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ある飲食店のささやかな要望

 
 前総理がなぜ最長就任期間を達成できたのかというと、さまざまな要因はあるにせよ、「国民が賢いので、トップが間抜けでもさしたる問題が起きなかった」というのがいちばんの要因だろう。アメリカ大統領のように暴れられたら困りものだが、ちまちまヘンテコなことをやっている程度では、国民が総じて賢いので大混乱にまでは陥らない。
 
 能力のないトップが最もできる社会貢献は、『容認』だ。ただ黙って見ていてくれればいい。ない頭で動けばロクなことにならないからだ。ただ、まぁできうれば、迷惑のかからない程度に小さく動いてくれれば助かることもある。一応、トップの地位でなければ指示できない権限というものも、いろいろあるからだ。
 
 ある飲み屋さんが言っていたが、テイクアウトだけはせめて21時までにさせてくれると助かるとのことだ。酒の提供は19時までで客はちゃんと20時までに帰すので、テイクアウト販売だけをその後1時間認めてほしいと願っていた。ぼくは飲み屋さんや同業者からさまざまな意見を聞いているが、この飲み屋さんの意見は至極まっとうなものだと思う。
 
 飲み屋さんで、ランチを主にしたテイクアウトを始めているところも多い。その彼らの弁当や一品料理は、実に凝っている。
 
 それはそうだ。彼ら個人店は、テイクアウト商品が店の宣伝にもなってしまっている。いや、宣伝というよりも指針だろう。冷凍食品でチャチャッとおかずをまとめて販売すれば、夜のメニューもそんな感じだと思われてしまう。だから利益は薄くなっても、それなりに手作りで美味しいものを売らないとならないのだ。
 
 利益が薄いところにもってきて、売れないで余ったらさらに大赤字だ。ランチの販売は現在のところ客の取り合いで数の捌きに見込みが立たないだろうし、また個人店の割高弁当ではコンビニより分が悪い。しかし夕食としても売れるのなら、数にも見込みが立ちやすい。また夕食であれば、ランチよりコンビニに対抗しやすくなる。多少割高でもしっかりしたものを食べたい、という客が増えるだろうから。
 
 そういう意識からの、21時までという発言になったのだ。ホントは21時半、いや、22時と言いたかったのかもしれない。いずれにしても20時では、まだ帰ってきていない地元の人間もたくさんいるだろう。それに接客が済んでテイクアウトだけに集中する時間が1時間でも分けられれば、充分力を注げるというものだ。テイクアウト販売中に翌日の仕込みをする、ということであれば効率もいい。
 
 これなんて、ちょっとした政治判断なのだ。金も手間も必要ない。一つの県がやれば批判の的にもなるだろうから、国か都が最初に打ち出す必要はある。たとえ30分だけでもいいと思う。テイクアウトに限って営業時間をほんの少し延ばす手はないだろうか?

駄文ですが、奇特な方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いいたします。