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「オンライン日本語教育に関する著作権」セミナー受講記録⑦

今回は昔から私がめちゃくちゃ気になっている著作権に関する講義でした。
今、教材を作っているので、かなりタイムリーな話題。
そして、専門外の法律の勉強だったので、脳が活性化されました!
日本語教師のために著作権について詳しく教えてくださる先生がいらっしゃるとは知りませんでした!

アルクのサイトでも詳しく解説されています。
これは日本語教師必読ですね。

この記事は就労者に対する日本語教師養成の講座記録です。
講座の概要は↓↓


1.概要

著作権についての実務を行っているという我妻潤子先生による講義です。
著作権とは何か、それを利用する方法などについて学びました。
重要なことは「著作権侵害にならないように、著作権の考え方を身に着ける」ということだそうです。
今回も講座で学んだ内容を元に、自分で考えたり調べたりしたことを解説していきます。

2.著作権とは?

講義では「著作権とは何か」について学びました。

著作権とは「大勢の不特定多数の人に行う行為について」の話ということです。
その「大勢」というのは明文化されていなくて、解釈は人によって異なるということです。5名ぐらいからと考えるといいとのこと。
ここで、出た質問でオンラインでマンツーマンレッスンをすると少人数だから著作権侵害にならないのか?ということ。
確かに~。
でも、生徒の募集が「公に」しているとなると、個人の使用とは認められないとのことでした。

そして、著作物の使用については、著作権者と利用したい人との間で個別に契約をすればOK
誰かの作品を使いたいときには許可をとりましょうということですね。
そして、その契約の内容は当事者間で決められるということです。

そもそも著作権侵害したら、どうなるの!?

こちらに詳しく書いてありました。

3.著作権の種類と内容

著作権を分解すると
著作者人格権
②著作権(財産権)
の2つに分かれるそうです。
著作者人格権著作者だけが持つ権利。譲渡・相続できない。
公表権、氏名表示権、同一性保持権。
つまり、授業で書いた作文を書いた人の承諾なしに勝手に公表したら、公表権の侵害になるということですね。
なるほど。

②著作権(財産権):財産的な権利を保護。譲渡・相続できる。
複製権、上映権などなど。

学校教育においては、著作権の取り扱いが異なります。
文化庁のサイトに詳しいパンフレットがありました。https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/pdf/93869701_01.pdf

学校教育でいう「学校」とは?

小・中・高・大学・高等専門学校、専修学校などが含まれます。また、公民館、青年の家などの社会教育施設、 教育センターなどの教員研修施設、職業訓練施設なども含まれます。なお、営利を目的とする教育機関とし ては、私人の経営する学習塾などが該当します。

文化庁 著作権課 「学校における教育活動と著作権」参照日:2023/7/20

でも、学校だからすべてが許されるというわけではなく、使用の条件や範囲などが限られているので、こちらも注意が必要です。

4.引用について

著作権を侵害しないために、「引用」を活用することをおすすめされました。
引用について、法律ではこのように書かれています。

引用(第32条)
[1]公正な慣行に合致すること,引用の目的上,正当な範囲内で行われることを条件とし,自分の著作物に他人の著作物を引用して利用することができる。同様の目的であれば,翻訳もできる。(注5)
[2]国等が行政のPRのために発行した資料等は,説明の材料として新聞,雑誌等に転載することができる。ただし,転載を禁ずる旨の表示がされている場合はこの例外規定は適用されない
(注5)引用における注意事項
 他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合,すなわち引用を行う場合,一般的には,以下の事項に注意しなければなりません。
(1)他人の著作物を引用する必然性があること。
(2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(4)出所の明示がなされていること。(第48条)

文化庁「著作物が自由に使える場合」参照日:2023/7/20


公正な慣行とは何ぞや!?
常識の範囲内ってことかな??
講義では「自分がされて嫌なことはやらない」と先生がおっしゃっていました。
確かに自分が頑張って制作した問題集を授業ですべてコピーして配布されたら悲しいですね。

引用の際の出所の明示の方法
→書籍:「著者名、書籍名、出版社、発行年、ページ数」
→Web:「サイトタイトル、URL、運営者、参照日」

リンクを貼るのも有効な方法だと紹介されました。
そして、引用の際には「利用規約」が優先されるので、規約をよく読むことです。
規約で禁止されていれば、引用もできません。

ちなみに引用と転載は異なります。
引用=許諾を取らずにする行為
転載=許諾が必要

5.まとめ

・著作権侵害しないようにするには、他人が作った物をコピーしたり、改変して使用したりしない。
・他人が作った物を使いたいときは引用をする。または直接連絡し、許諾を得る。

6.感想

・問題集をコピーして配布するというのは多くの日本語学校や塾などで行われていることだと思います。これは黙認ということなのでしょうか。
問題集を使いたいときは学習者にも購入してもらうのが一番ですね。
・教材づくりは正しい引用の仕方をして、進めていこうと結論が出ました!
・文化庁から著作権についてのガイドが出されているのは知らなかったのでよく読んでみようと思います。

あとがき

・講義に加え、課題もあってなかなかnoteにまとめられません!5回、6回を飛ばして記憶が新しい7回目を先に書きました。
・第8回目の講義も盛りだくさんの内容の予感でドキドキです。

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