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#5 岸田國士「劇の好きな子供たちへ」より/即興のはなし/どさんこ役者の東京アドベンチャー 演劇編 

ききまぐれ朗読へようこそお越しくださいました。
こちらでは、著作権フリーの電子図書館「青空文庫」から、
演劇や芸能に関する書物を紹介しつつ、その内容にまつわる、
わたしの演劇思い出ばなしをしています。

今回は
岸田國士さんが書かれた 「劇の好きな子供たちへ」の第4節
ー俳優はいやしいものであってはならないー
の前半をご紹介いたします。

本文はこちらをご覧ください。

ここで書かれている即興劇というのは、インプロと呼ばれ、
いまも盛んに行われています。
インプロとはインプロビゼーションの略語です。
わたしは、この、即興劇というのは、
ついうっかり個人情報などを口走ってしまうのではないかと思い、
あまり得意ではありません。
しかし、いつでも即興ができる柔軟性は持っていたいと思っています。

即興についての思い出をひとつお話ししたいと思います。
劇団をやめてから、先輩の紹介で、学校向けミュージカルの仕事をはじめました。
とにかく全てがおどろきでしたね~。
数十名所属している団体でしたが、
6名で1チーム組み合わせ、3演目持って、ワゴン車で移動します。
会場は主に学校の体育館。
わたしがはじめにやった演目は「オズの魔法使い」のかかし役でした。
顔に へのへのもへじ を描いて、いつも明るくヘラヘラして、
全身脱力して演じていたので、
動きは激しかったですが、とても楽チンで楽しい役でした。
舞台で使う備品は、徹底的に簡素化されていて、
音響はミニディスク(懐かしきMDです!!!)プレーヤーとスピーカー1台。

ところがある日、このスピーカーが故障してしまいました。
場面は、ドロシーとかかしが出会ったところ。
ここで音楽が流れないと、ドロシーとかかしは旅に出発できず、
したがって、この後出会うはずのブリキやライオンとも出会えません。
舞台の脇では、スタッフの青年が必死に走り回り、出番が後の役者が
「もうちょっと伸ばして!!」と袖から指示を出します。
ドロシーとかかしがアドリブ、即興で場をつなぎ、
二人で必死におしゃべりを続けていたのですが、
それが子供たちにバカ受けでした!!!
待つこと約30分。引き伸ばすこと30分・・・・・。
替わりのスピーカーを学校からお借りして、劇は無事に進みはじめました。
あとで、演出担当に
「アドリブも普通のセリフのように、ハッキリしていたのが良かった!!」
とお褒めいただきました。
アドリブや即興は、他にも経験しましたが、これほど切迫感があって、かつ、お客さまに受けたのは、この時以外は思い浮かびません。

学校回りの仕事は、
他にもエピソードがたくさんあるので、追々ご紹介できればと思っています。

この投稿と同じ内容を Stand.fm で放送しています。
こちらもぜひお聞きください♪( ´θ`)ノ


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