ひとと比べて

 他人と比べて、わたしは不幸だろうか?幸せだろうか?

 そんな問いに意味などない。他人と比べることに意味がないから。それなのに、いつもいつも、わたしは自分と他人を比べてしまう。

 わたしは他人より辛いのだろうか?確かにうつ病になって、いま苦しいと思う。全然元気じゃないし、やるべきことをこなすのがやっとで、ちょっとしたことで落ち込んで死にたくなる。
 でも他の人だって大変だ。おんなじ学校に通っていたら、課題や試験の大変さは同じ。みんなストレスとプレッシャーに耐えている。

 なんども、他人と比べることなんて意味がない、と言いながらも、それでも比べることをやめられない。

 どうしてだろう、と考える。わたしは他の人に辛いとか大変だったとか言うのが苦手だ。相手を嫌な気分にさせるかなとか、相手にも大変なことがあるよなと思うから。そうしていると、必然的に他の人の愚痴や辛いという話ばかり聞くことになる。聞いていると、やっぱりみんな大変なんだ、わたしばっかり弱くて、怠け者で、傷つきやすくて面倒くさいやつなんだと思う。たまに自分が辛かったことを話す。共感はあんまりされない。いや、されるのだけれど、その根っこの深さみたいなものは全く気づかれないまま、上辺の共感だけされる。そしてますます、わたしは同じ経験をしても打たれ弱い人間なんだと悲しくなる。

 ただ大変だったね、と言ってもらいたい。無理しないでねと言ってもらいたい。わたしの気が済むまで話を聞いて欲しい。そんなのわがまま?だよね、そんな子どもみたいなこと。そんな面倒くさいにんげん。関わりたくないよね。

 みんな誰も自分のこと分かってくれないと思ってるんだよ、と言われた。そうかもしれない。でもわたしの心に開いた穴の、その大きさに、その深さに、見合った「分かってくれない」なのだろうか。他の人の心の中なんて覗けない。けれど、なんとなく、わたしの心に開いた「みんな分かってくれない」という穴はなにか違う種類の穴みたいに思える。

 だってみんな、毎日のように泣いたりしてるんですか。毎日不安で動悸も止まらなくて、眠剤を飲んでも眠れなかったりするんですか。そうじゃないじゃないですか、だってはっきりそう言ったもの。初めてこんなに不安になったんだよって。試験の時だけ動悸がするんでしょう。今は忘れようって思えるんでしょう。わたしにそんなこと無理だよ。
 やっぱり死にたいと思う。せめてリスカしたいのを耐える。子供っぽいメンヘラかまってちゃんですか?そうかもしれません。でもそうでもしなきゃさ。何もかもやってられないの。

 みんな結局、帰る家があるんじゃないですか。文句言いながらも話す親がいるんじゃないですか。


 こうやってぐちゃぐちゃ文句ばっかり言ってるの、みっともないって分かってる。情けないのも分かってる。でも耐えられない。弱虫なのも分かってる。クソみたいな人間なのもさ。
 でもやっぱり、みんな何もわたしのこと聞いてくれなくて、興味なんて持ってくれなくて、わたしばっかり頑張って何かしないといけない気がして。馬鹿みたいに思えてくる。

 もう頑張りたくない。助けてって言うのも疲れたの。苦しいってもう言えなくなっちゃったの。早く死にたいな、せめてひとりにして。ひとりでなら、孤独を感じずに済むもの。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?