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輸出がようやく持ち直し始めた?~2023年7月の貿易統計

 (追記)日本銀行「実質輸出入」の内訳が判明しましたので、追記・修正いたしました(2023年8月25日)

 本日(8月17日)、2023年7月の貿易統計(速報)が公表され、日経電子版では2ヵ月ぶりの貿易赤字であることや、対中輸出が8ヵ月連続でマイナスであることなどが報じられています。しつこいようですが、月別の貿易収支は季節調整値で観察するのが望ましいです。そして、季節調整値でみると2021年6月から26ヵ月連続で赤字であり、2023年7月の貿易赤字は前月(6月)とほぼ横ばいになっています。


輸出、輸入が名目(金額)、実質ともに2ヵ月連続増加

 季節調整値で見ると、2ヵ月連続で輸出金額、輸入金額ともに前月比で増加しています。2023年7月は輸出金額、輸入金額ともに前月比2%増となり、貿易赤字もほぼ横ばい(6月:5402億3900万円→7月:5571億8900万円)となりました。実質輸出(前月比1.1%)、実質輸入(前月比1.8%増)も2ヵ月連続で増加しました。
 実質輸出は6月の前月比5.4%増に比べて伸びが鈍化しましたが、水準(2020年=100とした指数で116.6)は、2021年以来の110~115の横ばい傾向を抜け出したかも、と思われる水準です。
 8月22日に公表された財別や地域別の実質輸出の7月分を見ると、米国やEU向けの輸出で中国向けの減少をカバーしているように見えます。四半期単位の以下のグラフ(ただし、2023年第3四半期は7月の実績)を見ても、米国・EU向けと中国・アジア向けの動きが好対照になっています。
 財別でみると7月の前月比は自動車関連が微減(0.3%減)のほかは中間財、資本財などが増加。四半期単位の以下のグラフ(ただし、2023年第3四半期は7月の実績)を見ても、自動車関連の回復が目立ちます。
 一方、実質輸入は前月比1.8%増。直近のピーク(2022年10月)からの減少傾向から抜け出せているようには見えませんが、”弱い輸入”で貿易赤字が縮小する姿がいつまで続くのか注目したいと思います。

交易条件もわずかに改善したが…

 交易条件はわずかではあるものの、2ヵ月連続で改善しました。契約通貨ベースで見ると、輸出物価(前月比0.1%低下)も輸入物価(同0.4%低下)も低下していますが、輸出物価と輸入物価の低下度合いが近づいてきました。交易条件改善の追い風が今後も続くかどうかは予断を許さないと思います。


#日経COMEMO #NIKKEI


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