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Selectionと戦った10,000時間:【その4】売れないのは商品のせいじゃない


サマリー

Selectionは獲得するだけではいけない。ちゃんと売れる土俵に乗せてあげるために、てをかけてあげなければいけない、というお話。Selectionを獲得した後に、カスタマーの当たり前クオリティを担保するために最低限必要な3つのポイントと、なぜそれらがe-commerceにとって重要なのかを書いてみた。

獲得した後に何をすればいいのか

先日まで3回に渡り”Selectionの獲得”に関する考え方について書いた。

「どのような売場をカスタマーに提供するのか」ということを常に考え、自分たちがベンチマークにすべきSelectionの母数(ユニバース)に対し、カテゴリー毎にどれくらい獲得できているのかを理解し、どこをどうやって伸ばすのかを競合との”同質化”と”差別化”で考えていくのが重要であるとお伝えした。

でもSelection大臣の戦いは獲得して終わりではない。

ちゃんと獲得できた子たちが売れる土俵に乗せてあげるところまで手入れしてあげる責任がある。

もはや子育てをする親のような気分だ。

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今日はこの”②売れる土俵に乗せる”ということに関して書いてみる。

売れないのは商品のせいじゃない

Amazonで働いていたある日、業務の1on1の最中にこんな話になった。

 💡「Selection PMは消費財事業部の店長だと思ったらいいんじゃないか?」

これをちゃんと言語化するとこういうことだ。

Selectionは獲得したら終わりじゃなく、ちゃんと”売れる実力”をだして棚に並べてあげなければならない。

ナショナルブランドもプライベートブランドもすべからく、メーカーやブランド、また商品部の人たちが魂を込めてつくった商品だ。

特に日常の一般的な商品(生鮮・食品・日用消費財)を取り扱うスーパーやドラッグストアなどにおいては、取り扱う商品においてそこまでニッチなものは存在しないと思う。

そうなると、カスタマー目線からすると、しっかりと手がかけてある商品が並んであるお店というのは、当たり前なのだ。

この当たり前クオリティを担保することが、言うが易しなのだが、小売事業者はしっかりと向き合っていかなければ行けない。

Amazonにおいても同じであった。

e-commerceにおいて、商品が戦う土俵(商品ページ)に上がるために、最低限必要な手当ては恐らくこんな感じに集約されると思う:

Pricing : 魅力的な価格がついているのか担保しつつ、
in-stock : カスタマーが欲しいと思った時にしっかりと棚にはいっていて、
Catalog : 選ぶ際の判断基準としての説明が最低限提供されている

そう、真新しいことなどなにもない。

なにせカスタマーにとっての”当たり前クオリティ”なのだから。

でも、改めてこれらを見て、弊社のWebsiteは完璧だねといえるお店ってあるだろうか?

・なんかオフラインや競合と比べてめっちゃ高い商品あるんだけど、、、とか、
・クリスマスなのにシャンメリーのポケモンver.が売り切れていてドラえもんver.しかないんです、、、とか
・そもそもこれって何本入りの商品なんだっけ?というのが明記されてなかったり、、、とか

心当たりはないろうか?

また、ここまで書くとe-commerceに携わったことがある人はすかさず「ディスカウントや露出はどうなの?」と思うだろう。

わかるよ。

そこも大事だ。

露出すればよりお客さんの目にとまる。

値引きすればそりゃあ売れるさ。

でも、もう一度考えてみてほしいのが、e-commerceにおける最大の利点である”棚に制限がない”というポイントだ。

露出や値引きをすると、限られたウェブサイトの一等地を使うことになる。

露出や値引きに注力して、当たり前クオリティをおろそかにしてしまっているお店が多くないかな、というのが最近良く思うことだ。

e-commerceの利点である”無制限の棚”を最大限に活かすために、揃えた商品の当たり前クオリティをしっかり底上げし、満を持して限られた枠である露出スペースやセール特設ページに送り出す。

これをしっかりと仕組みとして成り立たせることが、継続的に成長できる小売になるのではないだろうか。

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ちゃんと戦う土俵に上がれていない中途半端な子たちを表舞台にだし、カスタマーをがっかりさせることで、その商品からの離反や、ひいてはお店からの離反につながることは絶対にやってはいけない。

オフラインのような全体の視認性にかけるe-commerceだからこそ、この当たり前クオリティをKPIとして保ちつつ、商品の実力値を出すことが重要だと僕は思っている。

さいごに

流石にここにAmazonでこれの当たり前クオリティをどうやって担保しようとしているのかを具体的に書くと怒られるので省略する。(気になる人はその仕組みについてふわっとお伝えするのでDMください 苦笑)

もし読者の中に小売事業に関わっている方がいれば、是非ご自身の扱う商品が、これら当たり前クオリティの階段を駆け上がり、本来の商品の実力を出せているのかを振り返ってみると、どこかに改善の余地があるかもしれない。

毎回長くなるので、今回は少し完結に書くことを意識してみた。

次は”③更に売りを伸ばす”についついて書いてみようと思う。

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