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発芽した『なけなしのたね』


ようやくだ。ようやく落ち着いてこれを書ける日が来た。
これとはなんぞや。
私の2022年、最初の目標にした本を作るということ。
その目標を無事達成して、それがきちんとみんな、私の手から旅立って行ったこご報告、完売御礼!だ。


日記を読み返すと、そこにはまぁ騒いでいる私がいる。
12月、つるさんにメールをしてしまった!もう引き返せない。
1月、つるさんが添削してくれた自分のエッセイを100回ぐらい読み返す。

もうね、100回ぐらい読み返すっていうのは、つまり。
煮込み過ぎて形を失ったじゃがいもの入ったカレーを思わせる。
さらにそれを食べきれなくて冷凍保存して温め直して食べるカレー。
自分が美味しいと思っていたものの存在が揺らぎ出すあの感じ。
じゃがいもは形が残っている方が好きだ!(知らんがな)

とにかく「これを人様に出していいものなんだろうか?」という不安に苛まれ続ける。
ひとりだったらとっくにポッキリ折れたであろう私の心は、仕事の合間に何度も添削を繰り返してくれたつるさんによって、ギリギリ支えられていた。

つるさんの労力を考えたら「やっぱりやーめた!」なんて、口が裂けても言えない。
素人の他人のエッセイを、100回ぐらい読む。考えただけで頭がクラクラする労力を、つるさんは私に使ってくれている。しかしそのクラクラは私にとって、喜びの目眩でもあった。
ひとりじゃない。
彼女とは、このご縁で実際に会うこともできた。
この出会い、これは私にとってとんでもなく幸運なことだ。
「今後、何かまたやりたくなったとしたら、必ず誰かと歩こう」
そう思わせてくれたつるさん懐の深さは、もはや年齢など超越している。

誰かに甘える、それもまた、大事な一歩なのだと、私はあの時思い知った。

そしてもうひとり甘える相手がいた。

本に書くサインの横に象のハンコを押したい。
そして私は、手練れのハンコ師を知っていた。
それは、広島の同じマンションに住んでいた友人で、私が広島に入って1番にナンパをした人「何か売りつけられるかも」と怯えていた、その人だ。

彼女は、2年ほどで広島から転勤して行ってしまったが、その後も付き合いは続いていて、何より年賀状が、家族の顔を消しゴムハンコで作るスタイルだった。
その顔がまたそっくりなのだ!

彼女にハンコを頼めば間違いない。

出会った時、何かを売りつけそうな圧で迫っていた私は、数年後、得体の知れない本を売りつけるために「ここに判を押せ」ならぬ、判を作れと迫っていた。

彼女は、マジか!マジかー!と言いなが、快く引き受けてくれて「虹はもっと幅広く!」だの、「左向きがいい!」だの、あれこれ言う私の要望を何度も聞き入れては書き直してくれた。

そして、実際ハンコが届いた日。
開封した私は涙をこぼして笑った。
娘と私のハンコも含まれていたのだ。
「直近の写真がなかったからさ、Facebookにあった七五三の写真参考にした!」

女将とき子

もうね、どこの女将かと。
これをどこかに押したいけれど、本に押すにはちょっと待てと。
『なけなしのたね』じゃなくて『クラブ ナケナシ』のママがお送りする、銀座に店を構えるまでのハウツーエッセイだろう!と。

最高じゃないか…!
そうは思ったけれど、当初の予定通り、象のハンコを押しまして。
女将とき子は必ずnoteで日の目を見せようと誓っていたものです。

たくさん作ってくれた


さらにもうひとり、甘えようと思っていたのが、「モハメド・オリ・ベーグル」で登場していたおりちゃんだ。
広島文学フリーマーケットに出展できた暁には、掲載している「サムライシフォンケーキ」になぞらえて、おりちゃんにシフォンケーキを焼いてもらうことになっていた。
おりちゃんは、ベーグルもパンも焼くのがうまいが、シフォンケーキもとても美味しい。
だが、残念なことに、私が広島文学フリーマッケットに出られることはなかった。
コロナで延期、その頃には転勤してしまっていたからだ。

