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【恋焦がれた名車は絶版車】中古で買うしかない場合、どうする?■2023年05月14日更新

広島県広島市にある『動く』自転車屋【サイクルサービストグト】のnoteをご覧いただきありがとうございます。

20年以上昔のスポーツカーがとてつもない金額で落札されたニュースを見て驚いている『快適長持ち系自転車安全整備士』ノーリー(店長)です。
当時、新車で約400万円だったものが中古なのに約1700万円で落札されているとは…。
少しマニアックな話になりますが、私はリトラクタブルヘッドライトを採用しているスポーツカーが好きなんです。
ところがもう生産されなくなってしまい、新車で手に入れることはできません。
中古ですらプレミアが付いていたりして、私ではもはや買うことはできないでしょう。

■ベストは新車で手に入れることだけど…

なかなかそうもいかないことってあります。

自転車も惜しまれつつ絶版車となってしまった車種もあり、どうしてもその車種が欲しいというお気持ちはよ~くわかります!
幸い、自転車はクルマと比較すると購入費も維持費も安いです。
そしてよほどのことが無い限り、プレミアが付くなんてことはほとんどありません。
さらに現代ではSNSやフリマアプリ等で気軽に手に入れることもできる世の中です。
もちろん、書類等のリスクはありますが…。

↑こちらでも紹介していますので、参考にしてみて下さいね。
車体(個体)のアタリ・ハズレはあるし、他にもリスクはあります。
そういうことをじゅうぶんに理解し、購入後の面倒を見てくれるショップを見つけたら、憧れの絶版車を中古で手に入れるのもアリかもしれませんね。
もちろん、当店でできるアフターケアは承ります。

■今回の患『車』

ここまで完全分解するまでのビフォー写真はあえて無し!

↑の写真でもいろいろ見えているのでわかる人も多いかもしれませんね。

正解は何でしょう?

ブランド:【ROCKBIKES】(ロックバイクス)
車種:TOMAHAWK(トマホーク)

でした!
ちなみにサイズは530です。

■分解してみないとわからない

発売当時も人気があった車種であり、実は私も憧れたトマホーク。
惜しまれつつも絶版車となってしまいました。
今となっては個人売買(フリマやオークション)等でしか手に入りません。
それだと、
「実は使えるのはフレームセットだけだった。」
とか
「よく見たらフレームが割れている(=乗れない)!」
とかの問題が容易に想像できます。
ましてや中古車の場合、前ユーザーさんがどんな使い方をしていたかがわかりません。
それでもリスクを承知で手に入れたなら、まずはすぐに分解&全体チェックは済ませておきたいものです。

外から見える部分だけの点検では自転車のコンディションの全てを把握することはできません。
自慢の愛車として安心して永く乗り続けるなら、できるだけ早めにオーバーホールを済ませましょう!

■今回のオーバーホール

◆下処理いろいろ

BBシェル周りの下処理の写真が消えてしまっていたようです。

いつものようにフレームへの下処理は済ませてから丸洗い!
当店のオーバーホールではこれも基本ですね。
落とせる汚れはできるだけ落としておきます。

有料オプションでボルト類のサビ除去も可能です。

もともとの状態、サビの度合いによっては完全に除去できませんが、

↑これが…

↑こうなります。

あの錆びていたボルトとは思えないほどに輝きを取り戻しました。

車輪固定用のナットもこの通り、サビとはサヨナラです。
当店のボルト類サビ除去オプションには、サビ除去後の油膜コーティングも含まれます。

シートクランプはフレームに合わせた独自設計です。
ただし、シートポスト自体はよくある丸型パイプなので、カスタマイズの自由度は高いと思います。

◆ヘッドベアリング等

これは公開することに迷いました。
適切な道具も繊細な技術も必要なのに、素人さんが安易にマネしてしまってベアリングセットを再起不能にしてしまうことを恐れたからです。
今回は注意喚起も兼ねて公開することにしました。

これはヘッドに使われるシールベアリングです。

問題はこのオレンジ色のシールをめくるときであり、このシールを破損させてはいけません。
曲がってしまってもダメです。

シールを専用の道具でめくるとこんな感じです。

古いグリスが残っているのが見えますね。

全部洗浄します。

そして新しいグリスを大量に注入!

溢れさせるくらいにグリスを詰め込み、シールを戻します。

反対側からもグリスをたっぷり詰め込み…

組み付けていきます。

上下の向きにも注意しましょう。

シートクランプセットも洗浄のために抜き取って分解します。

できあがったのがコチラですね。

このあたりのつくりの良さはさすがロックバイクスと言わざるを得ません。

ヘッドで重要なプレッシャーアンカーもいい感じです。

サビ防止処理をして、

ここから組み付けます。

構造上、このタイプのプレッシャーアンカーはズレがちなのに、アンカーのパーツ同士が固着しやすいんです。

後々の調整が容易にできるように下処理もやっちゃいます。

プレッシャーアンカー完成!

