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エッジを立たせたキャリアの積み方

サマリー

留学、戦コン、Amazon、10Xときて、今でこそさもありなんと説明できるが、キャリアの選択なんてその時のfeelingだった。最近、話や文章や図がわかりやすい、と本当に嬉しい言葉をかけてもらうことがある。こういう場だし、思ったこといえばいいと思うので、自己紹介がてらどこで何を学べたか書いてみた

ちょっと一休みして軽いおはなし

Noteを初めて4日目、既に4日連続でかなりマニアックなSelectionのお話をかいたので、もっと一般的でライトなお題を書こうと思う。

最近色々なところでNoteを見てくれた方々が「どんなふうにキャリアやスキルを考えて積まれたんですか」とか「なにか参考になる本ありますか」とか聞いてくださる。

正直、今の自分の持っているスキルは、殆どが諸先輩方々からのご指導ご鞭撻の賜物で、彼らからすると僕のアウトプットを見せた日にゃ「いいね(笑)」と言われて、仲間内で晒し者にあってしまいそうだ。

でも、こういう場だし、少なくとも既に何人か興味を持ってくれている方がいるのは確かなので、自分のキャリアの中のそれぞれのタイミングでどんなことを考えて、学んで、選択して、今に至るのか、クリスマスに思いを馳せながら書いてみた。

恐らく、現在コンサルファームにいる方でポストコンサルのキャリアについて悩んでいらっしゃる方、事業会社でこの先のキャリアに悩んでいる方など、自分も一応一通り経験はさせてもらったので、何かの参考にはなるとは思う。

長くなったので、目次に目を通してもらい、気になる時代のお話に飛んでいただければ完結するようにはなっています。

正直言うと、キャリアをどう積み上げるべきかなんてわからない

”キャリア”なんて偉そうなこと言えないが、これまで自分がどんな道を辿ってきたのかを振り返ってみた。

一番最初にキャリアと言う言葉を意識したのは、就職活動の時に殆どの人が一度は考えたであろうこのFAQについて考えたときだ。

「あなたはこの先10年後、20年後どのようなキャリアを積んでいきたいと考えていますか?」

この質問は本当に苦手だ。

特に大学生の時はキャリアなんて全く考えていない。
とりあえず潰しの効く会計ファームに入っておいたら色々な企業も見え、自然と次の職場のイメージも湧くだろう、位にしか考えていなかった。

大きくなったらちゃんと答えられるようになるんだろうなと思いながら歳を重ねてきたが、数回転職し、年次も重ね、幸いなことに昇格もさせていただき、今や30代後半戦のいい年になってしまった。

残念ながら今の今でもこの先10年後どうなっていたいですか、ということへの解は”ようやく朧げに見えてきた”程度の解像度だ。

しかし、ふと振り返ってみると、その時その時自分が好きだと思ったこと、面白いと思ったこと、めっちゃ役に立つと思ったことを、息を止めて頑張ってDive Deepした結果スキルとして身について、今の自分を作ってくれているのだと思っている。

あまり需要もないだろうし、職歴なんてLinkedinをみればしまいなのだが、これまでの自分をざっと振り返って、職歴だけでは表せられない”ポイントポイントでどんなことを考えて進む道を選択していたのか”を思い出してみようと思う。

時系列でいうと、僕のキャリアの中には4つのフェーズにわけられると思う

Phase ①:”アメリカ生活と会計・財務の世界”
Phase ②:”行動経済学と戦略ファームと小売の世界”
Phase ③:”Amazonとボスとの出会い”
Phase ④:”尖らせたい分野との出会い”

ここからは上記4つのフェーズで、どんなことを考えていたのか、どんなこと学べたのかを書いてみようと思う。

Phase ①:”アメリカ生活と会計・財務の世界”

中学生あたりから英語が好きだった。

親戚や祖父もアメリカの大学をでていたこともあり、自分も海外に留学したいというのは自然に考えていた。
英語の勉強のためできるだけ日本人のいないところと思い、コロラド州のど田舎で大学学生活を過ごした。

将来やりたいことなど全くわからず、とりあえずつぶしが利きそうで、数字が得意なアジア人に有利だと言われたという理由だけでAccounting(会計学)を専攻していた。