実は私、シフォンケーキに貼るサムライシールも考えていた。
配れることがなくて、とても残念だったし、彼女のシフォンケーキが、サムライの作るシフォンケーキとコラボする、考えただけでワクワクしたのに。

ちょっと食べる時痛そうなデザイン



でも、依頼した時の「まかせとき!!」の彼女の二つ返事が、とてつもなく心強かった。
「本当に売れるか心配」そう弱音を吐いたら「私がベーグル売れないかもって弱音吐いたとき、どんだけ強く背中叩いてくれたか!あの時のとき子でいけば良い!」
ああ、本当に私はひとりじゃない。



そういったわけで、私はプロフェッショナルな腕前を持つ彼女たちに支えられまくって、いよいよとうとう、本の販売を開始した。


するとどうだ。
懐かしい友人たち、広島の友人たち、そしてフラの仲間たちがまずとても喜んでくれた。
ページをめくった最初の『はじめに』で、もう感慨深い、泣きそう!と言ってくれて、私は照れて照れて「今、ここで読まないでね」そういって、身をくねらせたりした。

そしてnoteの皆さんだ。
すまスパで宣伝させていただいた上、発売と同時に購入ボタンを押してくれたのはピリカさんだった。
marmaladeさんや、紫乃さんも、すまスパの報告と同時に本の宣伝をしてくれた。


ちゃんと在庫が減っている・・・!
発送しながら私は喜びに震えた。

そうして発送業務が落ち着いた頃だった。

ゆーじさんのnoteの更新があった。「あなたの記事が話題です!」
え、もしかして!
記事のヘッダー画像が『なけなしのたね』だった。
なんて優しいんだ、なんて温かい記事なんだ、私のたねが、ゆーじさんの記事で発芽していた。
ゆーじさんがいつも、コメント欄で「チリンチリン♪」そう書き残してくれる「チリンチリンの乱」入れておいてよかったなぁ!
私はとても幸せな気持ちでゆーじさんの記事を読んだ。

なんと彼は、その後、もう一度、希望を大切にするための記事に私の本を紹介してくれている。
種を送ること。思いつきでしたこの行為は、本当に誰かの心に発芽するかも知れない、そう思えた。



そしてささみさん。
いつも柔らかであたたかな記事の中に私がいた。
象のヘッダー画像を見た瞬間、彼女の日差しが、私に降り注いだようだった。
そして、彼女は直筆の手紙もくれた。
noteの文面そのまま、柔らかであたたかい字だった。
すごいな、noteって本当にその人、まんまなんだなぁ!
かつて私が6年住んだ札幌、いつかささみさんに会って、直接あたたかさを感じたい、そう思った。


aeuさんは、ひまわりの花と一緒に私の本を紹介してくれていた。
「宝物」そう言ってくれる人がいるなんて…!
私の背中に翼があったら、飛んでいってこの際マスクしたままにするからハグさせてくれと、そう言いたい。まさか世界一好きな花がひまわりとは。そのご縁にも胸が熱くなった。
たくさんの本に囲まれて、私の本は、照れくさそうに、だけど堂々とaeuさんの部屋にいて、それがとても嬉しかった。


ヤスユキさんは、何とプロの脚本家さんの作品、そして愛するつる・るるるさんの本と共に紹介して下さった。
題して奇跡のタネ。
その頃、ヤスユキさんとの交流はまだ全然深まっておらず「フォォ!!どこのどいつかわからんようなやつの本を買ってくれるお方がおるー!」と驚愕した。
しかもヤスユキさんは小説を書いておられるし、ライターとしてお仕事もされている。マジか、そんな目の肥えた方が購入して下すったのか・・・と背筋が伸びた。伸びた背筋を丸めることなく、今後もnoteを楽しみたい。



玉三郎さんは、実は表紙をお願いしようかと思っていた。
彼女の描く、ポップでキュートな絵は「なけなしのたね」のイメージにぴったりだと思ったからだ。
だけど、頭の中で、私の表紙はシンプルな形として既に存在してしまっていたから、このイメージを人様にうまく伝えられるか自信がなかった。
どシンプルなイメージなので、自分で作ってしまおう。
そう考えた私は、この気持ちをひっそりと心に仕舞った。
そうしたら、後日、玉三郎さんから絵が届いた。
それはあまりにも美しい象で、私は本当にうっとり。
玉三郎さん、キュートポップ以外の引き出しすごいぞ!!


