ぬっぺら功夫~急急トシテ律令ノ如クセヨ!~
大陸の東端、カミスの国。綺羅びやかな繁華街に反比例するように薄汚れた裏通り。頼りない防犯灯に照らされ、二体の異形の影が踊る。禿げ上がった猿の如き様相の一方はガニ股でユラユラと体に左右を揺らしながら、謎めいたステップを踏む。他方、軽く前後に足を開き、腰の右横に交差した腕を構えるは、中肉中背、灰褐色のシャツとズボンを纏った青年。しかして、その顔面に炯炯と輝くは火眼金睛。異相である。
「悪いがヒョウスベさんよぉ、勅命なんでな。狩らせてもらうぜぇ」
雰囲気に反して、青年の口調は、軽い。
“ヒョウスベ”と呼ばれたソレは、一瞬、目を見開く。あの忌々しきカッパとの同一視が進んだ今、名を一目で看破されるとは!
動揺は功夫の乱れを呼び、一触即発の空気は破局に向かい圧力を増した!
「勅命だと!巫山戯るなッ!」
ヒョウスベは自暴自棄を感じさせる踏み込みと共に右腕で突きを放つ!瞬間、左腕が縮み、右腕が倍の長さに伸びた!
【続く!】
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