3年目にもなると、そろそろ卒業後の進路で悩みだし、留学生がほぼ全員行くであろうボストンキャリアフォーラム(いわゆるボスキャリ)に参加した。
日本人が自分一人だけの学校に通っていたため、就職活動の雰囲気やタイムラインもよくわからず、とりあえず来年もあるから下見がてら、という気持ちでボスキャリにいくと、周りはガチで準備していた方々ばかり。

信じられないかもしれないが、当時の僕はResumeすら用意していない始末である。
丸腰で会場をふらふらしていたのだ。
自分の息子がこんなことやってたら多分どえらい説教すると思うが、本当に世間知らずだった。

ただ、世の中には神のような人もいるもので、手ぶらでウロウロしている僕に声をかけてくれたオジサマがいた。

彼は僕と目が合うなり「君、今こっちみてたでしょ。興味ある?」と話しかけてくれた。
興味がないわけではなかったが、丸腰の自分が話しかけるのも申し訳ないので、正直にResumeがない旨伝えると、「じゃあResume書いてきなよ、面接してあげるから」と言ってくれたのだ。
会場の隅でGoogleで”Resume”&”Format”と調べ、一番簡単そうな雛形をダウンロードし、なんとか情報を埋め、再度ブースへ向かった。

それが新卒で働くこととなったEarnst & YoungというAccounting Firmとの出会いだった。

当日、翌日と何度か面接をし、ディナーに招待いただき、今度はNew York事務所で最終面接だということで連絡をいただいて、日を改めて初めてNew Yorkに飛び、その日にオファーをいただくことができた。

この時にちゃんと自己分析をやっていなかったということが要因で将来どのようなキャリアを積みたいかがわかっていなかったのかもしれない。

ただ、コロラドのど田舎で過ごした修行期間を終えて、憧れのNew Yorkで働くことができるならと思うと、自己分析とか将来のキャリアとか、そんなことはどうでもよかった。

その後、合計3年ほどNew YorkでInternational Tax Consultantとして働いたが、仕事は本当につらかったし面白くなかった。
恐らく1日15時間くらい土日も毎日働いて、周りには8時間くらい要領よく働いて帰るコーネルやコロンビア卒のアメリカ人とかがわんさかいて、とても辛い3年間を過ごしていた。

そして、今更何をと思われるかもしれないが、僕は会計や税務が好きではない。

決められたルールに則ってゴールに向かって情報を整理する、ということが恐らく向いていないのだ。

もう一つ当時抱えていたモヤモヤが、嫌いなことに相まって、忙しすぎてUSCPAのテストの勉強が全くできていなかったことだ。

会計学を勉強し、New YorkのAccounting Firmで働いたのにUSCPAを取らずに退職するのも悔しかった。

これが受かったら転職する、というモチベーションだけでなんとか勉強を詰め込み、USCPAのには合格することができた。
本当に不純な動機だったが、新卒の会社を辞めるという決断をするために、いつでも戻ってこれるという安心感が必要だったんだと思う。

当時の自身の強みとして英語と会計(しかも主に米国税務)しかなかった僕は、一旦ビジネスのバックサイドからフロントサイドにいけそうな財務アドバイザリーの職種に転職した。
この時に8年弱のUS生活を終え、PwCのJapan OfficeのFASに転職したのだった。

PwCでは、色々と小話的に面白い仕事(不正調査のプロジェクトで夜中に不正会計の疑いのある社長の部屋に窓から忍び込み、伝票の束を漁るとか)はあったので別の機会に書きたいが、キャリアに関して話す内容ではないので早送りする。

ハイライトだけ話すと、財務も会計に負けず劣らず苦手な分野だった。

PwCは素晴らしい会社であったが、残念ながら今の自分に身についているスキルセットとして、この頃にやっていた業務で役に立ったと思えることがほとんどない。(強いて言えば、日本オフィスで英語が喋れるひとが少ないため、英語プロジェクトがほぼ全てであったため、ビジネス英語に磨きがかかったくらいか)

こうやってキャリアの棚卸しをしていて思うのが、やはりその時その時で「このスキルは絶対に身につけておきたい」というものに職務で携わっていられることが、自分のキャリアを積み重ねる上で重要なのではないかと思う。
これがE&YとPwCでなかったのだ。

ただ、当時の自分はいたずらに職歴を重ねていることに本当に焦っていた。

💡学べたこと
・ 英語でネイティブ相手に仕事ができるようになった
・財務三表に抵抗がなくなった(でもスクラッチでモデル化させることはもうできない)

