オリジナル小説 「君にまた巡り逢えたなら」


–––––––暇だ。ものすごく暇だ。
どうして日本はこんなにも娯楽が少ないのだろうか。
いや。あるにはある。だけどやり尽くしてしまったんだ。


日曜日の12時。お昼時。
私こと、依咲 美穂(よりざき みほ)はそんなことを考えていた。

「はぁ…」

なんて暇なのだろう。普通の学生ならきっと今は部活やらバイトやらなんやら過ごしているのだろう。"普通"の学生なら。外に出れたのかな…。

「私も"普通"ならよかったのに」

そう。私は強迫性障害という病気なのだ。

この病気は自分でも、おかしい。と認識していても、自分の意に反して不快な考えが繰り返し浮かんできて抑えようとしても抑えられない強迫観念がでてくるのだ。

つまりは人といると自分でも思っていないことを喋り強迫してしまう。
私と一緒にいると不快に感じてしまうため、1人なのだ。病名がついてるだけまだ扱いはマシなのかもしれないが。

…いや別に。それはいい。うん。 いいんだ。
だがそれで困ることが一つ。つまらない。

話す相手もいない。ゲームをする相手もいない。そもそも関わることすらできない。つまらないんだ。
だから出かけよう!…にしても関われないから無理なのだ。
この世は理不尽だな。

なんてそんなことを思いながらぼー
っと外を見る。


–––––––綺麗だな。
雲と綺麗な水色が交差している。

そんなことを考えていたら余計に外に出たくなった。

「あ"ーーあ"」

我ながら女子とは思えない声だ。

そうだ、今はお昼時。
お昼時ならば普通飲食店にいる人が多いはず。
なら出れるのでは…?

窓から外を見てみると一変。人がいない。

「チャンスだ。」
出かけて仕舞おう。人のいないうちに。


「すぅ」

良い空気だ。ずっと部屋に閉じこもっていちゃつまらんよな。
でもさすがに人はいるだろう。そう思い私は路地裏を突き抜けていた先にある公園へいった。

この公園は私が小さい頃過ごしていた公園だ。
懐かしいな。

ドサッ

っ!!
なんだ?動物か?
ここら辺では特に飼ってる家はないんだけどな…
知らないうちに飼ってたりするのか…?

『いたたぁ…』

声だ。
だめだ。早く離れないと。
でもどこに?もうお昼時を過ぎかけてる。このまま戻っても人がいるだけだ。
長居し過ぎたな。そんなことを思っているうちに…

『ねぇ…』
やばい。どうしよう。
また嫌われてしまう。また傷つけてしまう。–––––逃げなきゃっ!?

手を掴まれた。言いたくない言いたく–––––!!

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