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「脱サラしてカフェ」の夢と現実 Twitterに見る世知辛いセカンドライフ事情
会社員を辞めて自分で事業を興す「脱サラ」。実は密かに、いつか脱サラすることを夢見てます……という人も多いのでは。Twitterではそんな脱サラについて、夢と現実のギャップを示す話題がたびたび拡散されます。
ツイートまとめサービスのTogetter(トゥギャッター)がお送りする「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド」、今回のテーマは「脱サラ」です。
「脱サラしてパン屋」は「脱サラして漫画家」より難しい?
脱サラして飲食店などのお店を始めることは、退職後の夢としてよく挙げられるプランです。しかしいざ実現しようとなると、さまざまな現実的ハードルが。
アメリカで寿司職人をしているすけちゃん(@AgingAnarchist)さんが、脱サラしてカフェをやりたい人と考えている人に向けて、まず「空いても混んでもいない店に行って、1時間くらい座ってみる」ことをすすめたツイートが注目されました。
お店の様子を観察しつつ、客の人数や自分がお店で使った額、従業員の人数×営業時間×時給……といったポイントをざっくり計算してみると、現実的なハードルの高さが見えてくるのだとか。
勤め先を辞めてカフェをやろうと思っている人は、空いても混んでもいない店に行って、1時間くらい座ってみましょう。お客が何人来て、自分がいくら使ったか、従業員は何人で、それに営業時間と時給$15掛けてざっくり計算してみましょう。それが自分の店だと思うと怖くてとても手を出せないと思います。
— すけちゃん🇺🇸 (@AgingAnarchist) September 24, 2021
このツイートに対し、「実家が喫茶店ですが、人を雇うと利益が残らない」「カフェでいつもこれ気にしながら観察してるけど、ほんとに怖い」といった反応が。起業セミナーに参加した多数のカフェ経営希望者が、事業計画の段階でこの現実を見せられプランを練り直していた、という報告もありました。
また、元小麦粉業界の営業マンだという漫画家のちば・しゅう(@chibasyu)さんは「『脱サラしてパン屋になる』という夢は、『脱サラして漫画家になる』という夢よりも過酷」だと語っています。
元小麦粉業界の営業マンでパン屋さんの裏側も見て来たエロ漫画描きだけど、 「脱サラしてパン屋になる」という夢は、「脱サラして漫画家になる」という夢よりも過酷だと思うよ。
— ちば・しゅう🔞 C100新刊「うる星」本(紙版・電書版)委託中です。 (@chibasyu) April 4, 2019
パン屋の開業にはかなりの設備や体力が必要となるため、副業や兼業がしやすい漫画家の方がまだ現実的だとのことです。どちらの世界も見てきた方ならではの視点ですね。
協力者選びにも判断力が求められる
独立にあたって、成功率を上げるために専門家に協力を仰ぐこともあります。しかし、どんな専門家を頼るかについても注意すべきポイントが。
都内で税理士をしている旅好き税理士(@fx_travel)さんは、脱サラをしてラーメン屋をやりたいという方の相談に乗った経験をツイートしました。旅好き税理士さんが、相談者に対して「気に入った味のラーメン屋で1年ほど勉強する」「居抜きかカウンターのお店で初期投資をおさえる」といった現実的なアドバイスをしたところ「その話は正論だけど夢がない」と言われてしまいます。
昔、脱サラしてラーメン屋をやりたいという相談があった。やるなら気に入った味のラーメン屋に1年くらい働いて作り方やオペレーションを学ぶ。最初は居抜きかカウンターのお店で初期投資をおさえる、と話したが。
— 旅好き税理士 (@fx_travel) February 20, 2021
その方曰く
— 旅好き税理士 (@fx_travel) February 20, 2021
その話は正論だけど夢が無いんですよね。もっとパーッと夢が広がる話をして欲しい。
やがてコンサル業もしている製麺業者と手を組むように。
その後、相談者はコンサル業もしている製麺業者と組み、8000万円を初期投資して店を開店。ところが、お店は半年も経たずに売り上げが悪化し始めました。相談者は材料やスープも製麺業者から仕入れる形を取ったため、原価率を下げることも難しそうです。
結局、旅好き税理士さんは相談者から顧問契約を解消されたため「その後のことは分からない」としていますが、相談者のお店があった場所は今、別のお店になっているそうです。
旅好き税理士さんは「上手い話を提案されてそのまま乗れば、1億円のお金があっという間に消えてしまう」とコメント。自営業では、協力者を選ぶにあたっても、自身でしっかり判断しなければならないことが分かるエピソードです。
やがてFAXで「経済的合理性が見いだせないので契約を終了します」と送られて顧問は終了。その後は知らないが、大分前に前を通ったら違うお店になっていたので、辞めたのだろうな。
— 旅好き税理士 (@fx_travel) February 21, 2021
脱サラ願望はどこから来るのか
どうしても世知辛い話の多い脱サラネタですが、それでも「夢」はつきません。
Twitterユーザーのセーターさん(@re_sweater)が「人が来ないのになぜかつぶれない喫茶店でマスターしながら、バイトの子に『こんなんじゃ店つぶれちゃいますよ〜』と言われつつ働くのが将来の夢」と投稿すると、共感の声が殺到しました。
人が来ないのに何故か潰れない喫茶店でマスターしながら、バイトの子に「こんなんじゃ店潰れちゃいますよ〜」と言われつつ働くのが将来の夢です
— セーター🌤️ (@re_sweater) July 27, 2022
「誰かの人生相談聞きながら飲めもしないコーヒーついでいたい」「ガンプラ組める喫茶店みたいなのするのが老後の夢」などなど、他のTwitterユーザーから出てくる願望もつきません。
数は少ないですが、ビルのオーナーが趣味でやっているといった背景から「なぜかつぶれない喫茶店」は実在するようです。実際にそんなお店で働いていた人から、店員としてやったことは「マスターと常連の話し相手だけ」だったという報告もありました。
夢想するだけならタダ。さらにそんなお店が実在するという話まで聴くと、憧れがいっそう強くなりそうです。
まとめ
「脱サラ」の話題が拡散されると、「どんな形であれば実現可能であるか」という議論も必ずと言っていいほど出てきます。
世知辛さを知りつつも、ついつい「自分だったらどうするか?」と想像したくなる魅力があるネタだからこそ、脱サラネタは拡散されやすいのかもしれませんね。
以上「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド」でした。
この連載は毎週月曜日に更新しています。今後もTwitterでバズった、あるいは興味深いトピックを解説していきます、お楽しみに!
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