Phase ②:”行動経済学と戦略ファームと小売の世界”

会計・税務・財務に疲れていた当時の自分が考えていたことは「どうせ数字を扱うなら、もっと人間の行動が見えてくるような職種がいい」と思っていた。

New Yorkに住んでいた頃、確か帰国の際にたまたま空港の本屋で出会ったMalcolm Gladwell(The New Yorkerという雑誌の記者)の書籍に出会った。

Blinkというタイトルのこの本なのだが、内容は「人間は無意識のうちに様々な情報を受け止めて、それらが行動に影響している」というもので、これが当時会計・税務に苦しんでいた自分に衝撃を与えたくれたのを覚えている。

そこから似たような書籍を読み漁り、最終的にBehavioral Economics(行動経済学)という分野の本に出会った。

Wikipediaによると、行動経済学は”経済学の数学モデルに心理学的に観察された事実を取り入れていく研究手法”だそうだ。

つまり、人間の心理がどのように経済活動(Decision Makingなど)に影響しているのか、ということを研究した分野だと理解している。

Daniel KahnemanやDan Arielyなどの著者がいるが、彼らの書籍を片っ端から読み、なんとかこういう分野を仕事にできないかどうかを考えていた。

行動経済学を仕事にするならば、少なくとも消費者の行動に近い分野がいいと思い、業界をB2Cに絞り、より定性的な情報も見ながらお仕事ができそうな戦略コンサルを受けていた。

これまた都合がよいことに、世界で唯一B2C小売を専門にしているKurt Salmonという戦略ファームがあり、そこに無事転職することができた。

Kurt Salmonでは、入社前の期待通り消費者行動を踏まえた戦略策定のプロジェクトばかりで、お題としてめちゃくちゃ楽しかった。新卒でやり直すならば、今でも小売のStrategyができるファームに行こうとは思っている。

具体的なProjectとして、
・Luxury Wedding Jewelryのマーケティング戦略立案
・ハンバーガーチェーンの統合案件の店舗拡大やメニュー改革の戦略立案、
・外資スポーツアパレルのオリンピックに向けたエリア別MDを統計分析
・スーパーマーケットのPOSデータを使って統計分析をしつつ戦略立案
全て身近な世界にインパクトを与えられる案件で、やりがいしかなかった。

この期間に様々な小売のプロジェクトで分析したことや見聞きしたことは、今でも毎日のお仕事で活きていると思う。

そしてなによりも、このファームにいたときの先輩や上司に資料のまとめ方やパワポの作り方を徹底的に叩き込んでもらい、物事の構造化やパワポ作成ってそれなりにルールがあって、それが腹落ちしてわかると、作業効率、スピード、情熱が10xするんだなと知ることができた。
(まだまだ10xしてないけれど)これは来世へ持っていきたいスキルの一つだ。

8年ほどコンサルティングファームにいたこともあり、コンサルによくある事業会社に移りたい病がもれなく発症し、英語 x 小売 x データ分析となるとAmazonくらいしか転職先が残らなかった。

💡学べたこと
・ 抽象化と具体化がどういうことか
・”ただの羅列ではない”箇条書きのやり方
・小売ビジネスの全体像

Phase ③:”Amazonとボスとの出会い”

ここから先日まで書いていたSelectionのお話にはいっていくことになる。

品揃えの拡大戦略をリードするPdMという名の社内コンサルのようなポジションで消費財事業部の業務をスタートした。

Selectionに関してはこちらのNoteを参照:
1.) Selectionと戦った10,000時間:AmazonにおけるSelectionとは?
2.) Amazonってどんな売り場を目指しているの?
3.) じゃあ、いったいどこまでSelectionを獲得すればいいのよ?

PdMという名前の通り、Selectionに携わる機能(複数の商品を抱き合わせて表示させたり、最低購入金額を満たさないと商品を買えないようにする機能だったり、自動で未獲得商品を特定する仕組みだったり、etc.)を担当しつつ、メインは消費財事業部のSelectionをどのように増やすべきかの戦略づくり、KPIの設定、戦略実行、であった。

機能開発自体も非常に勉強になったが、丁度この頃Amazon Japanの消費財事業のTopline成長が鈍化したこと、Jeff Bezosが各国の利益構造にこだわり始めたたことのダブルパンチで、Globalでのかなり大きな低単価商品の品揃え戦略の日本のリードをすることになったのは、自分のキャリアのなかでのハイライトな経験だったとも思う。

