貿易収支の前年同月差が2023年3月以来のマイナスに~2024年4月の国際収支
本日(6月10日)、2024年4月分の国際収支統計が公表されました。日経夕刊では「経常黒字は15カ月連続。経常黒字額は比較可能な1985年以降で4月としては最大」と報じています。本稿では季節調整値と原系列の前年同月差に注目しながら月次の推移を確認していきたいと思います。
季節調整値で見ると前月比増加だが、原数値の前年同月差は縮小
4月の経常黒字は季節調整値でみると2.5兆円。2ヵ月連続で増加しました。2024年3月(2.0兆円)からの黒字拡大に寄与したのは第一次所得収支の黒字拡大(3月:3.2兆円→4月:3.4兆円)。貿易収支、サービス収支は赤字が若干縮小しました。
一方、原数値の前年同月差は0.2兆円のプラスで3月(同1.0兆円)から0.8兆円縮小しました。貿易収支の前年同月差がマイナスに転じた(3月:0.9兆円→4月:▲0.5兆円)ことが最も影響しており、第一次所得収支のプラス幅拡大(3月:0.0兆円→4月:0.8兆円)が頼みの綱の形です。
貿易収支の前年同月差がマイナスになった主因は、輸入の前年同月差が再びプラスになったことです(3月:▲3541億円→4月:7119兆円)。
輸入金額の前年同月差がプラスに
財別の動向がわかる貿易統計を見ると、輸入金額の前年同月比は3月(5.1%減)から4月(8.3%増)へプラスに転じました。前年同月比の差(13.4ポイント)に最も寄与したのは鉱物性燃料(寄与度の変化は4.3ポイント)でした。
価格要因を除いた実質輸入の季節調整値を見ると、3ヵ月ぶりに減少しましたが、資源価格の上昇が影響したと考えられます。
一方、実質輸出はほぼ横ばいでした。自動車関連は増加に転じましたが、他の財は減少しました。今後、実質輸出の増加が貿易収支の行方を左右しそうです。
サービス収支の前年同月差がマイナスに
経常収支の前年同月差が縮小したのは、サービス収支の前年同月差がマイナスになったことも影響しています(3月:0.10兆円→4月:▲0.16兆円)。
旅行収支を除く、輸送収支、知的財産権等使用料収支、知的財産権等使用料収支を除くその他サービス収支のすべての前年同月差がマイナスになりました。旅行収支のプラス幅も縮小しました(3月:0.17兆円→4月:0.13兆円)。インバウンドが注目されていますが、旅行収支の黒字をどんどん拡大させるのは、なかなか難しそうですね。
直接投資収益の前年同月差が3ヵ月ぶりにプラスに
第一次所得収支の前年同月差はプラスを拡大させました(3月:482億円→4月:8080億円)。
このの変化をけん引したのは再投資収益を除く直接投資収益がプラスに転じたこと(3月:▲1172億円→4月:3584億円)でした。証券投資収支もプラス幅を拡大させました(3月:1033億円→4月:5001億円)。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?