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価格改定を決めるまで


土曜日。
子供たちはパパの監視のもと、お勉強中。
そのせいでリビングテーブルを追いやられ、ただいま娘のピアノの椅子にパソコン置いて仕事しているtoccorriです、こんにちは。
場外に追いやられる母。


さて先日書いた、おはラボにtoccorriのお悩みをとりあげていただいたお話。

これを機に腹をくくった「価格をどうにかしろ」という課題に対して、本当にちゃんと考えていました。

minne作家活動アドバイザーの和田まおさんの書籍にも、価格についてのノウハウ書かれていますが、

こういった基本に立ち返ってみたり、「私」という私情と、「toccorri」としてどうしたいのかという今後の展望を、ぐちゃぐちゃっと考え、出した結論を今日はまとめます。
書きながらさらに頭の整理してそう、私。


過去 VS. あるべき価格


現状のtoccorriの作品、お安いです。
リースでいうと、門下で販売されている価格からみて1/2、1/3程度の価格で販売しています。
当然ちゃ当然です。ブランドの「看板」を掲げてないですから。

だけど、気付きます?? 
↑の、おはラボでのまおさんのご指摘「(価格は)2倍、3倍でもおかしくない」というご発言が、マジで正解なんです! これ聞いた瞬間、まおさんの洞察力、判断力に完全降伏しました、私。。。 


なぜそんな価格で販売していたかというと、理由はシンプル。
門下への遠慮があったからです。
※門下からの圧力があったわけではありません

独立後、師匠や門下への遠慮から、それまで販売されていた価格がどうしても付けられなかった私。(その名称も使えないし)
だけど、独立を決めてからそろそろ2年。
独立後の活動実績も増え、オリジナルのアイデアや技術に自信がついてきたため、恒常的に作っていけるための体制作りを進めたい、その一環として、思い切って適正価格へ舵を切ろうを決意したのでした。


リースの制作時間と価値感


さて、ここからは値上げの言い訳です。

toccorriの作品、たとえばリースひとつ作るのにどれくらいの時間がかかるでしょうか。

①デザインを考える
②パーツを作る(ひとつぶずつ、花びら一枚から装飾)
③パーツを量産する
④組む
⑤形を整えながら仕上げ

ほぼ、この流れ。

①デザインを考えるのは、たいてい一瞬です。メインテーマがパッとひらめいたら、もうそれで手を動かし始めます。よくある、ラフを書いてみるとかはしていません。
ただしかし、肝となるメインテーマがいつ降りてくるか……による。。。

②パーツを作って、③量産する工程が、一番時間がかかります。
数日、モノにもよりますが2~3日程度かかります。

パーツが揃ってしまえば、④組んで、⑤形を整える作業は数時間。
とはいえそれでも数時間。


つまり、ひとつのリース作るのに、数日かかるわけで。

さらには、レッスン通ったとてすぐには取得できないテクニック(控えめに言ってます)を要し、創始者が作られた概要のテキストはあるものの口頭継承の部分も多い工程を経て作られているリースだと考えると、、、こりゃけっこう付加価値の高いものを作ってるぞ私。と、自覚もするようになりました。


門下で活動するということ


そんな技術を以て丁寧な手作業で作られたリースを、門下時代に創始の先生が認定した方法で販売された場合、1万円を下回ることはまずないです。大物は2万、3万のお値段がつくし、その価格でもまあまあちゃんと売れます。
全国規模ではあまり認知度は高くないですが、ドイツ&オーストリアの伝統工芸をきちんと踏襲した、知る人ぞ知る、権威あるブランドであることは間違いない。

ですが、伝統を守ることと、革新的で新しいものを作ることは、時に水と油。
私がいた環境は、まさにこの状態でした。

伝統のデザインやルールに則って作られていないリースは、3,000円のお値段しかつけていただけませんでした。
同じテクニックや制作時間を要していたとしても。


自立する決意


toccorriを始めたとき、まだ私はこの門下生でした。
なので門下の販売ルールにより、toccorriとして販売するのはオリジナルのみ。ブランドルールで作ったリースは、師匠に預けて正式なルートで委託販売の形をとっていました。

当初はこの形でなんとか両立していたものの、やはり、歪みが生じ始めます。

ルール外のリースに付けられる価格は衝撃のお安さ、また惜しいものはルールに沿うように作り変えられる、そこまでされて売れ残り返品されたリースをtoccorriが販売することは許されず、リースの写真をインスタにアップするだけで怒号が飛んでくるような状況でした。


最初は流派に属してればそんなものかと自分を納得させてたけど、


そんなの、楽しいはずがない。


伝統的で細かく丁寧な技法や世界観には激しく共感するし、尊敬しています。それは今でも変わらない。

半面、販売やプロモーションに対する保守的な思考にはどうしても心がついていかず、自分らしい活動を永くやっていきたい想いが日に日に増していきました。


で、決意。

門下を外れよう。
私が作りたい作品を、toccorriで販売していこう。


門下を外れるにあたってのけじめ


師匠には、時間をかけてお話をさせてもらいました。
創始の先生や私の師匠が守ってきた伝統や世界観は、今でも尊敬しています。
色合わせとか造形とか、見惚れます。
だけど、向いている方向がまったく違う。
なので、私がやりたいことをつき通して迷惑をかけるよりも、自分を押し殺して活動するよりも、門下を外れることでお互い幸せになれるでしょうと。

すんなりととはいかなかったけれど、最後には納得していただきました。

今後の活動については、制裁や制限などはなにもありませんでした。戻ってきたくなったらいつでも戻っておいで、とまで言っていただきました。

だけどその分、自分の中で決めたルール、というか、けじめ。


今後、門下の名称は使わない。出さない。


これだけ。

これだけだけど、お師匠先生方を守るためにも、死守します。
そのうえで私は、「toccorri」をやらせていただきます。


自立後、2年間の活動

以降は、「私が良いと思うもの」を作り、良いと思う形で販売し、プロモーションをやってきました。

toccorri創業4年目。
外的要因での浮き沈みは多少あれど、着実に、やりたいことのステップアップができている実感はあります。


だたひとつだけ、独立後から変えられてないもの。


それが、遠慮して低めに設定した価格、なのです。

何に対する遠慮?
師匠? 門下? やめたこと??

私にもよくわからないけど、わからないからこそ、ここまでズルズルっときてしまったんでしょうね。


現状、原価として材料費や雑費はきちんと反映しているものの、技術料(制作単価)を低めに設定している状態です。

制作に関しては、習得したテクニックは踏襲しつつ、既存のルールにとらわれない、オリジナルのアイデアを必ず盛り込むことを意識しています。じゃないと、門下を外れた意味がない。

活動に関しては、販売だけではなく、オリジナルの作品でコンペにチャレンジし賞をいただいたり、雑誌や書籍掲載の実績を積むことができています。
本当にありがたいお話。
さらには、冒頭に戻って、おはラボでのまおさんはじめ、作家仲間のみなさんからの後押しもあり……。

この活動を末永く継続&発展させたいという希望が、むくむくと増殖中なのです。


これから


ということで、このタイミングで思い切ってやります。
価格改定。

toccorriの考える、「適正価格」にシフトさせていただきます。

独立後にいただいてきた実績は、自分の力で積み上げたもの。
過去のご指導に感謝しつつ、自己肯定感をもう少し高めに持って、適正な技術料を鑑みた価格を提示していきたい。


ここまで、思い切って書きました。

その改定のプロセスについては、続編で。



つづく。


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