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#2.小さい頃の私。

―連載マガジン『ポンコツだらけの音楽会~私の夢の叶え方』第2話。
第1話はこちら

今でも鮮明に覚えているのは、
保育園のお遊戯会で『サルかに合戦』のおサルさん役をやったこと。
母が一生懸命作ってくれたおサルの衣装を着て、元気よく踊った。

小さいころから歌や踊り、演技をすることが大好きだった。

親戚と旅行に行くと、宴会の席でカラオケの音に合わせて踊ったり
『おどるポンポコリン』の歌詞を覚えると、
小さいながらに堂々とカラオケで唄った。

人に注目され、見ている人たちの笑顔を見ると嬉しくなった。

小学生になるにつれ、その気持ちはさらに強くなっていった。
母親が楽しそうに見てくれたので、昔東京ディズニーランドにあった『シンデレラ城ミステリーツアー』というアトラクションのキャストの真似を家でずっとしていたこともある。

小学3年生になると、歌と演技に興味を持ち始めた。
学芸会で『少年少女冒険隊』というミュージカルをやることになり、私はどうしても役を勝ち取りたくて、必死になった。
その甲斐あって、私は『少女K』という配役をもらった。

最初の脚本では、私のセリフは2つ。
洞窟の中で子供たちが雨宿りをするシーンでの「お腹すいたぁ」
カシオペア座を見つけた時に発する「あ!本当だわ、あったわ!」

そのセリフを何度も何度も家で練習し、
みんなで唄う曲を誰よりも大きな声で唄った。

すると、本来違う子が一人でやっていた曲に
私も参加することになった。

もしも、私の願いが叶うなら、学校の先生になりたい。
優しく教え、厳しくしつけ、宿題無くし、給食大盛り!
これで決まり

この歌詞と踊りは今でも覚えている。
本当は唄うことのなかった曲。
でも当時の恩師は、私が演劇と歌に魅了されているのをしっかりと見てくれていた。
それが何よりも嬉しかった。

そんな私を見て、区の少年少女合唱団に入ってはどうかと、当時の担任の先生が勧めてくれた。

当時は合唱団に入りたい!という気持ちよりも
楽しく歌が唄えればいいやと思っていたが、
きっと素敵な経験ができる!という言葉に魅力を感じ、
オーディションを受けることにした。

当日は緊張することなく、淡々とこなした記憶がある。
周りの子たちが気合を入れてオーディション用の選曲をしてきた中、
私は何も準備をしていなかった。

選考内容は、合唱団の先生の前で選曲名を伝え
ピアノの音に合わせてその場で歌うものだった。
私は『パフ』を唄った。
何か思い入れがあるわけでも、得意なわけでもない。
ただ、なんとなく、この歌が頭をよぎった。

数日後、自宅にオーディションの『合格通知』が届いた。

当時すごく嬉しかったという記憶がない。
とにかく楽しく唄えればいい、そう思っていた。
しかし、実際は楽しいとはかけ離れていた。

合格後、最初の夏休みに河口湖での合宿があった。
小学3年生の私は、初めて親と離れての宿泊を体験した。
小学生から高校生までの団員が参加する合宿は、
朝から晩まで発声練習だった。

発声練習の大切さをまだ理解できない私にとって
後半からはただの地獄だった。
そして追い打ちをかけるように、合宿の途中で喉を痛め
歌が唄えなくなってしまった。

こんなの、楽しくない…

合宿が終わり、家に帰る頃には
私は歌が嫌いになっていた。


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