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第2次掛川市総合計画改定案へのパブリックコメントを提出しました

去る1月13日、第2次掛川市総合計画改定案を読む会を開催しました(詳しくは以下記事)。

この会を経て、あらためて総合計画を読み直し、自分なりの意見を整理してパブリックコメントをつい先程提出しました(〆切当日でした……ギリギリ)。
せっかくなので、以下にどんなパブリックコメントを書いたか共有させていただきます。

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1.計画全般に関するご提案

はじめに、計画全般に関係する記載について、ご提案させていただきます。

(1)本文中における用語・イメージの紹介
用語について、「Society 5.0」や「SDGs」など、まだ一般には広く普及していないものの重要なキーワードが計画内に多く記載されています。
巻末資料として、今回も用語解説を作成されることとは思いますが、これらの最重要ワードについては、本文中において定義及びイメージをわかりやすく図表、イラスト等で解説することを提案します。

(2)戦略目標と成果指標の研究
本計画では、第2章において戦略目標が設定されるとともに第4章4項において「具体的な成果を表す成果指標を設定し、成果指標の達成状況等を基に、事業の進捗・効果等について効果検証を着実に行い、必要に応じて見直し」ていくことが明記されています。
一方、戦略目標の達成が将来人口の増加にどう寄与するのか、個別施策の達成がどの戦略目標にどのように影響するのか、といった因果関係は定かではありません。
定量的な指標化の難しさは理解しつつも、そもそも戦略目標の達成がめざすまちの将来像を的確に反映したものなのか、個別施策が戦略目標にどのようなインパクトをもたらすのかについて、より具体的な研究が必要になるかと思います。
ついては、上記の研究を推進していくため、第4章4項に「エビデンスに基づく政策形成・評価に関する研究を進める」旨を追記することを提案します。

(3)将来の経済・財源
本計画に記載された個別施策の実施について、その多くは当然のことながら財源が必要になります。
また、第1章第1項にも記載の通り、「「人」「もの」「財源」等の経営資源は安易に増加を期待できない状況」にあります。
こうした状況を市民にも広く共有するため、将来推計人口とともに、市内総生産などの経済的指標や、市の財源に関する将来推計を行い、現状のままではどのような未来が訪れるかを提示することを提案します。

2.個別施策に関するご提案

次に、個別施策の具体的な記載についてご提案させていただきます。

3-① 省エネ・省資源、再生可能エネルギー普及の促進
現状と課題において、地球温暖化の緩和策、適応策双方からの視点による施策展開が必要とされているものの、施策・主要事業には適応策に関する記述がないように思われます。
掛川市においても、学校における児童・生徒や高齢者の熱中症対策、農作物の品質低下予防など、気候変動適応に関する施策の検討が求められるのではないでしょうか。
また、気候変動適応について、2018年6月に気候変動適応法が公布され、市町村においても、地域気候変動適応計画策定の努力義務が明記されています。
これを受けて県内でも、静岡県気候変動適応センターが設置され、また近隣の島田市では2019年3月に策定された「第二次島田市環境基本計画【後期基本計画】」において適応への取組が位置付けられるなどの対応が進んでいます。
そこで、施策の方向として「気候変動の適応に必要な取組の検討」など適応についても検討を進めていく旨を記載することを提案します。

4-② 協働力によるシティプロモーションと移住・定住の促進
「地域資源を生かしたまちのブランドイメージ」について、生涯学習のまちであることや、掛川城プロジェクションマッピングなど高校生が主体となったシティプロモーション事業が行われていることは、掛川市のブランディングに大きく寄与していることと思われます。
そこで、主要事業「移住促進情報サイトの充実」において、生涯学習や子ども教育環境など、移住検討者にとって、他地域との差別化を図る上でアピールポイントとなる点を強調していく旨を明記することを提案します。

4-④ 掛川にしごとをつくる商工業の更なる発展
◯IT活用・情報技術産業について
計画の基本的な考え方として、Society 5.0への適応が掲げられながらも、産業に関する施策において、地域企業におけるITの活用促進や、情報技術産業振興に関する言及がないように思われます(オープンデータ活用の推進はありますが、オープンデータ以外にもさまざまなIT活用が考えられるはずです)。
そこで、まずは施策名称として「商工業」ではなく「商工業及びサービス業」として、商工業以外のサービス業について明記すること、また施策の方向「④市内企業に対する支援」について、「IT導入・活用による付加価値・生産性の向上を支援する」旨を明記することを提案します。

