ドラッカーが教える「いい会社」の3つの判定基準
ドラッカーがニューヨーク大学の大学院で教えていたころの教え子で、のちに世界有数のアルミ精錬企業アルコアのCEOとなったポール・オニールという人がいます。
彼は2005年にドラッカーが亡くなった後に、ドラッカーとの思い出に関するインタビューを受けた際に、手帳に挟んだ黄色くなった古いメモを取り出したと言います。
そのメモには若かりし頃、大学院の授業でドラッカーが黒板に書いたものをそのまま書き写したという3つの質問が書かれていました。
ドラッカーはこれらを黒板に書きながら、「この3つの質問を社員に問いかけてみて、どれだけの数の社員が、何のためらいもなく『イエス』と答えるかで、その会社がいかほどのものかわかる」と話したそうです。
このメモに書き留めたドラッカーの授業を、オニールはずっと心に留め忘れずにいて、のちにアルミ精錬会社のCEOになったとき、危険な作業環境が当たり前の会社で、「労災ゼロ」宣言をし、見事に労災を減らしたそうです。
「どなたかの大事なお子さんである社員に、仕事でけがを負わせるわけにはいかない」といって、労災ゼロキャンペーンを打ち出したということです。
これらの、ドラッカーの3つの質問、みなさんはどのように受け止めますか?
経営者の皆様はいかがでしょうか?
あなたの会社の社員で、この3つの質問全てに、即座に「はい、もちろん」と答えることができる社員は何割いますか?
この質問を経営者の方に向けて変換してみると次のようになります。
「あなたは社員に敬意を払っていますか?」
「あなたは社員が仕事上の能力を身につけようと思って、勉強したり自己啓発に励もうとした際に、応援していますか?」
「あなたはすべての社員がどのように会社に貢献しているか、知っていますか?」
いかがでしょうか?
ドラッカーが言う「最高の環境」とは、福利厚生面やオフィス環境ではなく、「人としての尊厳を重視しているか」ということです。
ドラッカーの思想は常に、人が仕事を通じて自由で幸福を手に入れることができるかを問うものであり、それを可能にするのが「マネジメント」の役割だということです。
企業は人がすべてです。
人が自由で幸福になれない企業は、ドラッカー的にはいい企業とは言えないという教えでした。
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