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スーパーの改装工事。あるいは、変わってくれた安心。

半年ほど前のこと。家から徒歩3分のスーパーの灯りが消えた。リニューアルオープンの改装のため、2週間休業するという。

バス停の前にある、ほどよい大きさのそのスーパーは、住宅街の中で最もにぎわいのある場所の一つ。コロナ禍の到来と共に在宅ワークに切り替わった私にとっては、もっとも多くの人と出会う空間になっている。だからなのか、人の気配が消えたスーパーは、せめてもの体力維持のために日課にしている散歩の度に、どことなく寂しいというか、人恋しいというか、大袈裟にいえば俄に孤独を感じる場所になってしまった。

そしてやってきた、リニューアルオープンの日。店内は、一見あまり変わらない。少し肩透かしをくらった気持ちで歩いていると、冷凍食品のコーナーが広くなっている。それから、セルフレジが導入されている。この2つの出来事はコロナ禍の住宅街に判りやすく現れた、最初の変化かもしれない。

歴史的な疫病に直面しても、社会はそんなに簡単には変われないんだな、と唇をかみたくなるような時がある。仕事をしていても、ニュースを見ていても。それでも夕食の買い物でセルフレジを使う時、社会は少しずつ変わっていると、思うことができる。変わってくれた人が、どこかにいる。



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