見出し画像

受講レポート②:「アーティストインレジデンスを学ぶオンラインレクチャー」(2022/11/14)

11月14日のアーティストインレジデンスのセミナー、
今回のゲスト講師は青森公立大学 国際芸術センター青森[ACAC]学芸員の慶野結香さんでした。

八甲田山山麓にある国際芸術センター青森は安藤忠雄が手がけた建築の一つとしても有名。

https://acac-aomori.jp/

アーティスト・イン・レジデンス、展覧会、教育普及という3つの柱を掲げて現代芸術の多様なプログラムを発信するアートセンターの学芸員として様々な企画を行う慶野さんのお話は、オフィシャルな施設でもここまでできるんだという可能性に満ちていました。

ACACは、前回学んだところで言うと、
「奨学金型×オープンエンド型×公的機関型(≒自治体型)×施設一体型」
のレジデンスを実施しています。

まず面白かったのが、これだけ立派な展示スペースも持ちながら、アーティストの制作発表はマストではない(オープンエンド)としているところ。
公的なプログラムでは、制作と発表(展示)がセットになっているプログラムが多いので、アーティストファーストで必ずしも目に見える「成果」を求めないスタイルに驚きました。
また、あえて特定のジャンルやテーマにこだわることなく、さまざまなアーティストの滞在を受け入れているところが面白いと思いました。期間も最短2週間から最長3ヶ月と、アーティストの希望に応じて幅広いタームで受け入れているそうです。
審査もあえてゲスト審査員に審査基準を考えてもらうことで、毎年違う審査基準となるよう心がけているというのが、いい意味で公的プログラムらしさがなく、とても柔軟性があっていいなと思いました(運営は大変そうですが)。

また、講義の中でいくつか印象に残った話をピックアップします。
・アーティストインレジデンスの基本は人々が集まることで起きる創造的なコミュケーション:アーティストインレジデンスにおける学芸員の役割は、いかにその化学反応が起きる仕組みを作るか。
・公募は大変だけれども、新しい発見がある。熱量のこもったプロポーザルが楽しい。公募によって新たに面白いアーティストを知ることができたり、新しい繋がりができる。
海外連携:アーティストの滞在においては顔の見える関係性を重視。海外のレジデンスと連携してそれぞれの地域のアーティストを交換する企画を行ったりしている。(ブラジル、ニュージーランド、インド、ロシア)
・レジデンスプログラムでは、アーティストに地域の伝統工芸の職人さんを紹介したり、コラボレーション企画や制作協力を依頼することもある。とくに土に関心があるアーティストは多く、その地域の土を使った作品を制作したいという要望がよくある。運営側が地域のいろんな方々と繋がりを作っておくことが大事。
・ACACのボランティアの力はすごい。ボランティア企画の展覧会が開催されたり、自主的にさまざまな活動を行う人たちが集まってくれている。

次回のセミナーは11月21日(月)です。また学びをシェアさせていただきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?