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本物にこだわり、新たな“モダンオキナワ”という価値をつくる。「アイラーティ合同会社」代表・細田和良さんインタビュー

那覇市にあるアイラーティ合同会社。
こちらの会社では、沖縄の素材を活かしたスイーツなどの商品を製造・販売しているのですが、看板商品は、なんと、イタリアと沖縄が融合したチョコレート!いったいどういうことなのか…とっても気になりますよね。
今回はその誕生秘話や、代表の細田さんの沖縄への想いなどをうかがってまいりました。

――アイラーティさんのチョコレート「マーリオチョコレート」シリーズ。実はとても大ファンでどのように誕生したのか気になっていました!

細田さん(以下、細田):“マーリオ”というのは、南イタリア・プーリア州で1875年に創業された老舗のチョコレート工房で、ベネズエラやキューバで厳しく管理・栽培された希少なホワイトカカオのみを使って作られる最高品質のチョコレートを製造・販売しているのです。

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アイラーティ合同会社の代表・細田和良(ほそだかずよし)さん
アイラーティ社のマリーオチョコレートシリーズ。カカオ豆の全体量の0.002%と言われている希少な「ホワイトカカオ」を使用。

ーーそのマーリオ社の高級チョコレートと、沖縄の素材が出会ったのが、アイラーティの「マーリオチョコレート」シリーズなのですね。イタリアと沖縄…いったいどうして出会うことになったのでしょうか?

「南イタリアと沖縄は似ている」と思ったのです。限られた土地で、知恵を活かして、健康的に美味しく地元の食材を食べてきた、という共通点があります。そんなイタリアと沖縄は、全く別のものに思えるけれど、親和性があるなと思い、この2つを融合させたいという思いで、2017年3月に沖縄に移住し、アイラーティを設立しました。

アイラーティを後ろから読むと…びっくり!

――沖縄に移住されてきたということは、以前は本土でお仕事をされていたのですか?

細田:元々東京の食品メーカーに勤務しており、イタリアのトマトの加工・販売などの経験がありました。そのときに、イタリアのマーリオ社を知ることになります。マーリオはチョコレート“工房”と呼ぶにふさわしい従業員25名ほどの小さな会社で、大量販売を行わず、創業以来の精神を地道に守っている真面目な会社だと感じました。

ーーそのマーリオ社のチョコレートと、沖縄の食材を組み合わせてみようと思ったのはなぜですか?

細田:沖縄にはたくさんのいいものがあるのですが、沖縄の人がその魅力に気づいてないように思えたのです。お人好しな人が多いのか、お土産屋さんの商品はどれも安く、長年変わらないラインナップという現状を目の当たりにし、もっと価値のあるものをつくろう、違う形で付加価値をつけて新しい魅力をアピールする、“モダンオキナワ”を提案しよう、と思ったのです。

ーーそして、イタリアのマーリオ社に、沖縄の素材を使ったチョコレートを作りたいと提案したときはどんな反応だったのですか?

細田:初めは「なんで?」という感じでした。チョコレートなら(マーリオ社のものが)たくさんあるだろう、と。一方で、マーリオの国内販売代理店として、東京のデパートで営業をすることがあるのですが、他の名だたるショコラティエのチョコレートと並ぶと、いくら良いものであってもどうしても埋もれてしまうのです。そういった経緯を踏まえ、改めて提案し、納得してくれ、今では、イタリアのマーリオ本社の入り口に、マーリオOKINAWAの商品をディスプレイするまでとなりました。

ーーイタリアの老舗チョコレート工房に沖縄素材のチョコレートが…!それは嬉しいですね!アイラーティさんの商品、まさにモダンオキナワという言葉がふさわしいですが、県民である私達ですら気づかなかったような、または思いつかなかったような組み合わせの商品も開発されていますよね。チョコレートにも様々な産地の素材が使われていますがご紹介いただけますか。

細田:まず、すべてのチョコレートに使用している黒糖は伊江島のものです。これはイタリアのマーリオ社がいくつかの黒糖を試して選んだものです。シークヮーサーは勝山、紅芋は宮城島、塩は屋我地島、そして島とうがらしは糸満のものです。

ーー例えば、シークヮーサーだと大宜味村、紅芋だと読谷村、のように、いわゆるザ・定番の産地もあるわけですが、それぞれの素材の原産地にとてもこだわりを感じますね。これは細田さんがご自分で調べあげて見つけてくるのですか?

細田:実は私はかつて那覇で「VinoVino(ヴィーノヴィーノ)」というイタリア料理店をやっていました。その経験や、のうれんプラザで「イタリア野菜の小さな八百屋さん」をやっていたこともあり、周りの生産者さんから色々な情報をもらうことが多かったのです。

ーーなるほど、かつては食品会社でメニュー開発もされていたそうですし、移住されてからの様々なご経験が、厳選された素材選びにもつながっているのですね。そしてこの、糸満産の島とうがらしのチョコが本当に斬新で美味しいんですよねー!

細田:島とうがらしの大辛口味は、ステーキソースとして使ったり、焼いた茄子にチョコレートソースとして使うと美味しいですよ。

ーーすごい…!まさかそんな使い方が!さすがシェフ!!