うっとりする象


nolyさんは、種まきについて書かれていた。
nolyさんといえば、ガチョウのフィフィ。あの素敵な庭で、フィフィと手作りのお菓子を食べながら私の本を読んでくれているのかしら?と勝手に想像して、ひとりうっとりした。
「時期をずらして種を蒔く、お天道様にいいようにその日の天気を決めていく。
私たちは、それを受け入れて対処をしましょう」
そんな自然と向き合っているnolyさんが、私の本をタネと言ってくれた。
彼女の手にかかったタネは、きっと発芽する。そんな安心感が不思議と湧いた。

井野田モツさんもまた、私にはまだ交流が始まったばかりの方だった。
ヤスユキさんと同じ、つるさん経由で私を見つけてくれた。
ご縁というのは本当にすごい。しつこいようだが、どこのどいつかわからないやつの、しかもエッセイだ。エッセイは「その人を知りたい」と思わなければ、正直なかなか手が出ない。それを購入してれたばかりか、紹介までしてくださっている。
「グツグツネガティブが煮込まれてきたら、これを読んで自分を鼓舞させよう」
そう、私の目標は多分そこなのだ。誰かにとってホッとする文章でありたい。
それがたとえキレイゴトと呼ばれても、そうありたいと思ったのだから、その目標に近づけてとても嬉しかった。


橘鶫さん 言わずと知れた、私が大好きな小説家さん。(もう小説家と名乗っていい。いや、絵描きさんが正しいのだろううか)
本を出す!そう決めたことを伝えたら、コメントに「仕上がったら絵を送りますよ」と書いてあった。
大好きな鶫さんの絵が、私のためだけに描かれる。
それは、本を出すにあたって、私のひとつのゴールだった。
彼女は、主に鳥を描いているけれど、ここはもうワガママを聞いてもらう。
「象と鳥を!」それは鶫さんと私なのだ。こんな嬉しいことがあるだろうか。
私は、本を書いた自分を褒め称えた。よくやった!
そして、彼女へ向けて書いた物語も、自分で言うのもなんだがすごく気に入っている。


最高のご褒美


ほかにも、メールで感想文を送ってくれた方々が沢山いる。
全部書き出すと、それはまるで「買ってくれた人リスト、感想文をくれた人リスト」みたいになってしまうかも知れないので、ごめんなさい、あえて控えさせていただきますが、これは私の宝物だ。
私の本は、私の心にたくさんの芽吹きをくれた。
もちろん、「私感想書いてないやごめんなさい!」なんて思わないでほしい。
夏休みの宿題じゃないのだ。楽しんで読んでいただけたのなら、それは本当に嬉しいことだし、「今ひとつだった」そう思ったとしても、それは当然だと思う。

「書いたのに、ここに出てねぇし!!」
万が一そういう方がいらっしゃったらご一報を。それ私、マガジンに入れてないし、宝物取りこぼす一大事を起こしている、そんな立ち直れないことあったらいかん、ダメ絶対。


長く長くなってしまった。
でもこれがどうしても書きたかった。

この本に関わってくれた方々、そして購入してくださった方々全てに、直接会ってお礼を言って回りたい気持ちでいっぱいだ。
本当にありがとうございます。
もう、ありがとうの5文字に詰め込めない想いでいっぱいです。
何度でも伝えたい。
ありがとう。大好きです、ありがとう!

そうそう、先日、お配りした種を私のベランダにも蒔いた。
私の「なけなしのたね」は、今、ベランダで日差しを浴びてイキイキと育っている。

楽しみ


(リアルな友人に種を配るのを忘れていたのはここだけの話)


追記

soraさんのところのひまわりさん、同じタイミングで発芽したそう!嬉しい。




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