見出し画像

試験前は諦めるタイプの人間です

 試験前、直前まで勉強を続ける人と静かに試験開始を待つ人、二つに分かれると思う。そして個人的な感覚では前者の人が多い。

 わたしは後者で、なんなら前日くらいに諦めているタイプだ。かくいう明日(正確には今日)も試験である。

 昔から、小学生くらいの時からずっとそうだった。どうしてか、というと、ひとつはもうやれる事は全部やった気がするから、という理由だ。わたしは丸暗記が苦手だ。だから何でも理由とか理屈から考える。数学や物理の公式は、仕方のないもの以外丸暗記したことはない。歴史も、よく塾講師とかが言いそうだけれど、流れってやつが掴めないと全然覚えられなかった。逆にこの王様はなぜこんな政策をしたんだろう?とか、この戦争が起こった背景には……ということを考えていると覚えられる。直前になって〇〇戦争は〇〇年で……などと詰め込んでみても、本番が始まった瞬間全てを忘れそうな気がする。というか確実に忘れる。

 そんな訳で、わたしは試験直前まで勉強したりしない。徹夜なんて以ての外だ。寝ている間に記憶しているらしいから、というのもあるけれど、上述した通り勉強方法がやたら面倒くさいので、眠い頭で考えられる訳がないのだ。前日だって、ある程度の所でもう絶対間に合わないな、という地点が見える。もしくは前日までに間に合わせている。だからもうやることないのだ。いや、やれよって話かもしれないけれど。

 そんなわたしだけれど、焦っていないかと言われるとそうでもない。というより、物凄く焦っているし不安だ。試験日の朝は必ずどうしてこんな学校に入ってしまったんだと自分を呪い、不安発作と戦い抗不安薬を飲みまくり、イヤホンは大音量で耳を塞ぐ。
 周りはあれって何だっけ?とか何出ると思う?とか、そんな会話のオンパレードだ。耳にしてしまったら心がお終いになる。わたしは自分なりの覚え方しかしていないので、一問一答みたいな聞かれ方をしてもすぐには思い出せないのだ。だからえっ何それ?となって確実に焦る。その割に周りの人間はわたしに声を掛けたがる。最近になってやっと、直前までイヤホンをして勉強に集中しているフリをするという技を覚えた。


 やっていることはめちゃくちゃ効率が悪い。しかし効率のために勉強をしている訳ではない。それに、わたしより良い成績を取っているひとでも、直前に詰め込むタイプのひとは試験が終わると内容を忘れているひともいたりする。そしたら勉強した意味がない。そっちも効率が悪いかもしれない。

 勉強とか、いろんな知識とか、そういうものには「繋がり」とか「流れ」が大事な気がしている。格好良く言うと理論ってやつ。教科書に載っていたり学校で教えたりすることが、何の脈絡もなくぽっと現れたことな訳ないのだ。沢山の研究とか、思想とか、人々の暮らしとか、そんなものの中で現在まで残ってしかも学生に教えようというのだから、名前の由来とか形の意味とかそういうのだって誰かが知っているか考えているのだ。公式が空から降ってくる訳でもないのだ、ラマヌジャンじゃないんだから。


 そんな訳で、泥臭く効率が悪くても、わたしはわたしがやりたいように勉強したいなと思います。それで留年したらみんな笑ってね。でも最後に笑うのはわたし。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?