◯創業支援について
創業支援については「相談体制の充実を図るとともに、融資や民間サービス等の情報提供」を行うことしか記載されていません。
市として、このまちからどのような新規創業を増やしたいのか、いわゆるスタートアップと呼ばれる急成長する企業を生み出したいのか、といった方針によりますが、もしスタートアップの発掘、育成に取り組むのであれば、より具体的な施策が必要かと思われます。
具体的には、法人設立申請のワンストップ化など、手続き的な面もさることながら、それ以上に起業家を発掘、育成し、企業の成長を支援するエコシステム(生態系)の構築に向けて、一歩ずつ取り組んでいく必要があるかと思います。
例えば、NPO法人かけがわランドバンクによって「コワーキングスペース kakegawa」が開設されましたが、これを拠点とした既存大手・中堅企業のオープンイノベーションの推進、フリーランスとの連携、ベンチャー・キャピタルの招聘・連携、起業家発掘に向けたコミュニティ形成などが考えられます。
そこで、こうした取組を推進していくため、施策の方向として中小企業支援とは別途項目を立て、「起業家・スタートアップ企業の発掘、育成支援」を明記することを提案します。

5-⑦ 地域の足となる公共交通の整備・利用促進
「2.戦略の柱と方針(5)災害に強く安全で安心な暮らしを支える基盤を整えたまち」において、「将来の自動運転等の実用化を見据え、移動手段を最適化し、誰もが安心して移動できるまちを目指します」と記載されている一方で、公共交通に関する施策・主要事業の中で自動運転への言及がされていないように思われます。
自動運転はSociety 5.0の構成要素でもあり、また首相官邸IT総合戦略本部決定「官民ITS構想・ロードマップ2019」では、2020年に限定地域での無人自動運転移動サービス実現、2024〜2030年に全国各地域で無人自動運転移動サービス実現をするロードマップが掲げられています。
掛川市においても、地域公共交通機関の担い手不足、高齢化は大きな課題となっており、その解決に向けて、全国に先駆けて自動運転の研究、実証実験等を推進していくことが求められるのではないでしょうか。
そこで、施策の方向「③交通弱者の移動手段の確保」について、交通手段の一つとして「掛川市における自動運転導入の検討に向けた研究を進める」旨の加筆を提案します。
また、国家戦略特区における規制改革メニューの一つに「自動走行や小型無人機等の実証実験を促進するための近未来技術実証に関するワンストップセンターの設置」があります。主要事業として、同センターの設置を検討する旨を記載し、中部地区においてこうした実証を行う企業が掛川を訪れて申請する状況をつくり、情報が自然と集まる仕組みの構築を図ることを提案します。

3.総合計画を市民に届けるためのご提案

最後に、総合計画を広く市民に届け、普及啓発していくためのアイデアについてご提案させていただきます。

(1)冊子の書体について
総合計画の冊子では、市民が誰でも読みやすいデザインが求められます。
その一環として、UD(ユニバーサルデザイン)フォントの導入を提案します。
※なお、今回の意見書本文はUDデジタル教科書体にて記載し提出しました。

参考:日本経済新聞2019/4/9「教材に「誤読少ない」字体 生駒市、小中学校に導入」

(2)動画をはじめとした多様な発信
総合計画は策定するだけでなく、公表後、市民に広く知られることが重要です。
近年、総合計画を知ってもらうための工夫として、さまざまな自治体でマンガ、動画による発信に取り組まれています。
掛川市においても、まずは総合計画を知ってもらうために、ポイントを解説した5分程度の動画の発信などに取り組むことを提案します。

参考:
第5次豊橋市総合計画 後期基本計画<マンガ版>「これからもこのまちといっしょに」

尼崎市総合計画読本(市民向けパンフレット)

京都府総合計画PR動画について

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以上です。

特に最後の「3.総合計画を市民に広めていくための提案」については、読む会に参加しなければ、あまり意識していなかった観点でした。
よい計画をつくることも大事ですが、それを届けることも同じくらい大事ですよね。

今回、言い出しっぺということもあり、かつてなく気合を入れて書いたのですが、もちろんこんなに長々書く必要はなく、それよりもたくさんの人からたくさんの意見が出ることが大切です。

ですので、みなさんもぜひ興味のある分野、施策について、パブリックコメントが募集されたら、気軽な気持ちで意見を提出してみてください。

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