一生飽きない献立「焼き茄子 on the 麺」
一昨日、なすのイラストの下に「きゅうり」と書いてあるTシャツを着た男性とすれ違った。一瞬でも「きゅうりかも」と思わせるような柔和な微笑を無償で振り撒いていた彼につられて、夫と二人で笑ってしまった。
なすでもきゅうりでもどっちでもよくなる雰囲気をまとっていた彼からは、拍子抜けするくらいの平和を感じた。そして「絶対にきゅうりではない」という事実が状況を面白くさせていた。面白Tシャツをここまで自然に着こなしている人を、初めてみた気がする。
もしかしたら壮絶な人生を歩んできたかもしれないが、間違いなく赤の他人を笑顔にさせる魅力がある男性であった。
🥒🍆
茄子はどう調理しても美味い。今年の6月以降、我が家の冷蔵庫には茄子が常備されている。茄子さえあれば、献立に迷うことがない気がするからだ。
茄子の活用法は無限とある。その中でも何度食べてもまた作ってしまうのが、「焼いた茄子を、麺の上に乗せて、つゆをかける」やつだ。麺はそばでもそうめんでもなんでも合う。
「焼き茄子 on the 麺」の作り方
1.茄子を好みにカット
長い茄子、短い茄子、太い茄子。
茄子も人間のように、品種によって形がまるで違う。
手持ちの茄子の形と、その時の気分を総合的に考えて、茄子を切る。
長茄子を↑な感じで切ることが多い。
切ったあとすぐに焼くのでアク抜きはしない。
茄子のアクにはポリフェノールが含まれるらしいから、頑なに抜く必要はないと思う。
生で食わないかぎり、エグみを感じることもないと思う。
料理人でもない私は「〜と思う」を連発し、何らかの責任から逃げていることにお気づきだろうか。さあ、次に進もう。
2.焼き目がつくまで焼く
満遍なく焼き目がつくよう、フライパンで焼く。
私は米油を使うが、サラダ油でもなんでも良い。
私は油少なめだが、個人的には油たっぷりが美味しい。
茄子は素直なので、油をよく吸収する。私は頑固でわからずやなので、油も含め全般的に吸収率が芳しくない。素直さって大事だ。何の話だろう。
茄子を焼いている間、時間が空くので、ちゃんとつゆを作っておく。
3.作ったつゆにダイブ
油をたっぷり吸った茄子に、つゆもすいこませたい。作っておいたつゆに、茄子をダイブさせてゆく。写真のとおり、乾燥わかめを入れるのもおすすめだ。
人間において、吸収力の良さは時に仇となる。これ以上吸収できない状態で吸い込ませようとすると、パンクしてしまうのだ。人には人の限度があり、自分の意志で吸収することが好ましい気がする。これも何の話だろうか。
つゆの話だが、ちゃんと出汁を取ったほうがうまい。昆布や鰹節などの一番だしで作るつゆはやっぱり格が違う。面倒なら、めんつゆとか粉末だしで適当に作っても全然問題ない。焼いた茄子が美味すぎるから、つゆは二の次でもなんとかなる。
4.盛り付ける
茹でた麺の水気を切って丼に入れ、つゆをかけてナスやわかめを並べ、完成。ごま、七味などをお好みでかけよう。
箸で食べ物を持ち上げ美味しく見せる行為を、業界用語で「箸上げ」というらしい。 茄子メインの料理なのに、麺を持ち上げてる時点で、私は業界の人ではないど素人であることがわかる。
茄子そば集
茄子そうめん集
茄子うどん
本物たち
プロはちげえぜ。やっぱ。
焼き茄子 on the 麺。今年の6月に初めて作ってから、定期的にずっと食べ続けている。28年の人生で、最も茄子を消費した1年だったかもしれない。
一度ハマると同じものばかり食べる癖がある。少し冒険せねばと別のものを食べても、結局焼き茄子 on the 麺に戻ってきてしまう。大事な帰す場所なのである。
それに冒険というなら、焼き茄子 on the 麺をアレンジすることも冒険のうちだ。大きな冒険もいいけれど、小さな冒険をたくさん重ねることにも新たな発見があるのだ。
したほうが良いこと、しなければならないことなんて、厳密にはない。好きなものを好きなときに食う、きっとこれに尽きるはずだ。
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