細田:チョコレートは何にでも合うんですよ。コーヒーやワイン、料理にも使えますし、健康にも良いのですよ。マーリオのチョコレートは本物のチョコレートなので。

特別に、イタリア・マーリオ社のチョコレートを試食させて頂きました。ホワイトカカオで作られたチョコレートはハイカカオでも全く苦くなく、カカオの風味を存分に楽しむことができます!
「西洋料理専門調理師」という国家資格もお持ちなんだとか!上品でセンスある味わいのスイーツたちが生まれるのも納得です。

ーーさて、イタリアとのコラボのチョコレートとは打って変わって、こちらの「伊江島ラムレーズンサンド」は、なんと「沖縄の恵み」で作られているんですよね!

アイラーティ:伊江島ラムレーズンサンド 1,296 円

細田:取材で伊江島へ行ったことがこの商品の開発のきっかけでした。黒糖工場を見学した際に、伊江島のラム酒「イエラムサンタマリアゴールド」の工場も併設されていたのですが、単にラム酒として販売するだけではもったいないな、と思えたのです。伊江島のラム酒で作ったラムレーズンは美味しいだろうなと考え、ラムレーズンサンドを作ることにしました。

ーーそして、なんと小麦も伊江島産のものが使われているんですよね。

細田:伊江島の小麦粉「江島神力」の全粒粉を使っています。琉球王朝時代から、伊江島は小麦が一大産業だったんですよ。

ーーなんと…!お恥ずかしながらその歴史は知らなかったです。本当によく沖縄のことや、その土地に根ざした素材の良さを理解されていますよね、感激です。

細田:この商品は素材も、製造も、沖縄にこだわってつくっています。その取組が認められ、県の審査会によって選定される「沖縄県優良県産品」にも選ばれました。

パッケージには優良県産品推奨マークが。

ーーそして、アイラーティの商品と言えば、パッケージもとっても素敵ですよね!はっきり言って、私ははじめて購入したときは、見た目の美しさから入りました!

細田:見た目・パッケージは大事です。「伊江島ラムレーズンサンド」のパッケージを手掛けたのは、画家で友人の川村 易(おさむ)さんです。まさにイタリアと沖縄が融合されていて、イリオモテヤマネコやキジムナーもいますし、イタリアの物語をモチーフにしたイラストが描かれています。

ーーずっと眺めていたくなる魅力たっぷりの作品ですよね。そして、マーリオチョコレートのパッケージも、高級感があるデザインと手触りですよね。これは自分用はもちろん、贈り物にも喜ばれますね。

アイラーティ:マーリオチョコレート35枚入りギフト 4,104 円

細田:パッケージには、琉球紅型の源流の一つである知念紅型研究所10代目当主である知念冬馬氏が描いた黒糖の原料であるサトウキビが描かれています。「一般社団法人琉球びんがた普及伝承コンソーシアム」とのコラボレーションで作られていて、商品を通して、琉球紅型の素晴らしさを普及・伝承する取り組みをしています。

ーーチョコレートはもちろん、パッケージデザインも本物志向ということですね。細田さんのお仕事には、ひとつひとつの商品の細部への配慮やこだわりが感じられますが、商品をつくる上で大切にされていることは何でしょうか?

細田:コンセプトを磨き上げること。本物であること、今までにないものであること、無添加であること、できるだけ手作りであること、ありそうでなかったもの、そして、心身共に健康になること、ですね。

ーー私達(取材チーム女性スタッフ2名)は、アイラーティの商品を手にするととっても“ちむどんどん”するわけですが、「心身共に健康になること」というお言葉がとても心に刺さりました。(感動しここでスタッフがなぜか涙目。)

細田:こんなの食べたら嬉しい!、子供にも安心して食べさせられる、そして人にも喜んでもらえるもの、そんな商品を目指しています。

ーーなぜ私達がこんなにもアイラーティの商品にときめくのか、食べ終わった箱まで取って置きたくなるのかが分かった気がします。細田さんの愛、想い、ストーリーがたっぷり詰まっていたのですね。では、最後に、沖縄の読者の方へメッセージをお願いいたします!

細田:最初に話したとおり、イタリアと沖縄は似ていると思うのです。人々は知恵を使って生きてきました。沖縄は歴史的に見ても、刀ではなく三線を飾り、外国との戦争をしなかった平和的な人たちなのです。そんな地元・沖縄をもっと誇ってほしいと思っています。地元の方も気づいていない魅力はまだまだたくさんあります。一緒にがんばっていきましょう!

ーー細田さん、ありがとうございました!大好きですーー!!(感涙)

細田さんの沖縄に対する理解や共感する気持ち、新たな視点での沖縄の良い素材探し、そしてそれを使った価値づくり…。県民ながら勉強させられることも多く、感動しっぱなしのインタビューでした。この先も様々な新商品の発表を控えているようでしたので、是非みなさん、今後のアイラーティの商品も楽しみに待っていてくださいね!TODOQでも順次、新商品発表していきますよー!お楽しみに!


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