また、何よりも感謝しているのが、僕の働き方に多大なる影響をあたえてくれた当時のボスとの出会いだ。

そう、このブログの中にこれまでも度々登場するボスのことだ。

このボスは新卒BCGの方で、Amazonでもいい意味でも悪い意味でも名前が立っていた。

周りのアマゾニアン(Amazonの従業員)の言葉を集約すると「頭脳明晰のスーパーロジカル人間、そして怖い」だそうだった。とにかく頭が切れて、会議で議論がとっちらかったときでもすぐにホワイトボードにきれいに整理し、社長直下のVPレベルをゴリゴリ動かすように議論を進めてくれて頼りになる。
その代わり、少しでもロジカルでないと詰められる。
補足すると、彼にとって詰めているきはゼロなのだろうが、なにが”ロジカル”なのかがわからなかった人からすると、恐怖の対象だったかもしれない。

最大で10人弱のチームになったが、入った当時はほぼ彼との2人体制で、よくも悪くも彼の時間を独り占めできていた。

彼からは、仮説検証とはなんぞや、論理的思考ってなんぞや、分析とはなんぞや、Stakeholderの動かし方とはなんぞやと、今までのコンサルファームの経験を通してある程度わかったと勘違いしていた自分をコテンパンに叩きのめしてくれ、文字通り1から鍛え直してくれた。

ボスとの定期的なミーティングでは毎回ゲキ詰され、30過ぎたいい大人が何度も悔し泣きしていたのを覚えている。
(ミーティングのあと一人で個室で嗚咽をあげて泣いていたら、心配した同僚がティッシュをもってきてくれたことが何度かある)

ただ、この数年を経て、複雑な事象を論点を捉えたMECEで構造化し、仮説検証を高速で回し、逆算で分析プロセスを作り、Stakeholderを最短距離で動かしていく、ということへの考えのパラダイムシフトがおこったと思う。

まだまだ未熟だが、これもまた来世に持って行きたいスキルの一つで、仕事だけでなく生き方が楽になるレベルだった。

そしてなによりも彼のことを尊敬しているのは、Amazonでも一番重要とされているCustomer Obsessionを忘れないことだった。

自分のためや、部署のため、出世のため、嫌いな相手を言い負かすため、そういうことが一切なく、純粋にカスタマーのためにどうしたらよりよいサービスが提供できるか、それだけをつきつめている方だった。

そういえば、今週とある企業の役員の方から「栃内さんはSelectionやPricingについて、どんな本を読んで勉強されたんですか?」と質問をいただけた。

改めて考えてみたのだが、特定の書籍の知識の経験は、残念ながらAmazonの現場において十分であったことはない。

これはボスも同じことを言っていた(唯一彼が参考になると言っていたのは三国志だったが、僕はキングダムしか読んだことがないので、まだよくわかってない。そしてキングダムは三国志ではない。。。)。

書籍に意味がないということではなく、書籍を読むだけでは意味がないという点は強調しておく。

雑談:戦略コンサルの先輩に教えてもらった、書籍で一気に最低限の知識を得る方法
コンサルのときに先輩に教えてもらったのが、まずプロジェクトが始まる前にできるだけでかい本屋へいき、対象のプロジェクト関連の書籍(特に入門編)を5冊くらい購入してインプットするということだ。
全部をしっかり読んで理解するのではなく、ザーッと目次や内容を読み流し、5冊に共通してでてくる内容は確実におさえる。
これにより、少なくともその業界で知らなければいけないことの20%くらいはカバーでき、プロジェクトで相手が何を喋っているのかが全くわからない、ということには陥らない。

でも、本当にドンピシャにその業界の対象のお題に書かれた本がない限り、書籍だけでなんとかなることはまずありえない。

ボスから言われていたのは、まず現場の話を聞いて、課題感を抽出し、それを構造化して、相手とぶつける。
最初はトンチンカンなことを書いてしまうかもしれないが、それを相手とすり合わせ続けることで、解像度があがり、相手との共通理解も生まれてくる。

ざっと書くとこんなアプローチだ。

自分の頭の中だけで考えたり、書籍で見たことを構造化して、そのまま相手にぶつけて物事を進めようとしたこともあるが、このやり方で上手くいったためしがない。

現場の人や担当者の人は、そのお題について彼らの一つのイシューを抱えていて、解像度が高い。
それをしっかり議論して、言語化して、抽象化して、構造化することで、より生々しい打ち手や、プロダクトにつながるのだ。

