おい、PDCってなんなんだ?
今回はヘルスケアビックデータを用いた観察研究とかでチラチラ出てくるやつ。Proportion of Days Covered; PDCについてです。
PDCを理解する。
PDCは服薬アドヒアランスを評価する指標です。
わからん単語をわからん単語で説明するなと怒られそうです。
アドヒアランスとは、『患者さんが治療方針の決定に賛同し、積極的に治療を受けること』を意味しています。なので、服薬アドヒアランスは、患者さんが処方された通りに服薬しているかどうかということです。
この服薬アドヒアランスが"良好"だと処方通りにお薬を飲んでくれている状態で、"不良"だと文字通り何にも言うことを聞かない反抗期状態ということです。
ちなみに、近い言葉でコンプライアンスってのがあります。
コンプライアンスは医療提供者からの指示に従う(服薬遵守)という点に焦点が当たりますので、最近は『患者さんが治療方針の決定に賛同し、積極的に治療を受けること』までを意味するアドヒアランスが用いられることが多いです。
で、どのように処方歴からこの服薬アドヒアランスを推定するか・・・
はい、PDCです。
計算方法は、簡単です。
PDC = 処方日数 / 観察期間の日数
本来、服薬によるコントロールが必要な疾患の場合、特別な理由がない限りは観察期間が180日だとすると180日分の薬剤が処方されているはずです。これが90日分しか処方されていないとすると・・・どこかで自己中断が入っている可能性が高く、服薬アドヒアランスが不良と評価できます。
論文では0.8以上を良好としていることが多いです。
服薬アドヒアランスは奥が深い。
服薬アドヒアランスを処方歴から評価する指標は他にもあります。
Daily Medication Adherence; DMA = 処方日数 / 受診間隔日数
Medication Possession Ratio; MPR = 特定期間中に受け取った薬の日数の合計 / 観察期間の日数
上記の指標は、客観的な評価方法として知られています。
他にも直接監視下療法(directly observed therapy: DOT)っていうのやインタビュー、質問票などもあります。
もっと複雑な方法も検討されていたりなかったりですが、やはり観察研究(後ろ向き研究)に向いているのはPDCやMPRなので、これらの使用頻度は高いという印象です。
ただし、服薬アドヒアランスは複雑なんです。
個人のアドヒアランスをあげようと考えると、さまざまな軸に対してのアプローチが必要です。つまり、みなさん大好きなPDCAが必須ということです。
PDCAを効率的に回すためにも、簡単にモニターできるPDCのような「ものさし」が重要ということですね。色々と考えられていて感心します。
余談
以前、インターンに来ていただいた方のまとめスライドです。
2週間という短期間でレセプトをハンドリングし、PDCまで出せるようになっていただきました。もちろん、非常に優秀な方であったのは間違いないのですが、データ解析基盤が整っていれば、レセプトってどうやって解析すんの?ってところからPDC可視化できた!ってところまではすぐに到達します。指標は算出方法がシンプルなものに限りますね!
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