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#13 換気扇の下

普段からどこにでもいる。空気みたいに。

どこかに吸い込まれて、また吐き出されて。
染められて、綺麗にされて、望んでもいないのに焦がされたりして。
見えないのに、見えるようにされたり。
知ったかぶりをうけて、そうしなくてはならないように。
あるのかないのかも曖昧な存在のままで。
またこの部屋に帰ってきた。

壊れた換気扇の下で、この部屋の空気のまま一生を終えてしまうの。

直してよ、今すぐにでも。治してよ、この身体。

ああ、わたしを吸い出してくれたらよかったのに。

そしたら、わたしはもみくちゃにされながら自由になれたのに。



なんてことを換気扇の下でふと思った。
つまらないかもしれない飲み会に行く、今日の午後へ。

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