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【短編小説】夏の終わり


最後のボールの返球が枠内を逸れたとき、私たちの夏が終わった。

チームメイトが次々に泣き崩れた。

キャプテンの私は嗚咽がこみ上げそうになるのを必死でこらえていた。

コートから引き上げるときには視界がぼやけていた。


新任の鬼コーチが就任して迎えた最終学年。

私たちはコーチの指導のもと心身とも追い込まれながら練習に励んでいた。

疲労のあまリ、授業中は寝て過ごす毎日だった。


私はある日の練習試合で致命的なミスをした。

全体練習後にコーチから居残りの特訓を命じられた。

私は脚がもつれながらも必死にボールを追いかけた。

コーチから放たれるボールはとても力強く、私は持てる力をふり絞らないと返せないものばかりだった。

最後のボールをなんとか返球し終えると、私はその場に倒れ込んだまましばらく動けなくなった。


そのようにして迎えた最後の大会。

相手は県内屈指の強豪校。

キャプテンのマークを誇りに私の持てる力をすべてぶつけるつもりだった。


相手チームの強烈な一撃に、最初は食らいついていた。

が、しだいに点を離されていった。

私たちのなかに焦りが広がった。


2セット目を取られたあと、私はチームメイトを集め、声を振り絞って皆を力づけた。

そんな中、私の放った決死の一撃もあっさりと返球されてしまった。

私は黙って額の汗を拭うことしかできなかった。

終わりのときが近づいていた。

私はせめて最後まで諦めずに戦い抜く覚悟を決め、味方を励ましつづけた。


気づけば相手チームの歓喜の声が聞こえていた。

泣き崩れるチームメイトたちにかける言葉もなかった。


これから私の長い冬が始まる。

私はこの半年の経験を今後の人生にことを誓いながら、受験勉強に精をだすことだろう。



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