ヘッドパーツも順番に正しく組み付けてきます。

ロックバイクスにはシックスコンポーネントが特に似合いますね。

ハンドルやステムはユーザーさんの余り品を流用しました。

◆駆動系

BBのスリーブが透明って珍しいですね。

ベアリングのグリスはスカスカでした。

ヘッドベアリング同様に扱います。
※本来は分解非推奨です。

BBシェルの下処理もしっかりやってあるので、BBの装着がとても楽でした。

↑リアエンドパーツです。

こちらも下処理をして組み付けます。

リムテープやリムフラップにも寿命がありますが、

そもそも↑の状態はNGです。
このままではまともにリムフラップの役割を果たせません。

リムベッドを洗浄してリムテープを装着します。
リムフラップは使えそうなら再利用もしますが、ダメなものは要交換です。

ギヤ類の下処理もしておきます。

特に中古で手に入れた場合、このあたりが固着していて外せない場合もあるため、ある意味ギャンブルです。

頻繁に触る可能性があるのでCTA(チェーン引き)にも下処理をします。

見た目に変化はありませんが、意外と重要なポイントです。

クランクセットもバラしていきます。

チェーンリング固定用のナット類が1セット不足していましたが、あるものは再利用します。

↑サビを除去中。

後々カスタマイズで交換する可能性もあるため、固着とサビを防止するためのグリスです。

使用感はあるのに汚れが無い駆動系パーツ、いいですね。

下処理のために左クランクも一旦分解しました。

改めて左クランクを組み直し、

ウェーブワッシャーもそのまま再利用します。

◆ブレーキ

前後とも分解できるところは分解します。

せっかくのオーバーホールなので徹底的に洗浄もします。

ブレーキシューは定期的にここまで洗浄してあげるとリムも長持ちさせやすいです。

カートリッジタイプのシュー(ゴム)は、シュー固定用のボルトもチェックしましょう。

他車種ではあまり見ない構造のリアブレーキ。

Vブレーキのようなリードパイプもあります。

車体全体のヴィジュアルを優先した結果でしょうか。

ケーブル長をどうするか迷いやすいポイントですね。
当店が出した結論は後ほどご紹介します。
インナーエンドの処理は当店独自のMEF(マーブルエンドフィニッシュ)です。

◆シートまわり

まずはサドルを外しただけの状態です。
この角度だと汚れはほとんど無いように見えます。

しかし別の角度から見るとこの通り!
シートポストとサドルの間はどの自転車でも汚れが溜まりやすい部分のひとつです。

もちろん、分解&洗浄します。

長持ち処理をして組み付けます。

この時点ではサドルを仮止め状態にしています。
コルクがオシャレですね。

◆仕上げ

ヘッドバッジが外れてしまっていたので、ユーザーさんと話し合って付け直すことにしました。

バーテープも再利用できる状態だったので、巻き直しています。
この車体に使われているサドルと相性バツグンです。
ちなみにこのバーテープはチネリの製品です。

■完成!

まだまだカスタマイズされるかもしれませんが、ひとまず今回のオーバーホール作業は完了です。
車体紹介も兼ねてご覧下さい!

ブレーキ設定はユーザーさんの好みに合わせ、左レバーでフロント、右レバーでリアとなっています。

キズはそのままです。

しかし、全体的にはかなりキレイになりました。
実はバリアスコートも施工済みです。

1度でも使ったバーテープには癖が付いているので上手く巻き直せない場合がほとんどです。
今回は運良く再利用できました。

フロントのブレーキインナーワイヤーの末端処理も当店独自のMEF。

リアブレーキが付いていないように見えますが…

安心して下さい。
ちゃんと付いています。

チェーンジョイントはネジ式です。

こちらはフリーギヤで

こちらは固定ギヤのフリップフロップスタイルです。

フロントタイヤはパナレーサーのアジリスト23Cを

リアタイヤは25Cを採用しています。

シートチューブとのクリアランスもちょうどいい感じです。
チェーンリングはシマノのデュラエース。
ロゴの位置はちょっとしたこだわりポイントです。

手持ち部品を有効活用ということで、トップキャップやステムはGTのものを採用しています。
安全かつ規格が適合しているなら問題ありません。

これで気持ち新たにまた愛車と走り回っていただけるでしょう。
トマホーク、特にこの頃の仕様は貴重なので、ぜひこれからも大切に乗っていただきたいものです。

■特殊なリアブレーキについて

今回の患『車』であるトマホークはロードバイクでよくあるキャリパーブレーキと似て非なる物です。

後々の整備性を考慮するとブレーキインナーワイヤーは長めに残したい、しかし長いとチェーンリングに当たる。
そんな問題を解決しました↓


■ロックバイクスの気になるウワサ

ここで当店取り扱いブランドでもある【ROCKBIKES】(ロックバイクス)の情報も公開します。

ちなみにブランド公式サイトから直接購入もできますが、当店にてご注文いただいた場合は組立無料キャンペーン適用チャンスです。
圧倒的に高品質な組立で納車させていただきます。
防犯登録も合わせてお任せ下さい。

さて、まずは注目の2車種が、ようやく海外の製造工場から日本に届いたそうです。

そして待望のアルミ製レーシングピストバイクは只今開発中だそうです。

この写真はトマホーク

事実上、次期『トマホーク』と言えるものになるでしょう。
車種名は『トマホーク』になるのか、それとも違うものになるのかは未定だそうですが、個人的にもワクワクしています。

オンロードでの自転車のレースといえばロードレースや競輪(ケイリン)等が盛んですが、ピスト限定のクリテリウムも見逃せません。
もちろん、レース志向じゃなくてもピストバイクは楽しめます。
合法的に仕上げ、ルールを守って楽しみましょう!

■自転車のご依頼・ご相談等はメールか公式LINEでお気軽にどうぞ↓

当店は出張修理等が多いため、決まった店休日や営業時間という概念がありません。
他店様が営業していない時間帯でも予約制にてご依頼等を承ります。
また、当店にて自転車の販売(防犯登録含む)も行っておりますが、他店様にてお買い上げの自転車の組立や点検及び調整、修理やカスタマイズ、オーバーホール等のアフターケアも大歓迎です。
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