このアプローチにはお題は全く問わない。
Selectionでも、Pricingでも、Promotionでも、Delivery Experienceでも、なんでも同じだと思う。
これらのことについて、鼻血がでるまで頭で考えて、言語化して、構造化したものが、今の自分が持っている知識になっている。
(恐らく、先日の役員の方の質問への回答は、これが一番正確なのだろう)

上のアプローチを取るにあたって、とても重要になるのが最初の”議論をする”というところだと思う。個々でしっかりと相手との共通認識を作り上げることが、物事を前に進めるための唯一の秘訣だと思っている。

雑談:議論ってなんだろう?
仕事において”議論させてくれ”と言われることがあると思うが、議論ってなんだろうか。
僕はボスに教えてもらうまで、少なくとも議論はできていなかった。
やっていたのは、自分の考えを相手にぶつける、ということだった。
これは本当にうまく行かないし、物事が前に進まない。また進んだように見えても、最後の最後で相手にひっくり返される。
議論とは「相手との共通認識をつくることであり、何が合意できていて、なにが合意できていないのかの確認。またお互いの思考プロセスの確認」だ。意見をぶつける場でもないし、答えの確認の場ではない。
ここに関しては、また改めてNoteに書こうと思う。

消費財事業部でSelectionの獲得というToplineに結びつくレバーと、低単価商品の取り扱い戦略というBottomに直結する両方をみることができたのは、自分の中でも本当に貴重な経験であった。

Phase ④:”キャリアの中で尖らせたいところ”

ただ、その頃まだモヤモヤしていたのが、自分の中でのキャリアにおける”軸”だ。
言い換えると、何を尖らせて自分のキャリアを積んでいくのか、ということにもなると思う。

当時の自分はECの消費財におけるPMや経営企画のような仕事について解像度をあげていた。
この先のキャリアを考えた時に、PMとしては自分はコードもかけないし(SQLでデータをだすということはできるが、なにか裏側を作り上げることまでできるPMがアマゾンに沢山いて、敵わないと思っていた)、とはいえ事業部長のようにPLの全責任を持って事業を回していたのかというとそういうわけでもなかった。
まさに社内で幅広く知っていて、なんでもある程度できるジェネラリストだ。

思い返すと、コンサルのときも小売に特化したファームにいたが、それでも十分に広い。
Amazonでも消費者行動が見えて、数字も扱えるEC小売の業界にきた。
でもここもとてつもなく広大な世界だった。
消費財事業部だけでも7事業でなりたち、PMもFinanceも、BIも、Buyerも、めちゃくちゃ優秀な人達の集まりで、自分もどこかにフォーカスしてやらないと敵わないと思っていた。

コンサルのときにどの業界でも活躍できちゃうキレッキレの人たちに多く出会ったが、自分はそんな器用な人間でもない。
そして、一番重要だったのが、自分が本当に好きだと思える分でないと、進んで調べるという熱量が生まれてこないのだ。

この頃に、キャリアにおいてのエッジの効かせ方という言い回しは当時お世話になっていたExecutive Searchの方から教えてもらった。

「外資コンサルからAmazonのようなBig Techに行くというキャリアは、たしかにきれいで、それだけで外からも声をかけてもらえるかもしれない。でも、正直同じようなキャリアの人、Amazonの中にも石を投げれば当たる程転がってますよね?栃内さんはその中で、どうやって差別化させていこうと思っていますか?」

上記の質問を投げかけられた後、事業会社の中の働き方もある程度解像度があがっていたので、改めて僕はどこでこの先エッジを効かせて活きたいのか考えてみた。

僕は食べるのが好きだ。
料理をすることも好きだ。
地方や世界で見つけられる珍しい食材を見るのも好きだし、スーパーにいって目の前に広がる野菜や調味料を見ているとワクワクする。

その中で、丁度コロナが始まった頃に出版されたフードテック革命という本に出会った。
そこに書かれていたことは、まさに自分にとっておあつらえ向きの業界について書かれていた。

Techの力で食の体験を変えていく。
流通だけでなく、Value Chainを上下にさかのぼり、上に遡ると、農業、Alternative meat、水耕栽培といった食を創る世界。
下流をみると、毎日のレシピの提案、健康管理、調理方法、食べ合わせなど、食材をどう使うのかにまで広がる。

