さあ夏のボーナス、都庁職員の本音は「○○過ぎる」

 6月30日は、国家公務員と地方公務員に夏のボーナスが支給される日です。毎年この時期になると、平均でいくらとか前年比で上がった下がったとメディアが報じますが、そこはあまり核心部分ではありません。

 民間大手企業の夏のボーナス水準は、コロナからの業績回復により前年比大幅アップと既に伝えられています。しかし、そもそも公務員のボーナスは、民間企業とは異なり、景気連動性がとても鈍い構造になっています。国であれば人事院勧告です。都庁なら人事委員会勧告により前年の10月時点で年間何ヶ月分とすでに定められています。

 この勧告の元になっているのが民間企業の給与調査です。都庁の場合、企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の事業所を1千数百社無作為抽出して調べ上げ、公と民の差を埋める形で給料やボーナスの水準が決定されます。
 その昔は、勧告が出る秋に組合がストを実施していたこともありました。スト決行となると都庁舎に入ることができなくなるため、一般職員は朝から都庁周辺の喫茶店で時間をつぶすというのどかな光景が見られました。まあ、近年では組合にストを打つ力は全くありませんが。。。

 閑話休題。
 都の場合、昨秋の勧告はボーナス年間4.45か月分。夏と冬でざっくり分けると、夏冬それぞれ約2か月ちょっとの給料分のボーナス額です。景気連動性が低いと申し上げたのは、この調査によるものです。まず、調査は前年に実施されますから、直近の景気動向は反映されません。なおかつ、企業規模50人以上というところがミソです。

 少々テクニカルな話になりますが、中小企業基本法によれば、中小企業とは、製造業300人以下、卸売業100人以下、小売業50人以下、サービス業100人以下と定義されています。つまり、都の調査対象の多くに中小企業が含まれていると言うことです。冒頭に述べたとおり、大企業のボーナスは増額されます、中小企業は一律にそうとは言えません。前年同様あるいは減額の会社も多くあります。ちなみに、中小企業に勤める従業員は日本全体で7割近くを占めます。

 端的に言えば、景気に敏感に反応できる大企業と違って、都のボーナスは調査のカラクリによってそんなに上下しない仕組みになっているのです。都職員にとっては、好景気の時は民間企業がうらやましく感じられ、逆にこの2年間のコロナ禍のように景気が落ち込んだ時でもボーナスが激減することはない安心感がある。どっちがお得なのかは捉え方次第かもしれません。

 そして問題は、都庁職員の隠された本音の部分にあります。都庁は職員数16万人(警察や教員を含む)、予算規模15兆円(特別会計を含む)という巨大組織です。外形上はグローバル企業に引けを取りません。ですから、都職員は無意識のうちに「大企業」に勤務していると思っている節があるのです。もちろん、そんなことは決して公言しませんが。。。

 若い頃であれば、民間企業に就職した大学同期の友人と比較してボーナスの額の少なさに嘆くことが何度もあるでしょう。また、本庁の部長や局長に上り詰めれば、こんなに大きな組織を動かしているのにこの程度かと、内心、忸怩たる思いを抱えている幹部職員も少なくないはずです。

 贅沢言うな。もらえるだけ幸せだと思え。原資は税金だぞ。そんな声が聞こえてきそうです。でも、都庁職員の本音をあえて代弁させてもらえれば、ボーナス安すぎる! どうやら実態はそんなところにあるようなのです。

 都民との感覚のズレと言ってしまえばそれまでですが、都庁に巣くう「大企業」病の一端がボーナスの受け止め方にも反映されているとみるべきではないでしょうか。大きすぎることは決して良いことではありません。都庁職員の一人ひとりがそのことに気づいてほしいと思います。

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