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#11 あの時、あの電車はたしかに1983年でした。

その時代に生きていないのに、なんだかその時代を懐かしく思うことってありますよね。どうしてなんでしょう。これっぽちも詳しくなんか知らないのに。
全然知らないから、むしろ真新しいもの、新鮮なもの、ニュースタイルとして感じているのかも?
でもおかしいですよね、たしかに懐かしい感じがするんです。あの胸の奥がじんわりとあったかくなるような、あの感覚に襲われてしまうんです。


ラジオで懐かしのシティポップが流れていたんです。歌手の名前も曲名も聴いたことがなかった、僕が全く知らない懐かしい曲が流れたんです。すると不思議なもので、やっぱり懐かしく感じてしまったですよね。そのとき、ちょうど電車に乗っていて、車窓には田園風景が映っていたんです。その景色と流れる曲が、ばちっと重なって、視界がセピア色に変わりました。でもやっぱりおかしいんです。ラジオから流れているのはシティポップ、車窓を流れるのは田園風景。でもたしかにセピア色に変わったんです。まるでタイムスリップしたみたいな。そんな感覚に襲われたんです。

あの時、あの電車はたしかに1983年でした。

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