見出し画像

セカンドキャリア形成のためには助走期間が必要だという教え

「ストレスフリーな52歳からの働き方」を電子出版してから、いろんな人からセカンドキャリアの作り方について質問を受けるようになりました。

そうした方々は、年齢も現在の立場もセカンドキャリアに対する考え方も、実に様々なのですが、大きく異なっている点で分類すると、すでに社外のコミュニティに積極的に出て行って「他流試合」に挑んでいる方々と、その手前で悩んでいる方に分けられそうです。

私の本を読んでくださり、会社の付き合いだけに閉じこもっていてはダメだと気づき、「他流試合」に出ていこうとは考えているものの、ではいったいどんなコミュニティに参加しようか、どの道場の門を叩こうかわからずにいるという方々も大勢おられます。

ドラッカーは『ネクスト・ソサエティ』という本の中で、こう言っています。

「(40代から50代になった時に)できることが仕事だけであるならば問題が生じる。したがって知識労働者たる者は、なるべく若いうちに非競争的な生活とコミュニティをつくりあげておかなければならない。地域でのボランティア活動、地元のオーケストラへの参加、小さな町での公職など、仕事以外への関心事を育てておかなければならない。やがてそれらの関心事が貢献と自己実現の場を与えてくれる。」

何も「他流試合」といっても、格式ばった道場の門を叩かなくても、仕事以外の関心事でも十分なのです。

大切なことは、会社という極めて狭いコミュニティの中だけで定年まで過ごしてしまうと、セカンドキャリアを形成していくうえでは致命的に危険な状況を作りあげてしまうということです。

先日お話しした方も、現在40代後半でしたが、今働いている会社はとても好きで仕事も充実しているけれども、いつかは卒業する時が来るので準備を始めていると言っていました。

その方の場合は、今はまだ明確にセカンドキャリアのイメージを描いてはいませんでしたが、早くから準備を始められる方の多くは、経済的なニーズよりも、自分の経験や知識を活かして、好きなこと、得意なことで社会に貢献し続けたいと考えている方が多いようです。

特に大企業にお勤めの方は、自分では当たり前だとして気にもとめていないようなビジネススキルだとか知見だとかは、小規模企業、特に地方の企業の経営者の方々にとっては、とても貴重で必要なニーズになっていると思います。

そんな方にお勧めなのは、以前もご紹介したことのある Dialogue for Everyone という会社が運営している「地方創生セカンドキャリア塾」です。

こちらの取り組みは、まずは自分自身をしっかり棚卸したうえで、次のステップとして地方の企業とのマッチングを行い、マッチングが成立すれば期間を決めてオンラインで協業が始まるというものです。

これは収入目的ではなく、自分の市場価値がどのくらいあるのかという確認や、会社以外の方との仕事の進め方の体験、地方の企業が抱える課題の現状認識等、いつかセカンドキャリアをスタートさせる時に知見の習得にとても役に立つ取り組みだと思います。

いずれにしても、ドラッカーの教えのように、気が付いたら今の会社の仕事しかしてこなかった、なんていうことにならないためにも、様々な社外のコミュニティに参画することが大切ですね。

そしてドラッカーは、『明日を支配するもの』の中でこう言っています。

「第二の人生をもつには、一つだけ条件がある。本格的に踏み切るかなり前から、助走していなければならない。」

今の会社の仕事に目一杯貢献しつつ、第二の人生のための助走は「かなり前から」必要なんですね。

お読みいただきありがとうございます。
ドラッカーの教えを中心に、幅広い話題をメルマガとして配信しています。よろしかったら登録していただけると嬉しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?