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客室稼働率がコロナ禍前に近づく~2023年5月の宿泊旅行統計調査

観光庁の「宿泊旅行統計調査」の2023年5月分が本日(6月30日)に公表されたので、ポイントをまとめさせていただきました。


2023年5月の延べ宿泊者数は前年同月比36.2%増

 2023年5月の延べ宿泊者数は5011万7730人泊であり、前年同月比で36.2%増加しました。2023年4月の39.0%増(速報時は41.6%増)から鈍化しました。外国人観光客の寄与が22.6ポイントと、4月の27.5ポイント(速報時は29.3ポイント)から鈍化したのが主因です。逆に日本人観光客の寄与は13.8ポイントと4月の11.7ポイント(速報時は12.3ポイント)に比べると高まりました。
 1月から5月までの延べ宿泊者数の累計は約2.26億人泊で、2019年の1~5月累計(約2.39億人泊)にはまだ及びませんが、2018年の1~5月累計(2.09億人泊)は超えています。日本人観光客に限ると、2023年1~5月累計は1.89億人泊であり、2019年1~5月累計の1.90億人泊にほぼ匹敵しています。

客室稼働率は前年同月に比べて11.5ポイント改善

 延べ宿泊者数の回復を受けて、客室稼働率も上昇を続けています。2023年5月の宿泊稼働率は56.5%。前年同月(45%)に比べて11.5ポイントの改善です。2019年の水準まであと7ポイント弱、2016年の水準にほぼ近づいてきました。
 ビジネスホテルの5月の稼働率は68.4%で前年同期に比べて13.5ポイント上昇し、2019年以前の70%前半まであともう少しです。同様に観光需要が中心のシティホテルの4月の稼働率は67.9%で前年同期に比べて20.3ポイント上昇しました。シティホテルの稼働率の回復が、ビジネスホテルに比べて若干遅れ気味です。

客室稼働率が例年を上回る県の数が前月から減った

 1ヵ月遅れで確認できる都道府県別データを用いて、2023年1~4月平均の都道府県別の客室稼働率を例年の値(2015~19年の1~4月の平均値)と比較すると、先月から3県減って、8県(青森県、岩手県、栃木県、新潟県、長野県、徳島県、愛媛県、高知県)が例年の値を上回りました。
 一方、例年は外国人観光客が多かった都道府県の客室稼働率はまだまだ落ち込みが大きいです。落ち込み幅が大きい順に、(1)大阪府(マイナス22.4ポイント)、(2)京都府(マイナス16.5ポイント)、(3)佐賀県(マイナス12.8ポイント)、(4)鳥取県(マイナス12.5ポイント)、(5)石川県(マイナス10.4ポイント)となっています。これらの都道府県で今後どこまで客室稼働率が高まっていくかに注目したいですね。

大都市や観光地を抱える都道府県で外国人のプラス寄与目立つ

 2023年1~4月合計の都道府県別の延べ宿泊者数の前年比を最後に確認してみましょう。全都道府県がプラスになっています。最大の伸びになったのは沖縄県で121.5%増、つまり2.2倍になりました。
 また、大都市や観光地を抱える都道府県では、外国人のプラス寄与が目立ちます。例えば、北海道は延べ宿泊者数が前年に比べて56.1%増加しましたが、うち29.1ポイントが外国人の寄与となっています。
 一方、4年前(2019年1~4月合計)と比較すると、5都県(栃木県、東京都、神奈川県、愛媛県、高知県)で延べ宿泊者数が増加となっています。コロナ禍の影響がなかった時期に比べてプラスになる都道府県が今後どこまで広がっていくかにも注目したいと思います。

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