞終了。なかなか冷めやらぬ興奮と共に、こうして筆をとっている次第。

ということで。

さあ、いざ鎌倉ならぬ、いざ感想をば!

…と思ったのですが、以前、この感想を感情の赴くままに書きなぐりたいがために、スタートレックの事前説明と啓蒙活動を兼ねて記事を書きました。そうしましたところ、その記事対して思いのほか熱いトレッキーの皆様方より反応をいただけたのである。

臨床心理学の専門家である丹治教授のスタートレック愛が詰まった論文を紹介していただいた道野櫂さん。初代スタートレック愛に溢れまくっているNN/祈りも込めてさん。カクヨムでスタートレック感想コラムを執筆されているasliaさん(カクヨムでは田島絵里子さん
※無断でリンクを貼らせていただきましたが、ご迷惑でしたらご一報ください。すぐに削除いたします。

嗚呼、なんと素晴らしいことでありましょうか。

noteの裾野の広さを改めて痛感した次第なのであります。

身近にトレッキー(スタートレックの熱狂的ファン)がいないこともあり、コメントをいただく度に、お仲間をみつけてはしゃぎまわり嬉ションしてしまう、初めてドッグランに来たワンコのように「ハッハッハ!(尻尾ブンブン)」と興奮しておりました。皆様、誠にありがとうございます(嬉ションを拭きながら)。

げにまっこと素晴らしき哉、スタートレック。

冒頭枕、そんなトレッキー同志への感謝の言葉も散りばめつつ、いざ感想へ…

Engage!(発進!)


☆掘り下げられ、厚みを増した「ジャン=リュック・ピカード」というキャラクター


「スタートレック:ピカード」。

この、ジャン=リュック・ピカードというキャラクターの名を冠した全3シーズンのドラマ。キャラクター名を冠していいるだけあって、物語としてのメインストーリーはあるのだが、「彼自身」のことについて各シーズンで掘り下げられていました。

【シーズン1】
彼の「(身体的な)老い」、「病気(ではないことが後に判明しますが)」

【シーズン2】
彼の「(老いらくの)恋」、「家族(に関するトラウマも含めて)」

【シーズン3】
彼の「子供」、「築き上げてきた仲間との絆」

シーズン1冒頭部分を見始めた時、イメージしていた続編像とは異なるその暗く重めの雰囲気。TNGの他のキャラクターを極力出さない(ように思えた)演出。円満とは思えない形で引退し、フラストレーションを抱えたままフランスの実家のシャトーでワイン造りに勤しんでいる彼(ピカード提督)を観て

「ファンとしてはスッキリしない形だけれども、こういう解釈の後日談もありか…」

などと感じてしまいましたが、視聴を続けていくことで、それもこれも「ジャン=リュック・ピカード」を掘り下げるためだったのか、と理解しました。

TNGシリーズの劇場版最終作『ネメシス S.T.X』では、彼のクローンが登場しアイデンティティに関する描写がありましたが、今作ではさらに深く描かれているな、と。

ここまで見事に、私の敬愛してやまないジャン=リュック・ピカードを掘り下げ、キャラクターにさらなる厚みを持たせてくれたことに、ただただイチファンとして感謝感激である。

さすが、ピカード役のサー・パトリック・スチュアート氏がその制作に大きく携わった作品だけあります。ご自身の演じられるキャラクターの人気がわかっていらっしゃる(笑)


☆メインストーリーの側面から観ても興奮できる


各シーズンで展開されるメインストーリーも良かった。各シーズンごとのテーマが明確。しかもトレッキー納得(新スタートレック以外のシリーズの要素もてんこ盛り)の内容でした。

【シーズン1】
ボーグ、アンドロイド(作中ではシンスと呼ばれる)、ロミュラン人

【シーズン2】
ボーグ、Q、歴史改変

【シーズン3】
ボーグ、可変種(スタートレックDS9ネタ)、オールスター☆ファン大感謝祭

まぁ、こうやって具体的に書き出してみると、全編ボーグ祭りに見えてしまう不思議(笑)いかにボーグというキャラクターがTNGを象徴するものなのかが良く分かりますね。

そりゃあTNGシリーズのみならず、スタートレックシリーズの中でも屈指の衝撃エピソード「抵抗は無意味だ、ロキュータス事件」がありますからねぇ。

シーズン2の最期では、ジュラティ博士とボーグクイーンの同化によって「ひょっとしたらボーグという種族が進化し、惑星連邦に加盟しちゃう未来があるかもよ…」といった明るい描かれ方も一瞬しましたが、さすがシリーズ屈指の純粋悪に近い存在。一筋縄ではいきませんでしたね。

シーズン3でも、可変種に利用される(もしくは手を組んだのか、描写がないため不明)敵として、シーズン2とは違う進化の方向性(転送装置の分解・再構築という仕組みを利用した同化)を見せつつも、しっかりと大活躍してくれていました。


☆しかし何といってもシーズン3


もう、アレです。いや、↓コレ↓です。

エンタープライズ号D型にこのメンバーが揃うだけで、何だか涙が溢れてきます

1、2とシーズンが進むごとに、徐々に登場してくるTNGオリジナルメンバー。その集大成となるシーズン3。

シーズン2までは何故か娘さんしか登場していなかったラフォージ、そして可変種絡みでついにウォーフも登場。ドクターのビバリー・クラッシャーが出てきたかと思えば、安らかに眠ったはずのデータまでB-4・ローア・スン博士を統合し最新技術の体で爆誕。

そんなTNGオリジナルメンバー達が、博物館に展示されていたエンタープライズ号D型に乗り込み最後の戦いに向かう。流れるBGMはスタートレックのテーマ曲。

これを観て興奮しないTNGファンがいるだろうか。

これを観て鳥肌がたたないTNGファンがいるだろうか。

これを観たかったんだよ!と何人のTNGファンが叫んだだろうか。

TNGファンに向けて「今までTNGを好きでいてくれて、本当にありがとう!」大声でそんなメッセージを叫んでくれているかのようなお祭り騒ぎ。

なぜか、あの日あの時、TNGを夢中になって観ていた頃が走馬灯のように思いだされ、ちょっと涙目になってしまったことはナイショです。

ただただ、TNGを、スタートレックを、好きで良かった…そんなことを思わせてくれた最後の戦いのシーンでした

そしてエンディング。

TNGシリーズのお約束。みんなでポーカーに興じるエンディングシーンを観ながら、「ひょっとしたら皆さんご高齢ですし、これが一斉に集える最後の機会なのかもしれないな…」そんなことを考えてしまい、ちょっと何だか切ない気持ちにもなってしまったエンディング。

ピカード艦長の息子、セブンオブナイン、新キャラクターのラフィ、次世代へバトンタッチしたように思えるシーンも盛り込まれていましたし、TNGオリジナルメンバー大集合は、ほんとにほんとに、これで最後かもしれないですよねぇ…。

嗚呼、祭りの後のごとき、この切なさよ。

感想を書き、改めて、自身のピカードロス状態を認識し、これまた切なくなる秋の夜。

折しも気温も絶妙な具合に涼しさを増し、おセンチ気分もマシマシでお送りした「スタートレック:ピカード」の感想で御座いました。ご清聴誠にありがとうございました。


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