日本人観光客の延べ宿泊者数の累計はコロナ前にほぼ回復～2023年7月の宿泊旅行統計調査

観光庁の「宿泊旅行統計調査」の2023年7月分が本日（8月31日）に公表されたので、ポイントをまとめさせていただきました。

2023年7月の延べ宿泊者数は前年同月比32.5％増

　2023年7月の延べ宿泊者数は5281万8840人泊であり、前年同月比で32.5％増加しました。2023年6月の33.7％増（速報時は36.5％増）から若干伸びが鈍化しました。外国人観光客の寄与が24.9ポイントと、6月の25.8ポイント（速報時は26.0ポイント）から低下し、日本人観光客の寄与は7.6ポイントと6月の7.9ポイント（速報時は10.4ポイント）から低下しました。
　１月から7月までの延べ宿泊者数の累計は約3.24億人泊で、2019年の１～7月累計（約3.37億人泊）にはまだ及びませんが、2018年の１～7月累計（2.98億人泊）は超えています。外国人観光客の2023年１～7月累計は5779万人泊であり、2019年１～7月累計の83％まで回復してきました。日本人観光客は2019年１～7月累計にほぼ匹敵しています。

客室稼働率は前年同月に比べて10.1ポイント改善

　延べ宿泊者数の回復を受けて、客室稼働率も改善しています。2023年7月の宿泊稼働率は57.8％。前年同月（47.7％）に比べて10.1ポイントの改善です。2019年の水準まであと5.5ポイント、2016年の水準に比べるとあと3.6ポイントとなっています。

　宿泊施設タイプ別にみると、ほぼコロナ禍前の水準にあるのは旅館のみ。旅館の7月の稼働率は37.8％で前年同月に比べて4.2ポイント上昇しています。
　一方、宿泊者の半分が利用しているビジネスホテルは68.8％。前年同月に比べれば11.5ポイント上昇してはいるものの、コロナ禍前に比べれば8ポイント程度下回っています。同様に観光需要が中心のシティホテルの7月の稼働率は68.5％で前年同期に比べて18.9ポイント上昇しましたが、2019年には８割前後の稼働率だったことから見ると物足りない感じもします。リゾートホテル（52％）も伸び悩んでいますね。

９県の客室稼働率が例年の値を上回る

　１ヵ月遅れで確認できる都道府県別データを用いて、2023年1～6月平均の都道府県別の客室稼働率を例年の値（2015～19年の1～6月の平均値）と比較すると、先月から１県増えて、9県（青森県、岩手県、栃木県、新潟県、富山県、長野県、徳島県、愛媛県、高知県）が例年の値を上回りました。
　一方、例年は外国人観光客が多かった都道府県の客室稼働率はまだまだ例年の値には及びませんが、マイナス幅が徐々に縮小しています。落ち込み幅が大きい順に、（１）大阪府（マイナス19.6ポイント）、（２）京都府（マイナス14.5ポイント）、（３）沖縄県（マイナス10.9ポイント）、（４）石川県（マイナス10.3ポイント）、（５）鳥取県（マイナス9.8ポイント）となっています。これらの都道府県で今後どこまで客室稼働率が高まっていくかに注目したいですね。

東京都の延べ宿泊者数の伸び、外国人が８割寄与

　2023年１～6月合計の都道府県別の延べ宿泊者数の前年比を最後に確認してみましょう。全都道府県がプラスになっています。最大の伸びになったのは沖縄県で97.6％増になりました。
　また、大都市や観光地を抱える都道府県では、外国人のプラス寄与が目立ちます。例えば、東京都は延べ宿泊者数が前年に比べて86.5％増加しましたが、うち70.9ポイントが外国人の寄与となっています。
　一方、４年前（2019年１～6月合計）と比較すると、7都県（栃木県、東京都、神奈川県、富山県、愛媛県、高知県、熊本県）で延べ宿泊者数が増加となっています。コロナ禍の影響がなかった時期に比べてプラスになる都道府県が今後どこまで広がっていくかにも注目したいと思います。