ひとりぼっちが嫌だ
僕には友達も恋人もいる。人間関係には十分に恵まれていると思う。両親だってとりあえず生きてるし、先生もいい人たちだし。
それなのに寂しくてたまらない。
みんな色々苦労してるんだって分かっている。けれど、実家に帰ったんだとか、親との他愛のない話とか、そんな小さなことに傷つく。いいな、帰る実家があって。いいな、親と仲が良くて。あれ、親と折り合いが悪いって言ってなかったっけ?それなのに結婚とか両家顔合わせとか、そんなことするの?
どうして、どうして、どうして僕は普通の家に生まれなかったんだろう。いや、僕だってそれなりに恵まれている。なのにどうしてこんなに苦しいんだろう。こんなに悲しいんだろう。何もかも嫌になるんだろう。
安心してお母さんって言って甘えてみたかった。頼りになるお父さん、色んなことを教えてくれる優しいお父さん、そんな人が欲しかった。僕が欲しかったものを、当たり前みたいな顔して持っているみんなが嫌でたまらなくて、顔も見たくなくて。
助けてって言ってみても、苦しいのって言ってみても、誰も分かっちゃくれない。当たり前だよね、僕じゃないんだから。もう二度と父親に会わないと誓った僕のことなんか。地元を捨てた僕のことなんか。家族を壊した僕のことなんか。幸せなきみたちには分かりっこなくて。
それでも寂しくて堪らない。誰かに甘えてみたい。でも余計に寂しくなるだけって分かってる。誰かに慰めてもらいたい。でも余計に虚しくなるだけ。
もう遅い、もう遅いんだよ、何もかも。誰にもこの穴は埋められなくて、誰にも僕は助けられない。ずっとひとりぼっちで。
ひとりは嫌だよ、寂しいのは嫌だよ。苦しいのは嫌なの。もういっそ死んでしまえたらと思う。何も感じなくなったらいいのに。
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