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【LGBT・性のこと】秋田に行ってきました(オモテ編)

実は8月9日金曜、10日土曜に秋田に行ってきました。
理由はとある場所での講演講義を依頼されて。
(場所は控えておきます。1つ言えるとしたら、お堅い職業です。)

昨年の5月くらいのこと、同期から連絡がきました。
同期は大学時代からざっくばらんな仲なので、なんだろうと何気なくLINEを見てみると、「秋田でLGBTの講演をお願いしたい」という内容でした。
その同期は秋田出身で、とあることがあって各地で性被害者支援の講演をしているのですが、性被害者支援でカウンセリングをおこなっている職員から声がかかったとのこと。
その内容は、秋田の性被害者の中にLGBTの方も多数おり、その職業の人たちにLGBTを正しく知ってほしいため勉強会でテーマを取り上げたいというもの。
その話を聞いた同期が、私の存在をその職員に伝えたところ、来てほしいということになったというのが経緯です。

最初聞いた時、シンプルにありがたいと思いました。
こうしてLGBTについて考えてくださる職業(しかもお堅い職業)が増えたのだなと感慨深くなったのと、自分に声をかけてくださることが嬉しいと感じました。
だけど昨年のその頃は、コロナが5類に引き下げられた直後。
私自身は6年くらい前に横浜から上越に戻り、上記のような講演機会はほとんどなく過ごしていました(そうこうしている内にコロナ禍突入)。
看護師という職業柄、感染症が流行っている時にあちこち行くことが簡単にできるわけではなかったので、話す機会も自然と失っていましたし。
なので嬉しくてありがたい反面、講演できる不安もありつつでしたが、お受けすることにしました。

ただ、新潟(しかも上越)から秋田に行こうとするとかなり大変なんです、移動が。
在来線で行けば新潟から山形越えて秋田ですが、5時間コース、料金やすい。
今後ゆっくり記載しますが、私の持つエーラス・ダンロス症候群は結合組織疾患(全身の組織と組織をつなぎ身体を支持する組織の疾患。軟骨とか骨とか靭帯とか血管とか…軟部組織全般をさします)なので、全身の関節が緩くて脆いのです。
揺れる電車の中で立ち続けるのは、結構しんどい。関節が辛い。
在来線で席がなくて座れないとなると、この長時間、致命的です。
もう一つ移動手段があって、それは北陸新幹線からの秋田新幹線乗り換えで行く方法。こちらも5時間コース、料金が高い。でも席が指定できて座れます。
その職員の方にわがまま言ってお願いしてみたところ、なんと新幹線コースでOKが出ました。本当に感謝です。

それで昨年は7月の連休前くらいに講演が実現。
その同期も一緒に行ってくれて、久々の講演を緊張しながらも無事に終えることができました。
何より、お堅い職業の皆さんが真剣に聞いてくださったことが1番だなと感じました。
話した内容としてはLGBTの知識やLGBTへの性被害者支援の内容はもちろんのことですが、そこは情報社会の現代ならばインターネット・本・SNS等で調べることができるので軽く。
何より自分が性的マイノリティの当事者としてどのような生い立ちでどのような経験をしてきているかの方が現実的で良いと思い、内容はかなり個人的な経験をのせて語っています。
そこがどのように参加職員に届き、今現在実行されているかは雲の中ではあるけれど、何かに活かされていることを期待して…

ですが、実はこれで終わらずだったのです、前回。
実は昨年の講演当日の時点で、翌日に災害級の大雨になるかもしれないと予報されていました。
すでに秋田駅に着いた時には翌日の新幹線は始発とその次しか出ないと予告されており、同期と秋田駅について急遽翌日始発に乗車変更。
夜は同期の自宅で飲んだくれまして楽しく過ごしたわけですが
翌日朝には猛烈な雨。6時台の始発だったのですが、すでに秋田新幹線は大雨の影響を受けて徐行運転。
上越に戻ったのは13時頃でしたが(上越はピーカンの晴れ模様)、その時すでに秋田駅の東口は冠水し、とんでもない状態になっていました。
5時間前にいたところが水に浸かるなんて、予想もしていなかったのですがこういうことなのだなとしみじみ思いました。

あれから1年。再度秋田でお声かけいただき、今回の講演が実現しました。
2年連続で、しかもこんな遠い人をわざわざ呼んでくださること、感謝でしかありません。
今回は無事に何事もなく行って帰ってくることができました(南海トラフ関連の地震がありドキッとしましたし、台風のこともありましたが無事でした)。

改めて思います。
性的マイノリティについて、こうして考えようと目を向けてくれるようになってきたのだなと。
しかも都会ではない、地方で。これって、10年くらい前なら考えられなかったことです。
特にこのようなお堅い職業のところは、ヒエラルヒーや伝統的な男女という文化が根付いていることが多いと思います。
その中で性的マイノリティのことって型破りで、概念を丸ごと変えてしまう破壊力があると思うのです。
そういうことを伝統的な職業は嫌うものと、私自身も固定概念を持っていたかもしれません。
でもこうして、誰かが気づいて変えようとしてくれたりする。
変えようとしているわけではないかもしれないけれど、ごく自然に考える機会を設けてくれる。
それって簡単にできることではないと思うのです。
秋田の人たちが真剣に、かつ何かを変えようと、そして悩み苦しむ人たちを現場で見続けて支援にひたむきに取り組んでいるからこそできること。
私はその意に賞賛の思いです。

性被害の問題、性的マイノリティの問題、なくなったわけではありません。
日常の中でごくありふれて存在しています。
性はとてもプライベートのことだからこそ、自分から大っぴらに打ち明けられることではありません。
実は隣の人が、そのことで悩み苦しんでいるかもしれません。
私たちは日常の中で、その部分を知らなくても隣にいることができてしまいます。
現代は、性の境界が昔よりも良い意味でも悪い意味でも曖昧になっているように思います。
線をひけることばかりではないからこそ、私たちは自分達の性のことを、自分ごととして考え続けていく必要があるのではないでしょうか。

そんなことを感じた、秋田の講演でした。

(ウラ編に続く)

#秋田
#LGBT
#性的マイノリティ
#性被害者支援

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