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妄想はきっと、ワクチン不安を凌駕する。

ワクチン接種を受けてきました。

ええ。怖かったんです、とても。

だって、私は妄想族。
ワクチンを打ったことによる副反応、そして人類の危機、はたまた超能力を備える可能性、あらゆる妄想をしつつ「20XX年、人類は危機に瀕していた…」と脳内ナレーションが流れてしまう。
あのアキラが現実に…!(観てないけど)


そして、想像する痛み。

昔、尻に注射をされたことがある。
こいつが痛くて、私はいい歳なのに、半ケツで半べそで、看護師さんに全力で慰めてもらったことがある。

「さ、お尻をしまって…」そう優しく囁かれた時、私の脳内では、パトラッシュと共に天使に取り囲まれてる自分の尻が見えた。
辛かったね、尻…もう注射は終わったよ。

さて。そんなこんなで、不安と緊張でガチガチになりつつ打ったワクチンは、2秒で終わった。
痛みも全く感じず、看護師さんがニッコリと「もう終わりですよー」と言った時、「え、もう?」と言いそうだった。


家に帰っても、なんの副反応もなかった。
夫が帰ってきて「どうだった?」と聞かれた時には、すでにワクチン接種のことすら忘れて「え、なにが?」と答えて、ああ!ワクチンね!となった。

「俺は打った6時間後には、もう腕が痛かったね」
「聞くところによると、年寄りは大体無反応らしいじゃん」
「あなた歳なんじゃない?このまま何もなさそう」

すでに1回目を打ち終えていた、私より6歳年上の夫が、何故か、猛烈に勝ち誇っている。

「もう、あなた身体が鈍感なんだよ」

ぐぬぬ!根拠のないことで勝ち誇りやがって…!

痛みも熱も出ないことが、どれだけありがたいか、頭ではわかっているが、なんだこの猛烈な悔しさは…おのれ…若さにまだ執着があるというのか…この私が…!(いや、めちゃくちゃある)


それにしても、ここまで何もなくていいのだろうか。実は、打ったつもりが、全部夢で、私は恐怖のあまり、ワクチン接種から逃げ出したりしていないだろうか。

「心配なことはありますか?」と優しく言ってくれた先生が、ちょっと藤井聡太棋士に似ていた気がしたのは、彼が食べた「コロコロしばちゃん」のおやつのニュースを見た私の幻で、実はそんな先生存在していなかったのかもしれない!


そんな謎の不安まで抱えつつ、私は翌朝を迎えた。

…腕が、痛い…痛いよ…

私、ワクチン打ってた!
夢だけど、夢じゃなかった!
夢だけど、夢じゃなかったー!
ワクチン打った、ワクチン打ったんだー!

ちょっとそんな気持ちになった。

夫にも、嬉しいことのように報告した。
「腕に痛みちゃんがやってきたよ⭐︎」

痛い、痛いぞ…!!ワハハ!みろ!腕が、腕がゴミのようだ!!

のぅわぁぁぁー!腕がぁぁぁー!腕がぁぁぁぁー!!!

情緒が安定しないムスカ大佐の妄想もひと通りしたが、朝はみんな忙しいので、披露するのは自粛した。
そもそも娘はラピュタを知らない。あとで仕込まねば…と猛列に母は思う。



打つ前、子犬のように不安がっていた私に教えてあげたい。

大丈夫、あんた、結構楽しんでるみたい。


2回目は熱が出る。
そんな噂もちらほら聞く。
私は多分、またすぐに怯え出す。
思い出せ。
2秒で終わることはもう分かっているのだ。
熱が出たら、何を妄想するか考えておけばいい。

これで、近いうち、自由に会いたい人と会えますように。
実家に帰省出来ますように。

あと、夫よ。私が万が一熱が出たら、シャインマスカットか、ピオーネを用意しておいてくれるととても嬉しい。
そんな夫は、本日2回目を打った。
今のところ無症状なり。

「どっちの身体が老化しているか」
根拠のない争いは、続いている。




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