なんてステキな業界なんだろう。
しかも、AmazonにはAmazon FreshというFood Techのドンピシャなエリアがあるではないか。

僕は本当に人に恵まれたなと思っているが、当時のFinanceで相棒として働いてくれていた方が、Amazon FreshのCountry Managerの方を紹介してくれた。
この方をなんと呼べばいいか迷ったが、安易で申し訳ないがFreshのCountry Managerとさせていただく。

FreshのCountry ManagerもAmazonでめちゃくちゃ評判の方だった。

Diversityに力をいれているAmazonでも、まだまだ女性のManagementは少ない中、女性でFreshというProductのCountry Managerを任されているのだから、どれくらいすごいのかは説明も不要だろう。

この方の巻き込み力と、チームを鼓舞する力は今までのキャリアの中でも抜群だったし、People Managementという点で、今までで一番尊敬できるManagerだった。

Country Managerから任されたPositionがHead of SCM/Instockというポジションで、CountryManagerの元で、日本のAmazon FreshのSupply Chainの改善や、Capacityの拡大戦略の立案と実行、また、どれだけの需要に対してどれだけ買うべきかの実行と責任を負う立場だ。

この時に初めて事業のLeadershipの1員として、PLをOwnすることとなった。

具体的な職務は以下のようなものだった
Instock:
・日々の需要に対しての購買数量の決定
・ベンダーとの交渉
・需要予測モデルの最適化と廃棄の削減
・倉庫内における在庫量の最適化
・上記一切に関わるチームの組成とマネジメント
SCM:
・FreshのSupply ChainのMetricsの可視化及び最適化
・拠点拡大やシステム刷新の際の物流周りIssueのハンドリング

消費財事業部の際ももちろんToplineとBottomを見てはいたが、Freshにおいては、全てのDecisionが逐一Bottomに影響を与えていたので、DailyやHourlyでのMetricsの管理をしていた。

簡単に業務の一部を説明するとこんな感じだ。

直近の購買数量から多分来週はこれくらいの需要になると予測し、発注をかける。
しかし、コロナの人数が急に増えて、ネットスーパーへの需要が急増し、倉庫内の商品が足りなくなる。
すると、カスタマーの満足度が下がるので、商品が足りないんじゃないかとバイヤーに詰められる。
焦ってCatch upしようと思い発注量を増やすと、今度は倉庫側が想定していた物量を大きく上回る数量が入ってきて、来ない人員が足りなくなり、パンクする。
そして週次の全体会議でどちゃくそに怒られるのだ。

これは本当に大変だったが、消費財事業部で半ば上から戦略を落としていた身からすると、これら一つ一つがものすごい学びだった。

・現場の解像度がない状態でのトップダウンの指示出しが、どれだけ無駄なことか(むしろ悪でしかない)。

・Supply ChainとMarketingはSyncしていないとお話にならないということだったりとか。

・Supply ChainはChainになっていないと成り立たず、どれか一つの指標だけをてこいれしても全体最適はたもたれないとか。

これら学びはまた別の機会にちゃんと書こうと思う。

コロナのおかげもあって、本当に濃ゆいFreshでの経験であったが、自分にとって圧倒的に欠けていた事業をOwnして組織を動かしていく力を、この時にほんの少しだけ垣間見させて頂いたと思っている。

💡学べたこと
・ 自分のキャリアにおいて尖らせたいエリアを見つけることの
・PL責任を負い、事業をまわすということ
・Supply ChainとMarketingはSyncしていないとお話にならないということ
・現場の解像度がないトップダウンの指示は悪だということ
・Supply Chainは”Chain”になっていないとだめ(なにか一つの最重要Metricsをみていても意味がない)

さいごに

めちゃくちゃ長くなったが、こうやってざっと書き出してみるとこの先お話してみたいお題も沢山出てくるものだ。

今回は今までのキャリアのフェーズで、どんなことを考えて転職をしていたのか、それぞれでどんなことを学んで、今役にたっているのか、ということに関して書いてみた。

Selectionの次のステップに移りたい気もするが、ここで出てきた一つの学びについてももっと深ぼることもできるので、また度々脱線してもいいかなと思っている。

最後まで読んでくださった方がいらっしゃったとすれば、本当に感謝です。

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