見出し画像

なぜ若手社員はあなたの会社を辞めるのか〜「第2回若年者の能力開発と職場への定着に関する調査」から見る離職の理由

なぜ若手社員は離職してしまうのか?

こんにちは、株式会社あらまほしの戸田です。

弊社では、社員のエンゲージメント"見える化"サービス「WeCo」を運営しています。
本サービスにご関心をお寄せいただく企業・団体の多くは、いずれも社員の定着率の向上に取り組もうとしています。
それは、裏を返せば「せっかく採用した社員がすぐに辞めてしまう」という状況であるということ。

WeCoはそうした社員が辞めてしまう前にそのアラートをキャッチしましょう、というコンセプトなのですが、そもそもなぜ社員はせっかく入った会社を辞めてしまうのでしょうか。

こうした理由は企業によってさまざまで、各企業の実態に合わせた分析、改善が求められます。
が、その一方で、全国的な傾向を把握することで、自社の参考にできる部分もあるでしょう。

というわけで(独)労働政策研究・研修機構が20~33歳を対象に実施した調査を取りまとめた「若年者の離職状況と離職後のキャリア形成Ⅱ(第2回若年者の能力開発と職場への定着に関する調査)」より、その理由をご紹介します。

最大の理由:
男性「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため」
女性「結婚・出産のため」

本調査では、すべての離職者に「初めての正社員勤務先」を離職した理由を複数回答で尋ねています。
これを男女別に示したのが次のグラフです(同調査報告書より抜粋)。

スクリーンショット 2019-12-03 00.04.50

これを見ると、男性でもっとも多い理由は「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため」、女性で最も多い理由は「結婚・出産のため」となっています。

男女のちがいに着目すると「結婚・出産のため」を理由とした離職率の男女のちがいを見ると、まだまだ日本では育児は女性のお仕事なのだな……という感じがします。
また、「キャリアアップのため」も男女の差が大きく、男性の理由としては第3位と大きな理由になっています。

一方、男女共通で多く挙げられた理由としては「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため」「肉体的・精神的に健康を損ねたため」「人間関係がよくなかったため」などがあります。
これらは仕事の内容というよりは、仕事の量や就労環境、職場の雰囲気に関わることですね。

早期離職の原因は?

さらに離職の理由について、勤続期間別に分析していきましょう。
まずは男性から。

スクリーンショット 2019-12-03 00.20.55

勤続年数によって大きなちがいがある点に着目すると、「自分のやりたい仕事とは異なる内容だったため」「仕事が上手くできず自信を失ったため」は1年以内の早期離職に独特な理由と言えそうです。
入社して「思っていたのとちがう!」というギャップに耐えきれず辞めてしまっていることが想像されます。
対策としては、入社前にしっかり仕事をイメージしてもらうことが重要になります。

一方、5年超の中期的な離職のケースはキャリアアップや会社の将来性など、未来を見据えて離職する場合が多いようです。
こちらは自社がどうなっていくか、自社にいればどのように成長できるのか、といった本質的なことをしっかり伝え続けていかなければいけないでしょう。

続いて女性についても見ていきましょう。

スクリーンショット 2019-12-03 00.21.13

女性の場合は、5年超での離職の半数以上が結婚・出産を理由として上げています。
やはり女性に長期的に働いてもらうには、いかに結婚・出産しても働きやすい環境を整えていくかということをしっかり考える必要がありそうです。

一方、早期離職では、人間関係という理由が多く挙がっており、男性以上に入社直後から職場での人間関係が円滑に構築されるようフォローすることが求められるのかもしれません。

離職するとき相談する相手は?

次に、離職するときに若手社員は誰に相談しているのかについて見ていきましょう。
ここでも男女別・勤続期間別のグラフを眺めていきます。

スクリーンショット 2019-12-03 00.22.58

スクリーンショット 2019-12-03 00.23.19

男女ともに「勤務先の上司、先輩社員」が多くなっていますが、そもそも男性の場合「悩みはあったが誰にも相談しなかった」という回答も、女性とは異なりかなり多く見られます。
特に早期離職をしている男性の4人に1人は悩んでいても相談せずじまいだったようです。

女性の場合は、誰にも相談しないというケースは少なく、勤務先の上司やプライベートの友人などにも多く相談しているようです。

若手社員の定着を促すには?

もしあなたが会社のマネジメント層で、離職率を抑制し、定着するよう推進しなければならない立場だとすれば、どのようなことをすればよいでしょうか?
ここまで見てきた離職理由を裏返して列挙してみましょう。

○労働時間や休日、賃金などの労働条件向上を図る
○入社後のギャップが生じないよう、入社前に認識をしっかりすり合わせる
○仕事を通じてしっかりとキャリアを形成できている(成長している)実感を感じられるようにする(特に男性・3〜5年目)
○結婚・出産後も働きやすい環境を整える(特に女性)
○悩みを抱える社員が相談しやすい体制を設ける(特に男性・〜1年)

いずれも言うは易し行うは……という内容ではありますが、こうした点についてしっかり向き合い、少しずつ改善していきましょう。

【PR】エンゲージメント見える化サービスについて

弊社では、エンゲージメントを"見える化”→分析し、社員の定着率向上をお手伝いしています。
ご要望に応じて、調査分析だけでなく、施策の企画・実行支援までお手伝いさせていただきますので、ぜひお気軽にご連絡ください。
詳しくはぜひこちら↓のサイトをご覧ください。

ここまでお読みいただきありがとうございました。
今後も人事・マネジメントなどに関する確度の高い情報を発信していく予定ですので、ご興味ありましたらぜひフォロー願います。

なお、より詳細に調査結果をお読みになりたい方は、以下の出所より報告書が閲覧できます。ご確認くださいませ〜。

出所:(独)労働政策研究・研修機構が2019年に公表した「若年者の離職状況と離職後のキャリア形成Ⅱ(第2回若年者の能力開発と職場への定着に関する調査)」(https://www.jil.go.jp/institute/research/2019/191.html)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?