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速報の下方バイアス除けば、稼働率の回復続く?~2022年8月の宿泊旅行統計調査

観光庁の「宿泊旅行統計調査」の2022年8月分が一昨日(9/30)に公表されました。2日遅れですが、ポイントをまとめさせていただきました。引き続き、稼働率に注目します。

稼働率は7月の速報値と比べれば上昇
 2022年8月の宿泊施設稼働率は50.1%と7月の54.8%から低下。しかし、7月の稼働率は速報段階では46.7%でしたので、7月の速報値から比べれば8月の稼働率は上昇しています。
 「ビジネスホテル」の8月の稼働率は58%と7月の60.4%から若干低下したものの、7月の速報値55.5%からは上昇。観光需要中心の「シティホテル」の8月の稼働率は49.8%と7月の53.3%から低下したものの、7月の速報値50.6%とほぼ同程度です。
 このところ、稼働率の速報から確報への上方修正が続いています。どのような要因があるのか、一度、観光庁に聞いてみたいと思います。

延べ宿泊者数は8ヵ月連続で前年上回る。3年前に比べて26.1%減
 2022年8月の延べ宿泊者数は4671万8970人泊と、前年同期に比べて49.3%増になりました。8ヵ月連続で前年より増えました。ただし、伸び率は7月の31.9%増(速報段階は28.6%増)からやや鈍化しました。日本人宿泊者の寄与がプラス48.8ポイントで、外国人宿泊者の寄与はプラス0.5ポイント。引き続き日本人宿泊者のプラス寄与が中心となっています。例年の水準を示すと考えられる3年前(2019年)の同月と比較すると26.1%減。7月の23.1%減に比べてマイナス幅が拡大しましたが、これも確報ではマイナス幅が縮小するかもしれませんね。

客室稼働率の落ち込みが例年に比べて大きいのは大阪府など
 1ヵ月遅れで確認できる都道府県別データを用いて、2022年1~7月平均の都道府県別の客室稼働率を例年の値(2015~19年の1~7月の平均値)と比較すると、落ち込み幅が大きい順に、(1)大阪府(マイナス41.8ポイント)、(2)沖縄県(マイナス35ポイント)、(3)京都府(マイナス34.3ポイント)、(4)東京都(マイナス34ポイント)、(5)福岡県(マイナス30ポイント)となっています。観光地を抱える都道府県の落ち込みがかなり大きく、稼働率低下ワースト5の顔ぶれに変化はありません。ただし、全国的に客室稼働率の回復が続く中で、マイナス幅は徐々に縮小しています。

2022年1~7月累計の延べ宿泊者数は鳥取県のみ前年下回る
 都道府県別の延べ宿泊者数の2022年1~7月累計の前年比変化率を最後に確認すると、鳥取県のみ前年を下回っています。
 一方、コロナ禍が始まる前の3年前(2019年1~7月)と比較するとすべての都道府県が減少しています。減少率の上位は、(1)沖縄県(52.8%減)、(2)大阪府(46.8%減)、(3)鳥取県(42.6%減)、(4)京都府(40.9%減)、(5)福岡県(39.2%減)となっています。一方で、山口県が0.7%増と唯一、3年前から増加しています。


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