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牛のゲップと地球温暖化

地球温暖化により温室効果ガスの排出削減が世界的に叫ばれる中、農林水産省は農林水産分野で温室ガス排出量の3割近くを占める牛のげっぷと排せつ物の抑制に向けて研究に乗り出したという。

では、そもそも温暖化は今どのような状況で、日本では具体的にどのような対策が取られているのだろうか?

背景

地球温暖化の原因は、大気中に存在する二酸化炭素などの温室効果ガスの濃度が上昇することだと言われている。濃度が上昇する理由は2つ。「温室効果ガスの排出」と「地球の二酸化炭素吸収力の低下」だ。つまり、排出量が増えたにも関わらず吸収力が低下しているため、濃度が上昇し続けていて問題だということ。

では、排出と吸収を生み出している要素には実際どのようなものがあるのだろうか?以下に具体的な要素をまとめてみた。

温室効果ガス
二酸化炭素:化石燃料(石炭、石油、天然ガスなど)を燃焼させると発生
フロン:エアコンや冷蔵庫に冷媒として使われている
メタン:生ゴミや水田などから排出

二酸化炭素吸収力
森林の減少:農地の拡大などにより伐採され、森林が減少したことにより、森林からの二酸化炭素の吸収量が減少。

つまりは温室効果ガス(二酸化炭素・フロン・メタン)を減らし、森林を増やすべきなのだ。温室効果ガスの排出削減は、1997年にCOP3で採択された京都議定書に遡り、その後現在でも各国で様々な取り組みが行われている。

参考までに2017年度の日本の排出量を以下に掲載する。結論から言うと、排出量は1990年から削減できていない。

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出典:

家庭や世帯での排出

産業レベルの排出の割合が大きいとは思うが、では個人レベルでどの程度排出削減に貢献できるのかと疑問に思う方もいるのではないだろうか。気象庁のサイトによると、日本における排出量の2割はエアコン、電気・ガス、車など日常生活から排出されているという。

気象庁は具体的な回避行動を推奨しているが、あくまでお願い・呼びかけレベルであって排出削減の実現性は乏しい。つまり、日本において家庭や世帯のレベルにおける取り組みはほとんどされてないし、緊急性を感じないため今後もされる見通しは薄いということだ。

森林破壊への取り組み

では吸収力の復旧はどうなっているのだろう?環境省のレポートによると、1990年から2015年の25年間の間に世界の森林率は31.6%から30.6%、つまり1%減少している。この面積は南アフリカの国土面積に匹敵するということだ。増加分を差し引いても年間の純減面積は330万ヘクタールに上り、これは日本の国土の約1/10にあたる。

森林減少の主な理由は、土地利用などの人工的な伐採や違法伐採、山火事などの自然災害による消失だ。日本は違法伐採に対する取り組みとして、グリーンウッド法及びグリーン購入法を施行。法的な規制を持って持続可能な森林保全を目指している。

まとめ

少なくとも日本においては、国家レベルの取り組みとして温室効果ガスの削減や森林保全は大きな効果は上げておらず、世界的にも批判の対象となっているようだ。特に東日本大震災があってからは原発の利用が減り、代替手段としてCO2を大量に発生させる石炭火力発電所による発電を推進している。

つまり個人が努力してもこのままでは状況は大きくは変わらないということ。日本が本当に温暖化対策に取り組むためには、まずは牛のゲップではなく、発電の問題をクリアしなければいけないのかもしれない。

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